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タイヤの思い出

 極寒の夜の記憶が数億年前に思えるほど、外は春一色である。毎年、春が来ることに驚愕するのだが、それほどに冬は寒い。近所でもインパクトレンチの音が響くと、いよいよ春本番なのである。

 インパクトレンチは冬用のタイヤからノーマルタイヤへの換装をするために使う。家族の人数=車の台数という家庭が多いので、交換工賃もまとまった金額になるから、お父さん達は油圧ジャッキなどの工具を揃えて頑張る家庭が多い。ちなみに私は父親の教育方針「女でも自家用車のタイヤ交換位はできるようになっておくべき」という謎方針のもと、中学二年位からしばらくタイヤ交換をさせられたが、今思えば少し変わっていたと思うし、それに世間の女子中学生はタイヤ交換をしないことらしいと、しばらく後になってから知る。誰にも話が通じないのは当然だなとは思う。当時はあまりいい工具が家になかったものだから今でも力の不要な工具達が輝いて見える。別の整備ついでに交換をしてもらっているので現在は自力では行っていないが、それにしても優秀で格好いい工具は欲しくなる。ひとり、うっとりとホームセンターなどで工具を眺めることが好きなのだが、なかなか同士がいない。誰か一緒に工具を見に行かないか…?部品でも可。

 話が変人極まりしナニカになってしまった。そんなわけで流石に「インパクトレンチの音」が季語になることはないだろうが、私にとっては雪の訪れであったり、春の訪れであったりする。