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侵食

一般的にゲーム内の話などは遊びの範疇であるという評価をしがちだが、この日本コミュニティを観測しはじめて十年以上にもなると、それなりに見えてくることもあるものである。

最近のMMORPGにおけるプレイヤー層の変容には、自分なりにも気づいていたつもりだったのだが、どうやら私の想定以上にリアルに起きているような(ゲーム外にいる生身プレイヤーが生活する場所)歓迎できぬ社会通念が捻じ込まれてきていると認めざるを得ない状況だ。同じ人間が関わっているのだからそれは当然のことと理解されるだろうが、身をもって酷い経験をしてしまったおかげから「リアルの日本社会も知らぬ間に悪い方向に変化を経て、このように自分の常識では想定外の理不尽に巻き込まれることがあるんだろうな」というシミュレーションが個人的に完了してしまったことに少々愕然としたのだ。所謂「こうなるんだろうな」ということである。

MMORPGの世界は当然リアルと違い、匿名性に加え、辞めてしまったり(ほぼ死亡と同義)または転生(キャラクターを作り直し別人としてやりなおすこと)が出来るためか、世代の回転サイクルが速くコミュニティ形成過程や結果が凝縮されて変容するスピードもリアルより格段に速い。また筋金入りのマニアゲーマーだけではなく、以前はゲームなどをしなかった人が激増しプレイヤー層も大衆化した分、大雑把ではあるが「油断をした(匿名が故に出やすい)本性」集団のシミュレーションとしても見ることが出来る。

ここで大雑把とはいったがこれは日本国内の話が主で、世界にはプレイヤー自体に結構本職がいたりする(リアル外交官がゲーム内で戦術外交をしていた等)EVEOnlineという作品があり、基準も地球全体多様人種になるため、そちらの世界では様相が異なるだろう。

日本国内ではMMORPG内においても、気に入らない事があれば捏造や社会的弱者(多数決)やジェンダーの強み(一部のみ)を使いつつ事実上のキャンセル運動を起こし、直接無関係なはずのイナゴ化した昆虫プレイヤーまでもが押し寄せて目標を捻じ潰すことが当然のように行われ、それがあっさりと成功する事例がある。

自身に都合良く事を運ぶために卑劣な捏造をしても(ゲーム内で済む事案であれば)リアルのように名誉毀損などの法的な問題にはなりにくいため、平気で嘘をつき、そして誰かを血祭りに上げ、一切の非や責任を取ることなく自分の心地よい環境を構築することが可能だ。更にあっさりと成功体験となるのだから慣例化は必然だろう。そして何より問題なのは「巻き込まれた側はアホらしくなって抵抗せずに引き下がる」ので益々悪化していることだ。所謂「ゲームの話だから」という常識的な人ほどやってしまうことが裏目に出てしまっている。そしてこれらが許されてる世界の基準はどうなってゆくのか、もう結果は出始めている。

具体例として自分にあった出来事をあげておくと、ゲーム内において、自己保身のための振る舞いをする女達が自己矛盾によって自身達が追い詰められた出来事があり、それに呆れて果てた自分は沈黙をしていたところ、自称被害者の女達にとって都合が良かったのか、よくわからないうちに自分が昆虫プレイヤー達の標的になってしまったことだろうか。この経験から誠実な男性達はほんとうに理不尽な目に遭いながらも、黙殺されることがたくさんあるのだろうなと大変さを理解した。

この出来事は「所詮ゲームの話じゃないか」と言い、今の時代においてもゲームとリアルはある程度は分かれており、違うままであるという今となっては古い思考をアップデート出来ていなかった自分の落ち度と、不合理な相手を信用してしまった失敗を痛感するとともに、かつての避暑地であった世界達が最悪な形でリアルに浸食され始めていることに一種の寂しさを覚える結果となった。

コミュニティは結局のところは関わる人間によるとはいえ、社会通念に大きく影響されているのはゲーム世界だろうと学術界であろうと全く同じであって、やはり特定内部の出来事だと思考を辞めてしまうこと自体危険なことかもしれない。特に長年そのクラスタを見つめてきた人にしかわからない危険な変化の兆候というものがあるのだから、やたらと老害などと自虐したり、または他人を一括りにせずそういった事柄を指摘していくことは、自分の範疇においても可能な限りやってゆきたいものである。