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Garbage bag

歓楽街に無数に点在する飲み屋の厨房にある待機中のごみ袋達は、今日も賑やかにおしゃべりしていた。

「俺が使われる時は、一番初めにいつもからかってきやがるあの紙ナプキンを取り込んでやる!」

「見て!食べ残された大量のカシューナッツ達が言い争いをしているわ!」

 重ねられたゴミ袋達の中で、一番下にいる末っ子だけが外を見ることができなかった。でも、末っ子は好奇心旺盛。上に重ねられているお兄ちゃんやお姉ちゃんに質問してみるが、みんな意地悪して、全然教えてくれなかった。

 「ねぇ、僕にも外のこと教えてよ!」

 でも誰も教えてくれない。そんな時末っ子に外のことなど色々教えてくれるのは、ごみ袋達をまとめて包んでいる大袋のおじいさんだった。

 「外の世界にはな、他にもたくさんの種類の『モノ』があって、それぞれにちゃんと役割があるんじゃ。」

 好奇心旺盛な末っ子は、おじいさんの話が大好きで、何でもかんでも気になることは質問していた。どの質問にもおじいさんは丁寧に答えてあげるのだった。

 「ねぇ、おじいさん!外の世界って、この部屋の中だけじゃなくて、もっと広いんでしょ?見たことある?」

「まぁ、昔は多少な。」

「僕も見れるかな?」

「お前ならきっとわし以上にたくさんの事が見れることだろう。」

「ホント!?楽しみだなぁ!でもね、少なくとも僕は僕の中に入った『モノ』達にはちゃんと優しく接してあげるんだ!」

そう言って、目を輝かせながら夢を見る末っ子を見て大袋のおじいちゃんは、優しく微笑んだ。

 そしてついにお兄ちゃん達が皆出発し、末っ子の番が回ってきた。末っ子は興奮しているようだったが、おじいさんは変わらずいつものような優しい眼差しでいた。

 そしてついに末っ子が出発。

 末っ子に、一番最初に捨てられたのは、大袋のおじいさんだった。

                                  (終)


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