2008.9.6 ELLEGARDEN

2008年9月6日のELLEGARDENのライブ日記のようなものです。

活動休止から10年。彼らがまた再始動します。

活動休止前のライブを見れなかった人、今度のライブではじめて彼らのライブを見る人に、シェアできたらいいな、と思います。

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新木場コーストは、何度か行っているけれど、観やすい場所があまりない。
早い番号のお陰で、ステージ向かって右側の段上にあがる。ステージの端がほぼ正面。 視界を遮る人もものもない。
ライブパワーのスタッフは、フロア内には誰もいない。 バルコニーを見ると、今日は関係者も少ない。

10分押しで、オープニングSEが鳴り響く。
そして夏フェスの時と同じ、短いセッションのようなインストが始まる。
「Space Sonic」

音がいい。はじめから、とてもいい。歌もちゃんと聴こえる。
MCなしで、連続4曲。水を飲んでる暇もない。 「モンスター」がとても嬉しい。

細美「始まる前までは、どんな気持ちになるのかなあ、とか思ってたんだけど。 たぶん今までで一番幸せ。今日とか明日より、今この一瞬に集中できる日はないと思うんだよ」

始まったイントロに驚く。とても久しぶりに演奏したんじゃないだろうか。
「My Favourite Song」
”ぼくの好きなうたは、なくならない”
バカみたいな直訳が、頭に浮かんで、ぽろぽろ涙が出た。 泣くつもりはなかったのに、止まらなかった。

[They echo inside me. No need to understand me]

そして、季節外れの「サンタクロース」。
初めて観たライブを思い出した。あの時はピンと来なかったけど、この曲だけは、素直にいいと思った。
[窓の氷が溶け出すころには きっと帰るからさ]
今日は、本当に気持ちがこもっていたと思うんだ。

「虹」は、フジロックで見た虹を思い出した。うすぼんやりとした、あの虹を思った。 間奏のギターソロの直前、細美さんが叫んだ。
「ギター、生形!」
高音のギターの音が、きらきらとしていた。

「Middle Of Nowhere」は、なんで聴くだけで、音だけで、泣けてくるんだろう。 バンドの一体感が、一番感じ取れる曲だからだろうか。
音が重なる。大丈夫、バラバラなんかじゃない。

赤と青の照明は、なんだか血みたいで、滲んだ視界で見たら、光が混じって濃いピンクに見えた。

そして。
あんなにこころが痛くなる「Missing」と「高架線」は、今までなかった。

[ソーダの中の宝石 入っていなかった金貨 容易く折れたナイフ 羽根のついた髪飾り  一滴の水で泳ぐ 勝算みたいなもの あたたかい毛布も大切なんだ
重なって 少し楽になって 見つかってはここに逃げ込んで 笑ったこと思い出して We're missing] (Missing)

[ゆっくりと傾く足元に気をつけて 思うよりあなたはずっと強いからね
耳鳴りが止まないな きみの声がまだ聞こえるよ
何億年も前につけた傷跡なら残って 消えなくてもいいさ 痛みはもうないからね
血のにじんだ足跡 置いて行かれた記憶も 誰にだってあるだろ
隠すつもりもないけど](高架線)

伝えたいという気持ちが、痛いほど伝わってきた。
そんな歌い方だった。 跳ぶことも、忘れてしまった。

声は揺れてなかったけれど、細美さんは、泣きそうだったと思う。

ひとこと、「行こうか」と、投げかけて「BBQ RIOT SONG」を始める。
細美さん、大丈夫かな、と思った時だった。 

「聴こえねぇーぞ!!」と叫ぶ細美さん。
生形さんが横目で細美さんを見る。 立て直し方が、彼らしくて、「ああ細美さんだ」となんだか納得した。

今日は「Supernova」で泣かなかった。
「風の日」では、ドラムにもたれるようにして、みんなが唄ってる姿をじっと高橋さんは見てた。

「I Hate It」は、いつかの神戸のライブの時と同じくらい、響いてきた。
動けなかった。忘れたくなくて、ただ眼をあけてるだけで精一杯だった。
また視界が滲んだ。

「Red Hot」。メンバーは、笑顔だった。

細美「ずっとオレたちは、ものわかりがよくなることに抵抗してきた10年間でした。 この先10年も、ものわかりがよくならないように、ちょっとおやすみするわ」

細美「今ここに立てているのは、オレたち4人以外の人たちのお陰です。 ありがとうございました。」

細美「オレは、末っ子で、天上天下、唯我独尊っていうの?だから、自分だけが頑張ったからだって思ってたこともある。 今も自信はあるよ?でも…」
唇をかんだような顔で、周りを見渡す。泣くのを堪えたと思う。

細美「ありがとう」

細美「くたばるなら、歌うたってる時だから。それ以外じゃ、くたばんねえから。よろしくお願いします!」

今日もメンバーに届けとばかり、ジターバグは歌った。(近くにいた人、ごめん)
[いつだって君の声がこの暗闇を切り裂いてくれてる いつかそんな言葉が僕のものになりますように そうなりますように]

本編終了。汗まみれなのに、清々しい終わりだった。

彼らは、アンコールに応えてくれた。

細美「10年間やってきて、よかったことは、お前らに会えたことだよ。
バンドは、オーディエンスを選べないっていうけど、よかったよ。バカみたいなのばっかりで」

聞こえるかな、と云って、マイクなしで細美さんが叫ぶ。 聞こえる?その問いかけに思わずOKマークを指でつくる。 マイクなしで、彼はそのまま続けた。
「人生でさ、5年とか10年、いい人だと思ってつきあってた人が、仲良かった人が、 実はそうじゃなかった、って思いをお前らもしてると思うんだ。
でもオレらは、そうじゃないから。 自分で言うなよ、って思うかもしんないけど! お前らを裏切るようなことは、しねえから!」

笑顔の細美さんが見えた。
「わかられたがりの、愛されたがりの、寂しがりや。 オレらみんなそうなんだ」

「金星」のイントロが鳴り響く。
幕張でも涙がとまらなくなって、ほとんど記憶がない私は、絶対に見なきゃと思った。 俯いちゃいけないと、痛いくらい歯をくいしばって見てた。
涙のお陰で、逆に眼が潤って、視界がよくなった。

[はっきりと言わない言葉は傷つける 恨まれることさえ出来ない そんな風になりたくないよ]

今日も細美さんは、力を込めて歌った。
[ねえ この夜が終わる頃 僕らも消えてゆく
そう思えば 君にとって 大事なことなんて いくつもないと思うんだ]

そして今日は、私たちにも気持ちを分けてくれたのだ。
<君にとって>
そのフレーズが、思い切り飛び込んできた。たぶん、あの会場にいた全ての人たちに。

「何人か泣いてるやついるけどよー、まさかオレだけじゃないよな?
この4人が、またここに立つって思ってるのは!」

泣き笑いになる。
そして人差し指を、空に掲げる。だって聴こえてきたこの音は、「Surfrider Association」のイントロだから。

ありがとうございました!と彼らが去っても、アンコールの声を張り上げた。 彼らに予定調和のアンコールなどさせたくなかった。

そして、ダブルアンコール。
雄一くんが、いつも通りに出てくる。が、誰も後に続かない。
「え?マジで?」といった素振りで、近くにいたカメラマンの橋本さんに助けを求め、袖に戻ろうとする雄一くんに、「戻れ!」とばかりに手招く橋本さん。 もしかしたらなんかしゃべれと袖から合図が出てたかもしれないけれど、雄一くんがしゃべったことといったら 「おい」と「こいよ」(メンバーに)だけだった。しかもおいでおいでという手招きつき。 大爆笑。さすがエルレのいじめられっこ。

最初から!ってファンの声を、細美さんは笑って受け止める。
「こっから始まるんだろ?オレらもお前らも。 過ぎちまったことはしょうがないじゃん。 忘れられない嫌なことって沢山あるだろ? 残念ながら、増えてくんだよ、それは。 でも過去に囚われて、今が楽しめないのは、嫌だよな。 なんで、こんな話してるのかわかんないけど。 はい、あと2曲やったら、もう出てきません!! ありがとうございました!」

鳴らされた曲は「Insane」だった。 
[I don't wanna see you cry. I'm here next to you] 

私は、泣いてばっかりだったな。
掻き鳴らされるギターの音の中で、細美さんが歌うのを止める。
歯を食いしばるようにして、ギターを掻き鳴らす。
そして、続けた。
[君が生きてる 君が生きてるから]

生きてるから、こころが痛む。
生きてるから、涙が出る。
だから、何もおかしくなんかないんだ。

「The Autumn Song」で、大団円。
かと、思いきや、まさかのトリプルアンコール。

高橋さんが出てきて、また取り残されるが、彼は動じない。
着替えた生形さんに、雄一くん、そして、脱いでしまったタンクトップを着ながら、細美さんが現れる。 みんな笑顔だ。

「絶対出てこないっていったのに、出てきました。まあこういう変なバンドだよ。 言った事守らないとかじゃないよ?嬉しいよな?(お前らが)嬉しいと思うのが、オレらもわかるからするんだ」

「未来は見えないから、約束ってしづらいよな。 オレは、約束ってさ、確固たる自信がないとするもんじゃないと思うんだ。 そんときは本当に思ってたんだ、っていうのは、通用しないとオレは思う。 だからオレは約束します。この4人で絶対に戻ってきます!」

細美さんの顔は、明るい。
生形さんも、高橋さんも笑ってた。たぶん雄一くんも。

やっと、私は納得することにした。 もう、泣かないよ。

最後に彼らがやってくれたのは、「月」。
嬉しすぎてリズムが上手くとれなかった。
曲中、座ることをしらない人も多かった。そそくさと私は座った。他の人も。 メンバーもしゃがみこんだ。

初めて自分でこのバンドのライブを観に行きたい、と思って観に行った、横浜のF.A.Dを思い出した。 そこでも「月」を演ってくれた。
コーストでも座れるもんだね。
細美「バルコニーのやつも座れ!塁も座れ!」 (←カメラマンの橋本さんに)

[ビルの底 沈む夕日に 目が離せずに立ち止まった
風の吹く音 夜空の星座 そういうものには 勝てない
ただ少しだけ 君のこととか 思い浮かべて 眠った]

ドラムがドカドカ鳴る。エンディングは、いつもより長かった。それが嬉しかった。

駅までの途中で遠目に見た、お台場の観覧車がキレイだった。
月も星もなにもなかった。けど、キレイな夜だと思えた。
気持ちが満たされてるからだろう。

ほんとうに、ほんとうに、ありがとうございました。
ELLEGARDENに。そして、会場にいた、会場に来れなかったみんなに。

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