歌詞和訳#1 Bruce Springsteen   「The Promise 」


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歌詞和訳#1ということで、僕のお気に入り、Bruce SpringsteenのThe Promiseの和訳をしたいと思います。

 2010年発売の、未発表曲を収録したアルバム、「The Promise」に収録されているこの曲。Bruce Springsteenの最高傑作とも称される圧倒的なリリック。背景を知ればさらにその魅力に引き込まれることでしょう。では、さっそく和訳をどうぞ。

※以下 英語歌詞 https://brucespringsteen.net/albums/the-promise より引用

Johnny works in a factory and Billy works downtown
Terry works in a rock and roll band
Lookin' for that million-dollar sound
I got a little job down in Darlington
But some nights I don't go
Some nights I go to the drive-in, or some nights I stay home

ジョニーは工場で働いてる
ビリーはダウンタウンで
テリーはヒットを目指して
バンドで頑張ってる

俺はダーリントンで仕事を得た
行かない夜もあれば
ドライブインに行く夜も
家にいる夜もある

I followed that dream just like those guys do up on the screen
And I drive a Challenger down Route 9 through the dead ends and all the bad scenes
And when the promise was broken, I cashed in a few of my dreams

スターのように夢を追いかけ
難所や行き止まりを超えながら
チャレンジャーで9号線を駆け抜けていく
しかし約束は破られ
俺は夢を金に換えた

Well now I built that Challenger by myself
But I needed money and so I sold it
I lived a secret I should'a kept to myself
But I got drunk one night and I told it

一人でチャレンジャーを作ったが
金のために売ってしまった
秘密を抱えて生きてきたが
ある夜酔って全て話してしまった

All my life I fought this fight
The fight that no man can never win
Every day it just gets harder to live
This dream I'm believing in

ずっと勝ち目もないのに戦い続けてきた
日ごと、自分の夢を生きられなくなっていく

Thunder Road, oh baby you were so right
Thunder Road there's something dyin' on the highway tonight

サンダーロードよ
お前は正しかったんだ
サンダーロード
今夜も何かが失われていく

I won big once and I hit the coast
But somehow I paid the big cost
Inside I felt like I was carryin' the broken spirits
Of all the other ones who lost

一度は勝利を手にしたが
なぜか対価を払うはめに
自分は敗者以外の何者でもないように感じる

When the promise is broken you go on living
But it steals something from down in your soul
Like when the truth is spoken and it don't make no difference
Something in your heart goes cold

約束が破られても
生きていかなければならない
でも、何かが心から抜け落ち
真実に意味などなくなり

心は冷え切っていく

I followed that dream through the southwestern flats
That dead ends in two-bit bars
And when the promise was broken I was far away from home
Sleepin' in the back seat of a borrowed car

南西の轍に沿って夢を追いかけた
難所や誘惑を超えながら
約束は破られた
故郷から遠く離れ
バックシートにもたれ、眠る

Thunder Road, for the lost lovers and all the fixed games
Thunder Road, for the tires rushing by in the rain
Thunder Road, Billy and me we'd always say
Thunder Road, we were gonna take it all and throw it all away

サンダーロード
迷える恋人たちと、全ての出来レースのため
サンダーロード
しぶきをあげるタイヤのため
サンダーロード
俺とビリーがよく口にしたこと
サンダーロード
俺たちは手にしたすべてと、やがて決別するのだと


 いかがでしたか?ここからは少し背景を含めて解説をしていきたいと思います。

 まず、最初の登場人物3人のお話です。ジョニー・テリー・ビリーは、それぞれBruce Springsteenの他の曲の主人公なのです。彼らは青春の群像を追いかけたセカンドアルバム「青春の叫び」、そして初の大ヒットとなったサードアルバム「明日なき暴走」に登場します。

 彼らは、それぞれのアルバムの後、それぞれの人生があり、それぞれの夢を追いかけて、このThe Promiseに再登場します。夢破れたもの、夢を追い続けるもの、若さと青春を駆け抜け、それが終わった時の、それぞれの思いが交錯しているようです。


 そして、俺。生きていくということそのものを表しているものだと思います。3人と同じように、夢を追いかけ、夢破れてしまった。夢を金に換えて生きていても、探し求めていた真実に意味はなく、冷え切った心を抱えて生きていくしかない。そのような苦悩を表現しているのではないでしょうか。


 最後に、サビで出てくる「サンダーロード」という言葉。これは、サードアルバム「明日なき暴走」の1曲目に収録されている「Thunder Road」という曲のフレーズのことです。 Thunder Roadという曲、簡単にまとめれば、「約束の地を目指して」というテイストの曲です。Thunder Roadは、「雷鳴の轟く道」、その道を駆け抜けて約束の地へ、という意味です。

 約束の地へと続く道もきっとあっただろうが、それを見つけて、選択することができなかった。後戻りもできず、今の道を進むしかない。その後悔を「お前は正しかったんだ」という言葉で表していると思います。


 そして、最後はこの言葉で締められます。

We were gonna take it all and throw it all away

俺たちは手にしたすべてと、やがて決別するのだと。


~あとがき~

和訳に限らず、音楽を聴くとき、自分を投影する方が多いのではないでしょうか。僕も例外ではないようで、どうしても自分自身の経験や思いも少し入ってしまいます。それも含めて音楽だと思います。皆さんも、自分の経験や思いを、この曲と重ねてみてください。そして、明日に向けて顔を上げる力にしてみてください。この記事がその一助になれば幸いです。

2021/10/1 20:10




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