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【グラジオラスの花束 〜真夏に何か起きるのかしら〜「小島凪紗」】13話



また今日も午前の部活が終わったあと、『渚』でバイト。

「なぎちゃんちょっとこっちおいで」
「はい!」

掃除をしてたら店長に呼ばれる。

「最近元気じゃん、結冬くんと仲直りできた?」
「あ!そうなんです!キス誤解だったみたいで....🫣」
「そっかそっか笑  良かったね笑」
「良かったです.....笑」
「でね、今年の夏休みなんだけど、海の家をやる予定でね」
「え!楽しそう!」
「どう?夏休み、泊まり込みでバイトって大丈夫?」
「大丈夫です!うちのテニス部、今年から夏休みの練習無くなったので!」
「そうなの?」
「はい!熱中症対策ってやつらしいです」
「ほへ〜いい時代になったねぇ」
「その代わり個々で自主練ですけどね.....笑」
「じゃあ出れそうだね」
「はい!お手伝いさせてください!」
「結冬くんも来れるかな」
「あいつ、どうせ暇なので笑」
「じゃあ伝えて貰える?」
「分かりました!」
「じゃあさっきの所の掃除が終わったら上がっても大丈夫だからね」
「はい!お疲れ様です!」

掃除をちゃちゃっと終わらせ、結冬に電話する。

[もしもし]
[もしもし結冬?]
[なに?]
[夏休み、暇?]
[なんで?]
[夏休み限定で海の家でバイトしない?]
[え、ごめん村山から誘われてる]
[.....え?]
[あれ?聞いてない?]
[聞いてない.....]
[あ、違うわ僕が言うんだった]
[美羽のばかって言っといて]
[この前の仕返し?笑]
[うん、笑]
[任せろ]
[どこでバイトするの?]
[なんか『マーメイド』が海の家で出店って言ってたから、てかワンチャン一緒じゃない?]
[ちょっと待ってて]

裏に居る店長に確認してみる。

「店長〜!」
「どした?」
「『マーメイド』も来るんですか?」
「あれ?言ってなかったっけ」
「何を?」
「マーメイドとコラボ出店だよ」
「えぇ!!?」

[もしもし?]
[コラボ出店だって!]
[『渚』と?]
[そうみたい]
[あ、そうなんだ知らなかったわ]
[美羽からなんて聞いてたの?笑]
[村山の真似して言うね]
[うん笑]
[『夏休み暇でしょ?一緒にバイトするよ』って笑]
[似てる!笑笑]
[今度村山の前でしてみようかな]
[怒られろ笑  てか美羽からも暇だと思われてる結冬、面白すぎ笑]
[あいつ失礼だよな?笑]
[仲良い証拠じゃん笑]
[なんかこっちは車で行くらしいんだけどそっちは?]

「店長、車で行くんですか?」
「うんそうだよ。一応5人乗れるやつなんだけど、結冬くん誰かと一緒?」

[もしもし]
[うん]
[一緒に行くのって美羽だけ?]
[そうだよ]

「結冬と私の共通の友達が来ます」
「じゃあこっちに3人乗る?璃花ちゃんとこのバイトの子が2人いて、あっちの方が荷物多いはずだから丁度いいんじゃない?璃花ちゃんにはこの後、俺から伝えとくわ」
「分かりました!」

[もしもし結冬?]
[なに?]
[店長が2人もこっち乗りなって]
[分かった〜]
[今度こそちゃんと美羽に伝えてね]
[なんでだよ直接やり取りしろよ笑]
[いいじゃん笑  あと美羽のばかも忘れずにね]
[はいはい]
[ねぇねぇ今日そっち行ってもいい?]
[いや今なぎの部屋だから]
[また勝手に!!]
[漫画読んでま〜す]
[ばかばかばか!!]
[ブルーロックの22巻どこにあんの?]
[どこだっけ.....]
[てか部屋片付けろよ]
[ねぇ!ちょっと勝手に触らないでよ!?]
[早く帰ってきて]
[分かったから触るな!!]

急いで着替えて店を出ると結冬が居た。

「なんで居るの!?」
「漫画買いに行ったついでに一緒に帰ろうと思って」
「言ってよ!ビックリしたじゃん!」
「なぎのその驚いた時のアホ面好きだからさ」
「怒るよ😠」
「お〜怖っ」
「ねね待って、まだ靴ちゃんと履いてない」
「早くして置いてくよ」
「肩貸して」
「はい」

結冬の両肩を持ち逆膝カックンを喰らわす。

「痛っ!」
「痛ぁ〜い!!」
「なんでなぎの方が喰らってんだよ笑」
「結冬のばか....🥺」
「いやいや....笑」

帰る途中、いつも大きな川を通る。

「なんか久しぶりじゃない?こうやって帰るの」
「いつぶり?」
「3月くらい」
「4ヶ月ぶりじゃん」
「怖ぁ〜.....」
「それなぁ〜.....」
「ねぇねぇ水切りで負けた方が勝った人の荷物持つやつやらない?」
「なんで僕がわざわざ損しなきゃいけないんだよ笑  漫画しか持ってないのに」
「負け犬」
「かかってこい」

意外にも白熱した。

「なんかなぎ上手くね?」
「へっへ〜ん!今、負けを認めたら荷物交換にしてあげる」
「変わんないよ漫画1冊如き」
「次で最後ね?」
「うん」
「いくよ....」

投げた石は水面を走り向こう岸まで届く寸前で沈んだ。

「はい勝った〜」
「いやここで向こう岸に着けば僕の勝ちだから」
「どうせ出来ないけどね」

負けた。

「やだやだやだ荷物重い足痛い喉乾いた」
「自分が持ってきた荷物だろ」
「持って〜おねが〜い」
「はぁ....1番重たいのは?」
「これ!」
「じゃあそれ以外ね」
「いじわる!ばか!いじわるばか!!」
「ばか関係ないだろ」
「結冬なんて嫌い!!」
「分かったよ、交換ね」
「いぇ〜い」
「嫌いって言えば言う事聞くと思ってるだろ」
「思ってないよやだな〜」
「なぎなんか嫌いだ」
「ふんっ!」

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