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【グラジオラスの花束 〜何度LOVE SONGの歌詞を読み返しただろう〜「村山美羽編」】1話


「えーっと.....村山美羽です。人見知りなので優しく話しかけてください.....」

この瞬間が嫌い。
自惚れてる訳じゃないけど今までの経験でみんなの視線の意味が解る。
.....だからこの瞬間が嫌い。

注目されたくない。

「はい、お待たせ」
「ありがと.....」
「僕、沢村結冬。でこいつが幼なじみの小島凪紗」
「どうも〜👋🙂」
「分かんない事あったらこいつに聞いて」
「.....え!?そういうのって大体自分じゃないの?」
「え〜めんどくさいもん」

何この人.....。

「ごめんね〜こんな奴が隣で」
「ううん、ありがと」

チャイムー

チャイムと同時に囲まれてしまう。

『なあなあ村山ってどこから転校してきたん?』
『みゆ?みう?どっち?』
『部活何に入るか決まってる?』

助けて〜.....。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「はい、もう終わり。今日もお疲れちゃーん早く帰れー」

やっと終わった.....。

「なぎー、今日お前ん家行っていい?」

ふと沢村くんたちの会話が気になる。

「いいけど、部屋荒らさないでよ?」
「もちー」
「じゃあ部活行ってくるから!」
「ん、がんばー」

カップルかなぁ.....。

「.....ねぇねぇ」
「ん?なに?」
「2人って付き合ってんの?」
「ううん、ただの幼なじみ」
「そっか.....」
「村山は幼なじみ居ないの?」
「居ないよ、ずっと転校繰り返してるから」
「そっか.....親の仕事?」
「いや、いつもはそうなんだけど今回はお姉ちゃんの転勤に着いてきた。高校卒業までは東京に居れるから」
「そう.....じゃあお先」
「あ、待って」

つい、かばんを掴んでしまった。

「なに?」
「家どっち?」
「え?正門から左の方向」
「一緒に帰ってもいい?」
「別にいいけど」
「途中、書類出すのに職員室寄りたい」
「いいよ」
「ありがと」

沢村くんが放つ独特な雰囲気に惹かれてしまった。

「いつから小島さんと知り合いなの?」
「産まれた時かららしい」
「へ〜」
「てかなぎって呼んであげて、喜ぶから」
「いきなり?」
「さっき呼んで欲しいな〜って言ってたから大丈夫」
「そっか.....凪紗って名前可愛いよね」
「あ〜.....たしかに呼びやすい」
「.....そこ?笑」
「大事でしょ笑」
「ふふっ笑  変なの笑」
「いきなり変な奴扱いかよ.....笑」
「え、違う。褒めたんだよ笑」
「いや無理だろ笑」

この人ならたぶん大丈夫かも。

「ねぇねぇ明日放課後暇?」
「なんで?」
「部活紹介してくれない?なんかさっき先生が明日までに決めろって」
「んー.....なぎの方が詳しいよ」
「今、面倒くさがったよね?」
「え、なんでバレた?」
「沢村くん、なんか分かりやすいから」
「なぎ以外に初めて言われた」
「そう?.....明日何かあるの?」
「うん、一応なぎとカフェに行く予定」
「デート?」
「ううん、たまーにそこでご飯食べてるだけ。焼きオムライスが美味しいんだ」
「へ〜じゃあ無理か.....」
「いや別にいいけど。村山のは期限あるし、なんならなぎも呼ぶ?」
「小島さん呼んだら沢村くん帰るでしょ」
「うん帰る」
「じゃあ呼んじゃダメ」
「えぇ.....」
「さっき面倒くさがった罰。ちょっと傷ついたんだから」
「えぇ...漫画読みたいのに.....」
「なんの漫画?」
「『いつまで経っても』っていう漫画」

うそ.....。

「え、それ私も最新話まで読んでる」
「まじ?なぎ以外に読んでる人、初めて会った」
「そんな事ないでしょ笑  じゃあ私こっちだから、明日よろしくね」
「良いって言ってないけど〜」

仲良くなれそう.....。

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