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【グラジオラスの花束 〜無言の宇宙〜「上村莉菜編」】3話


「渚!僕はやっぱりキミの事が.....」
「やめてよ.....もう好きじゃないから......」
「嘘だ!!ならなんでそのネックレスをまだ付けてるんだ?」
「これは......」
『カットォ!!!上村!!表情が硬い!!』
「はい!すみませ〜ん!」
『あと永田!!お前今から渚にキスするんだからもうちょっと間を持たせろ!ムードが足りない!』
「はい!すみません!」
「ごめんね永田くん....」
「いや、こっちこそごめん....」
『これからキスシーンもあるんだからもう1回2人で話し合え!今日はここまで!』
「部長、高校最後の脚本だから気合い入ってるね.....」
「ね......」
「.....上村さんは内村くんとキスしたことある?」
「あ、ある.....けど」
「そっか.......」
「永田くんは?」
「.........自分からはない」
「え!?全部彼女さんから?」
「うん......恥ずかしくてできなくて」
「じゃあどうするの.....?優人からキスするシーン」
「そうなんだよね.......上村さんから初めてキスしたのいつ?」
「聞く?笑」
「あ、いやごめん!そういうつもりじゃ!」
「分かってるよ、からかっただけ笑」
「どうだった.......?」
「去年の秋だったんだけど、その時は失敗しちゃって.....笑」
「失敗?」
「亮くんのお家で勉強してる時に私、立とうとして転んじゃって.....笑」
「まさか.....?」
「うん、そのまさかでそのまま倒れた時にキスしちゃった笑」
「それは.....笑」
「もうそれがおかしくて笑  2人で笑ってた」
「そっか.....笑  そういうのなんかいいね」
「永田くんはしようとはしたの?」
「うん....何度かそういう雰囲気になるんだけど手前になると急に恥ずかしくなって結局彼女からさせてしまう......」
「そっかぁ.....」
「今回の役がちょっと自分に似てるからいけると思ったんだけどやっぱり厳しいかも....」
「勇気が出た優人と勇気が出ない永田くん....」
「真反対だね.....笑」
「彼女さんは大丈夫?」
「あ〜.....うん多分.....ちゃんと伝えてはみた」
「なんて言ってた?」
「好意がないなら演技のために許す。でも少しでも上村さんに好意を抱いたと思ったら別れるって」
「まぁそうだよね....うちも大体一緒」
「未だに内村くんとすれ違う時、殺意を感じるけどね....笑」
「ごめんね〜笑笑」
「.......まずは頑張って彼女に自分からしてみる」
「うん、頑張って」
「じゃあ待たせてるからお先」
「おつかれ〜」
「莉菜〜!」
「亮くん!」
「まだキスしてないよね?ね?ね?」
「怖いよ亮くん....笑」
「許すとは言ったけど許してはないからね?」
「どういうこと笑」
「僕の方が大人だから許してる風にしてるだけで僕が莉菜より誕生日遅かったら大声出して泣いてるからね?」
「はいはい笑」
「ねー分かってる?」
「亮くんしか好きにならないから大丈夫だって」
「じゃあここで今すぐキs」
「......これでいい?」
「......は、はい」
「もう笑  ほんと大型犬なんだから笑」

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