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【グラジオラスの花束 〜恋は向いてない〜「藤吉夏鈴」】6話



アンケート結果を共有するために幸村を呼び出した。

「回答人数28人って.....まぁこんなもんか〜.....」
「もっと協力してくれてもよくない?」
「しょうがないよ、私たち友達居ないじゃん.....」
「言わないでよ.....」
「でもやっぱみんな恋してんだね〜」
「85%って高いのかな」
「高いんじゃない?」
「あとなんか10歳で初めて恋に落ちる人多いね」
「ほんとだね、何かあったっけ?」
「小3くらいか.....」
「でもたしかにその辺から私の周りでも恋バナする子増えたかも...藤吉は?」
「私のとこもそんな感じ」
「見てここ面白いよ」
「どこ?」
「初恋の時、年下の子に恋をすること無いみたい」
「ほんとだ.....」
「仮に初恋が10歳だとして年下って9歳以下か.....そりゃないか笑」
「こうしてデータで見てみると面白いね」
「ね」
「一旦データまとめるね」
「ありがとう」
「.....その間幸村、何すんの?」
「え?ん〜.....応援する!」
「いらないよ」
「がんばれ!!」
「うるさい」

しばらく無言で作業している間、幸村はスマホを見ていた。
ただその表情は寂しそうに見えた。

「.....なんかあった?」
「え?なんで?」
「いや.....やっぱり勘違いかも」
「ううん...なんか...あったよ.....」
「なに?」
「瞳月と最近上手くいってないんだよね」
「そう.....」

帰ってくる答えは分かってたのになんで聞いてしまったんだろう。

「ずっとすれ違い多くてさ」
「すれ違い?」
「うん、別に全部些細なことなんだけどその度にちょっとずつ我慢してる自分が居てね」
「そんなの瞳月ちゃんだって同じじゃ?」
「毎回折れるの私なんだよね」
「たまたまなんじゃない?」
「そんなことないよ」
「じゃあ別れたら?」
「.....やっぱりそうだよね」

『酷い』とか罵ってくれた方が幾分かマシだったのに。

「てか私に相談しないでよ」
「だって相談できる人、藤吉くらいしか居ないし」
「私に相談したって答え出るわけないでしょ」
「そうだけど.....」
「幸村の中ではどうなの?別れたいか別れたくないか」
「そりゃもちろん別れたくないよ?」
「じゃあもう答え出てんじゃん」
「それに最近瞳月、忙しそうで」
「もうすぐ夏休みなのに?」
「スカウトされて今、必死にレッスン中」
「.....そんなことになってたんだ」
「それの相談も無かったんだよ?」
「別に幸村に相談することでもなくない?」
「そうだけど.....連絡も次の日に帰ってくること多くてね」
「.....」
「言っても私たち恋人だよ?少しくらい時間作ろうとしない?」
「.....幸村、瞳月ちゃんの邪魔になってない?」
「.....え」

違う、なんでそんなこと.....。
自分の真っ黒な部分が出てきた気がして急いで隠す。

「あ、いや...ごめん.....」
「.....しちゃってるかも」
「いや待って、よく考えて」
「無理だよ、気づいちゃったもん.....」
「幸村.....」

彼女の綺麗な眼は悲しみを帯びていた。

「藤吉、明日暇?」
「夜までは暇だけど」
「明日2人で映画を観に行く予定なの」
「そう.....」
「でもたぶん忘れてる」
「そんな事ないでしょ」
「.....藤吉、一緒に観に行かない?」
「なんで?瞳月ちゃんと行きなよ」
「邪魔したくない」
「考えすぎだって」
「誰かに居て欲しいの」

どうしろと.....。

「.....分かったよ」
「明日19時に櫻丘駅に来て」
「うん」
「泣いちゃったらごめんね」
「いいよそれくらい」

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