【グラジオラスの花束 〜恋は向いてない〜「藤吉夏鈴」】3話
目覚ましよりも少し早く起きて、シャワーを浴びて自室に戻っていた。
「夏鈴〜早く起きへんと間に合わへんよ〜!」
「起きてるー!」
「なんや起きてたんね.....スーツ似合ってるやん🙂」
「そうかな.....」
リビングに行くとまだお父さんも居た。
「夏鈴ももう大学生かぁ」
「パパもはよ準備せな仕込み遅れんで!」
「やば!ママご馳走様!」
「ほら夏鈴も急ぎ!ちゃんと暖かい格好して!」
玄関の鏡で再度、ちゃんとした格好をしてるか確認する。
「ママ...どう?大学生に見えるかな.....」
「うん、さすが私の娘やね」
「なにそれ...笑 行ってきます」
「夏鈴!ちょっと待ち!これ持って!」
「なにこれ」
「いいから!はいチーズ!」
「なんでお花?」
「そりゃめでたい日やからに決まってるやん!」
「こんな急ぎな事ある.....?笑」
「あんたが早く準備せんからやろ!ほら気いつけて行くんやで!」
「はーい、行ってきます」
漫画じゃないからほんとに一緒の大学に行けるなんて思ってない。
それでも、たとえ確率が低くても、もう一度幸村と会いたかった。
会ってちゃんと伝えたかった。
大学についた私は案内図の前で迷っていた。
「あぁもう...この大学の講堂分かりづらいよ.....」
「あの〜...もしかして迷子ですか?」
「.....え?」
この声.....。
「自分も迷ってるんです」
「うそ.....」
なんで.....。
「迷子同士、一緒に校内探索しませんか?🙂」
「幸村!!」
「久しぶり、藤吉🙂」
「.....たかった」
「なに?」
「会いたかった!」
「ど、どうしたの急に」
「会いたかったの!すごい寂しかったんだから!」
「😳」
「だから春休みに何回連絡しようと思ったか!!なのになんで連絡先だけは頑なに聞いてくれなかったの!!」
「てっきり自分には興味ないと思って.....」
「.....会えて嬉しい」
「ありがと.....」
「あの...さ.....」
「ん?」
「このあと時間ない?」
「あぁ、いや.....」
「陽〜!」
声の方を向くと可愛らしい女の子が居た。
「えーっと.....?」
どこかで見たことあるような.....。
「藤吉夏鈴、私の友達」
「え」
「ど、どうも.....」
なぜかすごく睨まれる。
「この子は山下瞳月.....一応付き合ってる」
え、
「そっ...か.....」
「えーっと....今日終わってから時間ない?」
どういうこと.....。
「ちょっとだけ話そうよ」
「.....やめておく」
やっぱり私に恋は向いてない。
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