レコードには、聞こえない音の中に漂う空気感がある。
今年の3月から軽トラで日本中を走り回って、やっと九州に帰ってきた。
下道で10000キロ、よく走ってくれた。
だから今日、前から気になっていた、実家の近くにあるレコード屋に行ってみた。
ホームページに
って書いてあったから、それに合わせて🚶
4時に行ったけどお客さんはぼく以外誰もいなかった。
お店の中にはひとり、PatagoniaのTシャツを着た店主(?)のおじさんがいた。
「ごめんね〜昨日ライブがあったから今日は人あんま来ないかも」
いつもは3~5人くらい集まって、自由に演奏しあってるらしい。
おじさんは、高校生の頃からレコード屋さんをしたいと思ってたんだって。
このお店は1980年くらいから続いていて、CDが出だした頃には一時的にCDショップになったけど、やっぱレコードやってなって戻したらしい。
ライブは20年くらい続けていているそうだ。
おじさんはぼくにレコードの良さを語ってくれた。おじさん曰く、レコードの良さは時間にあるという。
もちろん、レコードでしか味わえない音の良さというのもある。
でもノイズもあるし、きれいな音質という意味ではCDのほうが音質はいい。
だかしかしレコードは、そもそも音楽の聴き方が全然違うという。
CDとかスマホみたいに“ながら聴き”じゃなくて、音楽を聴く時間を作って、レコード選んで、セットして、針を落とす。
CDとかスマホに比べると、手間もかかるしスキップとかできなくて不便だけど、あえてレコードを聴く。
その、音楽とゆっくり向き合う時間を作れるということに、充実感や豊かさがあるんだという。
ドリンクを片手に、歌詞カードを見ながら音楽に浸る時間が、最高に贅沢なんだって語っていた。
なんかわかる。
ぼくは最近フィルムカメラにはまってるけど、それとなんか似てる気がした。
デジタルのほうが画質もいいし、手軽で便利だけど、あえてフィルムカメラにこだわる理由も、そんな感じなんだよね。
みたいな話をした。
やっぱり今日のフリーライブは誰も来ないっぽい。
すると「レコード聴かせてあげるよ」と、おじさん。
誰もが知ってるビートルズのあのアルバムの一曲目を聴かせてくれた。
ひとつひとつの楽器の音がちゃんと聞こえる。
でもバラバラじゃなくてひとつに重なってる。
今までそんなちゃんとビートルズ聞いてなかったのだろうか、すごいなぁってしみじみと感じた。
「あの時代にこの音をレコーディングできたのは、ビートルズだからだと思う」とおじさん。
「今は学校で音楽の知識とか学べて、そういうテンプレートみたいなものにある程度基づいて曲作るけど、ビートルズは今ある音楽のジャンルを築き上げたバンドだから、本人たちはなんかこういう音ほしいなみたいな感じで感覚で作ってたと思うんだよね」などと、ビートルズを語っていた。
他におすすめのアーティストいるか聞いたら、山下達郎のレコードもかけてくれた。
若い頃はよく山下達郎のCDを車で流してドライブしてたらしい。
ぼくはクリスマスイブしか知らなかったけど、他の達郎もすごく気に入った。
それから達郎を世に出したという大瀧詠一の『A LONG VACATION』もかけてくれた。
レコードには、誰かが昔書いた手書きの文字みたいなリアルさがあった。
音だけでは伝えきれない当時の空気感みたいなものまでが、レコードに閉じ込められているみたいだった。
「CDは耳に聞こえない音はカットしてあるんだけど、レコードには全部の音が入ってて、その聞こえない音が空気感として漂ってるんじゃないかとぼくは思うんだよね」とおじさん。
そう言われたらそんな気がした。
音楽に浸るというか溺れる。
そんな時間だった。
「ライブ以外でこんなに音楽に感動したのたぶん初めてです」ってぼくがいったら、おじさんよろこんでいた。
今は旅をしてるから自分でレコードを聴く時間は作りにくいけど、いつか自分の暮らしを作るときはレコード必須やな〜。
フリーライブは誰も来なかったけど、レコード聴けて大満足。
こういう空間が近くにあるのはうれしい。
最近は若い人も少しずつ増えてきてるみたいだから、ここでまたいい出会いが生まれるかも。
また遊び行こ!
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