【毎週ショートショートnote】放課後ランプ
(410文字)
毎日、決まったルートを配達していると、時間が過ぎるのが早い。
足立区の営業所を出て新宿、渋谷。遅延しないように車内で昼食を摂りながら運転し、配達を終える頃には陽が傾いている。
首都高で営業所に急ぐがいつも渋滞。
1日があっという間だ。子供の頃の1日はあんなに長く感じたのに。
「京橋ランプは渋滞中、お急ぎの方は放課後ランプへ」
ラジオから聞き慣れない言葉。放課後ランプ?
すると目の前に「放課後」と書かれた看板。思わずハンドルを切り、すぐに「放課後」出口を過ぎた。目の前には学校の校庭。子供たちが遊んでいる。
「浅井!遅かったな。ドロケイ始まってるよ。お前、よっちゃんチームな!」
あの声はタケシだ。しかも子供のまま。どういうことだ?
「早くしろよ!」
なんだか急に全てがどうでも良くなって、俺は遊びの輪の中に入った。そして遊び続けた。どれだけ遊んでもまだ陽は沈まない。
浅井がトラックごと失踪してから1ヶ月。警察は手がかりすら掴めていない。
参加させていただきました。
ランプというと明るい方かなと思いましたが、こっちのランプでアイデアが出てきましたので。
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