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【日記】あなたに聴いてほしい曲

(1250文字)
吉澤嘉代子というアーティストがいる。
もう何年前かな、7年くらい前だと思う。
何気なく深夜にテレビをつけっぱなしにしていたら、若手女性アーティストの特集をやっていて、この人の「東京絶景」という曲が流れた。
なにか、たまらなく懐かしい感じがした。

思わずAmazonで検索してポチりと。
いやぁ、まさかボクが若い女の子のCDを買うとは思わなかった。
同時に、ネットで検索してみると、埼玉県川口市の出身とのこと。
道理で。
ボクはそう思った。

ボクは埼玉県の草加市の生まれ育ち。
そう、草加煎餅ね。
草加って言うと、みんなそう言います(笑)
草加市と川口市は背中合わせ。
これ、住んでいたことのある人なら「背中合わせ」の感覚がわかると思う。
隣とか、向かい合わせではなく「背中合わせ」。
本筋から離れるので、とりあえず割愛。

草加市も川口市も東京のすぐ隣ではあるんだけど、そこには荒川という大きな川が流れている。
まぁ、草加の場合は違うんだけどね。
足立区に入って少しいくと荒川がある。
そして、その荒川を渡ったところが「東京」なんだよね。
そしてこの荒川の土手は、ボクの高校生時代の思い出の場所でもある。

夜中に家を抜け出して、友達と待ち合わせして東武伊勢崎線の登り最終電車に乗って小菅駅で降りる。
すぐ目の前の荒川の土手に登って、適当なところで腰を下ろして、東京の夜景を眺めながら色んなことを話す。
学校のこと、家族のこと、好きな女の子のこと。
寝っ転がってタバコふかしたりしながら。
帰りに放置自転車に二人乗りして国道4号線を走ってたらお巡りさんに止められたりして。
「すいませ〜ん」
なんて言いながら、コートのポケットのタバコをギュッと握り締めたり。

東京はいつも川の向こうで、出かけて行くところだった。
そこには夢なんていうとナンだけど、希望とか絶望とか、まぁ、とにかく全てがあった。憧れもするし、嫌いでもあった。
そんなあの頃の気持ちが、吉澤嘉代子の「東京絶景」を聴いて蘇ってきた。
そして彼女もまた、荒川の向こうに東京を眺めていたのだと思う。

それからボクは彼女のCDを買っていった。
そして彼女は小学生の頃から不登校だったということを知った。
娘に聴かせてみるとすっかり気に入って、妻も気に入って、家族で聴くようになった。

彼女のアルバムは、まるで短編小説のようだ。
様々な主人公が曲の舞台を動き回る。
それは多分、彼女自身ではないのだけど、時々、彼女自身の私小説のような曲もある。
苦しかった頃、辛かった頃の自分に向かって歌っている曲もある。
そしてボクの娘をはじめ、それに共鳴して救われる人たちもいる。

多分、たくさんのリスナーに受けてドカンと売れるアーティストではない。
だけど、深く心に響くという人たちは必ずいる。
特に、今の時代には。

前置きが1100文字を超えた。
前置きかよって感じだけど、何が言いたいかというと、このnoteの世界には、彼女の歌を聴いてほしいなぁ、と思う人がたくさんいる。
例えばこの曲。

この曲が響いたら、少しは楽になるかな。

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