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明けの明星

昨晩は少し早く眠りについたから
朝の目覚めは早くてすっきりとしている。

起きてすぐにベランダに出て空を眺めると
雲ひとつない青空にうっすらと小さく輝く星を見つけた。

明けの明星。

小さい頃から星が好きだったことを思い出した。
たしか、金星が朝早くにみれる季節は
寒くて、でも澄みきった透明度の高い空気。
夜が明けて、薄く青くなってくる空のなかに
溶け込むようにな光がひとつだけ輝いている。

金星は地球と一番近い星。
夜空の恒星は何万年も前の光だけど、
金星はそれと違って
地球と同じ太陽の光を浴びてキラキラと輝く星。

しばらく空を眺めていると、
その空間から身体で感じる
いろんな感覚が目覚めて、
自分も宇宙のなかの一部で、
いろんな時間を越えた情報の中、
五感を通して意識している
環世界でしかないことに、
少し不思議な感覚に襲われた。


無心になって朝のルーティーンをこなす。
腕立て伏せ、腹筋、背筋、スクワット
身体の内側から汲み上げてくるエネルギーを感じる。

いつもの時間に家を出て、
いつもの朝の散歩道を歩いている。
今日は昨日より寒くて、
お気に入りのネックウォーマーに守られながら
かじかんだ手をポケットに突っ込んで
自分の体温の温かさを感じている。


行き交う人たち。

足早に職場に向かうサラリーマンとすれ違い、
愛犬の散歩を楽しむ人を横目に
花壇の花たちは朝露でしっとりとキラキラと輝いている。

小学校に向かうお母さんと子どもたち、
小さな女の子の真新しいカバンに目を奪われた。

不安混じりの希望。
楽しいことや嫌なこと。
そんな思いをカバンに詰め込んで
毎日歩んでいくんだろうな。

いろんな出来事があって
いろんなことを考えても、
それで、ポジティブだったり、ネガティブだったり

過去の経験から何か学び利口になっても
踏みとどまっていたら
なにもしていないことには変わりなくて。
成功や失敗も変化する人生の起伏の連続でしかない。

いまと全力で向き合って一歩踏み出すことしか、
所詮、それくらいしかないんじゃないかな。



雲ひとつない青空に
明けの明星は溶け込んで消えていた。



©️2024 Mahalopine 

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