文化芸術活動の継続支援事業、すぐ改良できそうなポイントメモ
「文化芸術活動の継続支援事業」、一部で文句が噴出しているが、2021年度にも団体向けには何かしらの支援事業は行われる予定とのこと、何かしら効率化できそうなポイントを書いてみる。
1. 「会議費」は事業規模からの定率にするのが良いと思う
理由1)今の方法では、額に対して手間が多くなりやすい
1回1時間以上の会議につき、1人当たり150円上限で飲み物代を補助対象経費に算入できる決まりになっていた。報告書には会議の日付と簡単な内容、参加人数を記入する。
「会議費」の欄を埋めるのが少額の割に手間が多いと感じた。テレワークの今、オンライン会議で相手にお茶を出す事はできないから、自分の分だけなどを計上するから余計にそうなる。
理由2)メールやチャットでの打ち合わせを駆使するなどの、無駄な会議を減らす努力が評価されない
1回1時間未満の会議でも、メールやチャットでのやりとりであっても、打ち合わせやアイデアの出し合い、情報交換、発見等をしている事には変わりはないが、そのような工夫は全く評価されないというのは極端な差異である。また、これらはしばしば「1時間以上の会議」よりも効率的でもあるが、今のような補助金規定があると、現場の改革を妨げてしまう(時間の都合を合わせての双方向会議にも意義はあるが、必要量は各団体で異なる)。
理由3)報告された会議の回数に不正がないかを審査側が知る方法がない
特に団体の中の複数の構成員が同居しているなどの場合、FBメッセンジャーの通話記録等も残らないし、審査側も調べようがないだろう。また、会議費の報告書記入欄も、誰と会議をしたのかを書くところもなく、中途半端な確認仕様であった。
従って、従来型の「1時間以上の会議」をしたかどうかにかかわらず、事業規模(総予算や関わる人数で定義)の定率まで、飲み物代を「会議費」として計上できるようにするのが、申請側も審査側も手間も省けて良いと思う。話し合いに必要以上に時間をかける団体もなければ、打ち合わせ不足のまま公演等を行うという事も考えられず、量を尋ねる必要がないからである。
2. エクセルの数値を申請画面で手動で書き写す際、間違いが起きにくい申請画面に
できれば手動で書き写す事自体なくなって欲しいが、そうも行かないのであれば、エクセルでの種類分けや順番と同じ順番や小計の入力画面になっていると間違いが減ると思う(そこから事務局側で処理しやすい表示にする事は可能なはず)。あるいはエクセルのどこかに、申請画面にそのまま書き写せるように表示されたものがあると助けになる。
各芸術団体へ、たくさんの「訂正依頼」をこなされた事務局はすごいと思うが、それらの人件費は税金で賄われているので効率も考えなければならない。
3. Q&AはPDFに整えるより、どんどん公開、検索可能に
PDFの中の文はネット検索に引っかかる場合もあるが、引っかかりにくい。また、PDFがいつ更新されたのか、途中から発表がなくなったり、期間の最後のほうでは複数のPDFが色々なページに散らばるような事になった。
Q&Aが見つかりにくいと、沢山の人が同じ質問をして来て大変だろう(この人件費も税金から出ている)。また、一般的な質問なのに返事が個別に来るだけで公に発表されないと、「同様のケースでうちだけダメと言われたのではないか」と疑心暗鬼になる申請者が出るのもわからないではない。
勿論、補助金であるから最終的には採択・不採択は審査側の一存にはなるし、どこまでを舞台芸術と認めるのか、など微妙なケースにおいては個別の判断にはなろうが、応募規定自体について、申請者によって回答が異なって良いわけではない。一般的で単純な質問に対しても個別回答のみになるケースが多いように感じた。
このSNS時代に公式回答のオープンさが足りないと、すぐさま「うちはこう言われた」などの情報交換が始まりその中に間違い・勘違いがあったりで混乱や疑心暗鬼を招いたり、「私は文化庁と直接話してます」といった特別な地位をチラつかせてのコンサル商売なども発生する元となる。
Q&AをPDFに分野別に整えるのは大変だとも思うので、回答済みのものをどんどん、整理は後で良いのでとにかくサイト上に並べるだけでも、ふつうにGoogle検索等で引っかかり、応募者は見つけやすくなると思う(ブログのように、いつ追加された回答かが日付でわかるようにしたり、カテゴリーの他にタグなどでも負担の少ない整理は可能。RSSやメルマガなどで更新情報を受け取りたい人は設定できるようになれば尚良い)。
(*民間企業ではOKwaveなどQ&A向きのツールも使われているが、検索性はグーグルのサイト内検索等でも別に変わらないと思う。)
FAXでの回答が夜8時を回っていたり、回答内容は確かに私宛だが全然違う宛名で頂いた事もあり、残業やお疲れ具合が心配になった。
4. サイトの導線一本化を
2020年度の「文化芸術活動の継続支援事業」のメインサイトはhttps://keizokushien.ntj.jac.go.jp/ であったが、このサイトだけでなく、https://www.bunka.go.jp/shinsei_boshu/kobo/20200706.html (のしかも相当下のほう)も見に行かないと発表されている重要情報全てには当たれなかった(さらに他のサイトもあったのかも知れないが、筆者は知らない)。できれば一本化されているほうが、申請者からの無駄な質問は減ると思う。
5. 審査結果発表期限を予め決められないものだろうか
審査結果がいつ来るかわからなかったり、Q&Aに書かれた目安から大幅に遅れたりというのはやはり申請者には辛いものがある。
目安ではなく、申請から何日以内に採択・不採択通知をするという事を予め決めるのは無理なのだろうか・・無理なのだろうなあ・・。紛糾ぶりを見ると、目安はいっそ書かれてない方が良かったのではと思う事もある。
6. 軽微な分類訂正は報告時に回しても良いのでは
「こんな経費は認められるだろうか・・」と、応募後ドキドキしていたら、その箇所ではなく、「ドメイン代とサーバー代は借損料ではなく雑役務費に入れてください」という「訂正依頼」を頂いて拍子抜けした事があった。
この項目間は移動したところで申請額にも補助率にも全く変化はない(この補助金は、項目間の金額増減は活動がブレない限り自由という規定)。大体どのようなものを申請者が計上してくるかわかったところで共通項に対する決まりができて来たら、活動報告の手引きやQAに指示を掲載し、報告時に訂正する事でも良かったのではないだろうか。
7. 申請者は乱暴な言葉を吐いてはならない
ついイライラする事もあるのはわからんではない。しかし、事務局に向かって「〜するべきだ!」とか、審査や対応の現場を見に行った訳でもないのに「不手際だ!」などの断言はどうかと思う。
事務局からのお返事はいつも丁寧・親切・たいへん協力的で、1、2日以内であった。いやな返事をもらった人は、質問の仕方にも問題があったのではと思う。
8. 申請者は審査しやすい応募書類を出そう
特に審査結果を早くもらわないと困る人は、判断が微妙になるようなものをわざわざ予算に載せないほうが良いと思う。その経費が認められないと困るものなら載せたら良いと思うが、単価がとても安い事で有名な食べ物をめぐって「小道具だと言ってるのに認めてもらえず、審査結果が遅れ」といった出来事があったようだが、大量に購入したのかも知れないがちょっとどうかと思うよ・・。
わざわざ国民の税金から予算を頂いてプロとしての公演等を行わせて頂くというのは、大層な事なのである。普通の確定申告とかとは違った経費証明の厳密さは当然必要になる。
審査に当たる方も特殊ケースについては、自分のポケットマネーをどうするかを決めるように簡単には答えを出せないので、あまり難題は出さないほうが良いと思う。
そんなところで、2021年度も皆様良い芸術の日々を♪