Yuki Hasegawa

ニューヨーク在住の心理カウンセラーです。心理カウンセラーになるためにアメリカのコロンビア大学にて学んだこと、また実際の仕事を通して得た知識をより多くの方々にお伝えできればと思い、心に関する記事を投稿しています。

Yuki Hasegawa

ニューヨーク在住の心理カウンセラーです。心理カウンセラーになるためにアメリカのコロンビア大学にて学んだこと、また実際の仕事を通して得た知識をより多くの方々にお伝えできればと思い、心に関する記事を投稿しています。

    最近の記事

    なぜいつも同じような人を好きになる?3<親子関係で満たされなかった願望>

    前回の記事では、知らず知らずのうちに親と似た特性を持つ人に惹かれてしまうことがあるということをご説明しました。今回の記事では、どうしてそのような現象が起きるのかをご説明します。 心理学では、親と似た雰囲気、性格の人と交際することにより、親との間では満たされなかった願望を叶えようとする傾向がある、と考えられています。 たとえば前回の記事でご紹介したG子さんの場合、お父様と交際中のH男さんは、批判的で時にはモラハラ発言までする、という点で類似性がありました。 幼少期からお父

      • なぜいつも同じような人を好きになる?2<親と交際相手に類似点?!>

        前回の記事では、G子さんはいつも同じようなモラハラ男を好きになりがち、ということに気が付きました。今回の記事では、G子さんがそうした好みのタイプを持つに至った背景について探ります。 G子さんのように子供の頃に親から罵倒されると、幼い子供は親を批判することができないため「全て自分が悪いんだ」と思ってしまうものです。 G子さんご本人としては、「父と似たタイプの男性なんてお断り」と思っていたのに、実際にこれまで交際してきた相手がどこかお父様に似ていることに気が付き、愕然としたそ

        • なぜいつも同じような人を好きになる?1<タイプを知ろう>

          多くの人が恋愛において「好みのタイプ」を持っていると思います。その好みのタイプが、交際することであなたの幸せが増すようなものだとよいのですが、中には自分を辛い目に遭わせたり、利用したり、けなしたりする相手をいつも好きになってしまう人もいます。 このようなご相談をクライアントさんから受けることが多いので、今回は「なぜいつも同じような人を好きになるのか」をご説明したいと思います。 それではG子さん(女性、20代会社員)の事例を使って考えみましょう。 恋愛でうまくいかないこと

          • 日米のカウンセリング事情2<カウンセリングに対する意識の差>

            前回の記事『日米のカウンセリング事情1<保険適用の有無>』では、米国においては医療保険でカウンセリングがカバーされることが普及の背景にあることをご紹介しました。今回は、日米のカウンセリングに対する意識の違いについてご紹介します。 これまでの経験を通して私が感じてきたのは、日本人のクライアントさんには「内面的問題は自分一人で解決しなければならない」という考え方が根強いのではないか、ということです。そのため、初めていらしたクライアントさんから、 といった言葉を耳にすることがよ

            日米のカウンセリング事情1<医療保険適用の有無>

            日本でも近年メンタルヘルスやカウンセリングについて話題にされることが少しずつ増えてきたと思いますが、多くの人が気軽にカウンセラーに相談をするという習慣が根付くには、まだまだ乗り越えなければならない制度的・文化的障壁が残されていると感じています。そこで今回の記事では、カウンセリングが普及している米国と日本を比較することで、日本でカウンセリングを受診しやすくするにはどうすればよいかを考えてみたいと思います。 さて、カウンセリングを受けたことがない人にとって、それがどのようなもの

            いつも振り回されてばかりの恋愛4<恐怖を乗り越える>

            前回の記事『いつも振り回されてばかりの恋愛3<合わせてばかりだと相手から大切にしてもらえない>』では、Fさん(33歳女性、会社員)の事例を使って、相手に好かれようと自分を犠牲にして尽くすと、逆に大切にされなくなってしまうことがある、ということをご説明しました。 このダイナミクスを変えるには、自分の意思や感情をしっかり相手に伝え、嫌なものは嫌だと言えるようになることが大切です。しかし、これまで相手に合わせてきた人にとって、それは不安や恐怖を伴うものです。 そこで、今回はその

            いつも振り回されてばかりの恋愛3<合わせてばかりだと相手から大切にしてもらえない>

            前回の記事『いつも振り回されてばかりの恋愛2<自分を犠牲にして尽くしてしまう>』では、Fさん(33歳女性、会社員)の事例を使って、自分の気持ちを表現することが苦手になってしまう原因についてご紹介しました。今回は、その結果、相手から大切にしてもらえなくなってしまうことがあるということについてご説明します。 Fさんは、嫌な顔一つせずに尽くしたのにふられるなんてどうして…と疑問に思っていました。確かに私たちは、「いい人」でいれば相手から好かれると考えがちです。しかし、「いい人」の

            いつも振り回されてばかりの恋愛2<自分を犠牲にして尽くしてしまう>

            前回の記事『いつも振り回されてばかりの恋愛1<私は愛されない人間なのか?>』ではFさん(33歳女性、会社員)の事例をご紹介しました。今回は、Fさんが相手の男性にどんなに振り回されても耐え続けた背景について見てみましょう。 どうやらFさんは、自分の感情には気付いているものの、それを相手に伝えることに恐怖心を持っているようです。この恐怖心がどこから来るのか、幼少期を探ってみることにしました。 どうやらFさんは幼少期からご両親に対して自分の気持を伝えることが許されない環境にいた

            振り回されてばかりの恋愛1<私は愛されない人間なのか?>

            このような恋愛を経験されたことはあるでしょうか。一度のみならず、繰り返しこうした恋愛パターンを経験されている方もいらっしゃるかもしれません。心理学では、幼少期の経験や親子関係が、恋愛パターンに大きく影響すると考えられています。恋愛がなかなかうまくいかずお悩みの方は、ご自身の恋愛パターンを探ってみると、様々な気付きがあるかもしれません。 今回は「いつも振り回されてばかりの恋愛パターン」に着目してみましょう。Fさん(33歳女性、会社員)の事例をご紹介します。 このような恋愛を

            恋のトキメキはどうして終わる?3<トキメキが失われた後の関係を楽しむ>

            『恋のトキメキはどうして終わる?1,2』ではトキメキが発生・消失する仕組みについてご説明しました。今回はトキメキが失われた後の関係を楽しむ方法についてお話します。 ドーパミンは、期待していたよりも大きな報酬が得られたときに放出されるとお話ししました。ドーパミンが放出されたときのポジティブな感情は大変心地良いため、人は「どうすれば大きな報酬を得られるようになるか」と将来のことを考えたり計画したりするようになります。 より良いものを手に入れようとする向上心は人間にとって大切な

            恋のトキメキはどうして終わる?2<関係が安定するとドーパミンは減る>

            前回の記事で、トキメキはドーパミンによって作り出される感情であることをご説明しました。今回は、そのトキメキに必ず終わりが来ることについてお話します。 D子さんとE太さんの事例を引き続き使ってご説明します。今回もおそらくドーパミンが放出されているであろうと予測される場面の文末に(★)を記したので、ご参考にしてください 前回の事例の中では、D子さんはE太さんに夢中でしたが、それから数年の歳月を経た今回の事例では、D子さんはすっかりE太さんにときめかなくなっていました。これはな

            恋のトキメキはどうして終わる?1<トキメキが起きる仕組み>

            このようなご相談をクライアントさんから受けることがしばしばあります。恋のトキメキは楽しいものです。そしてこのドキドキ、ワクワク感を道標に、多くの方々が行動し、大切な意思決定をします。しかし、そもそも「トキメキ」「ドキドキ」「ワクワク」とは何なのでしょう。今回はその正体を探ることで、今後の恋愛に役立てていただければ幸いです。 結論からズバリと申し上げますと、この「トキメキ」は脳内のドーパミンと呼ばれる物質により作り出されているといわれています。このドーパミンは、脳内に放出され

            脳の構造は変えられる?6 < ポジティブな感情をじっくり味わおう>

            前回のブログ記事『脳の構造は変えられる?5』では、幸せを感じやすい脳に変えていくための手軽なトレーニング方法の1つ目「 “ありがたい” に気付く」をご紹介しました。今回は2つ目のトレーニング方法として、「ポジティブな感情をじっくりと味わう」をご紹介します。 前回の記事でご紹介したEさんの事例を通して、日々の生活にはさまざまな “ありがたいこと” が散りばめられていることをお話ししました。私たちは、日常生活で当然のこととなってしまった 幸せ を見逃してしまいがちな上、見つけた

            脳の構造は変えられる?5 < “ありがたい” に気付く>

            『脳の構造は変えられる?4』では、メディテーションにより左前頭葉(ポジティブな感情を司る部位)の活動が活発になり、日々の幸福感が向上すること実証した実験をご紹介いたしました。メディテーションについては現在日本でも書籍やインターネット上で多くの情報が得られるので、今回はメディテーション以外の方法で、幸せを感じやすい脳に変えていくための手軽なトレーニング方法をご紹介したいと思います。 まずはじめにご紹介したいのが、毎日の「 “ありがたい” に気付く」というトレーニングです。私は

            脳の構造は変えられる?4 <幸せはトレーニングで体得できる⁉>

            『脳の構造は変えられる?3』では、脳が幸・不幸に反応する仕組みと、「幸福の既定値」という概念をご紹介しました。今回は、「幸福の既定値」は変えられることを示唆する近年の研究についてご紹介します。 この研究は、前回の記事でも登場したリチャード・デイビッドソン教授、及びマインドフルネスの普及に貢献したことで日本でも有名なジョン・カバット・ジン教授(Jon Kabat-Zinn、マサチューセッツ大学医学大学院教授)他によって実施されました。 実験では、バイオテクノロジー系企業の社

            脳の構造は変えられる?3 <脳と幸せ・幸福度の既定値とは>

            『脳の構造は変えられる?1,2』では、神経回路が強化されていく仕組みと、その具体例をご紹介しました。今回は、脳の構造をより深く理解するために、幸せ・不幸を感知すると脳はどのような反応をするのか、ということに加えて、「幸福度の既定値」という概念をご紹介します。 幸せを感じているときと不幸を感じているときでは、脳の異なる部位が活性化することが知られています。この発見は、ウィスコンシン大学の心理学・精神医学教授、リチャード・デイビッドソン博士(Richard Davidson,