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国立新美術館のマティス展に行きました。とても良かったです。

2023年の東京都美術館でのマティス展は本当に素晴らしい展示会でしたが、今回行きました2024年国立新美術館で開催の「マティス・自由なフォルム」展も同じぐらい良かったです。(以下、その情報リンクです)

2024年2月14日(水) ~ 2024年5月27日(月)まで開催しておりますので、この記事が公開された時点では(4/29)まだ間に合います。マティスがお好きな方はもちろん、それ程興味の無い方であっても、個人的に強くオススメしたい展示会であります。

以下のリンクは去年の東京都美術館でのマティス展の感想と、私のマティスへの熱烈LOVEを書いたnoteです。(お読み下さると幸甚であります)

上記リンクに「私にとってのマティス」・・・はクドいぐらいに書きましたので、こちらではサクッと展示会の感想などを。

展示内容は、切り紙作品がメインではありましたが油彩やドローイングや彫刻その他の仕事、マティスが所有していた布や家具など、広範囲なものでした。特にマティスが最晩年に手掛けた「ロザリオ礼拝堂」関連の展示物の充実度はかなりのものでした。現地に行きたいけども行けない!と困っている人たちも満足出来る内容だと思います。(私は現地に行った事はありません)

今回最初期の写実系の油彩を見て「マティスの眼は恐らく近視と乱視と視界の歪みがあったのだろうなあ」と、あらためて感じました。あのマティス独自の空間の歪みは、セザンヌの影響などからあえてそうしている部分はもちろんあるのですが、もともと微妙に歪んで見えていたのではないかと私は思っているのです。だから絵画の空間がちょっと特殊な歪み方をしている・・・結局それが魅力になっているから問題は無いのですが。(あくまで私の仮説ですけどね)有名な画家で実は普通の人と少し眼の具合が違っていたのではないか?と感じられる人は多いですしね。

それはともかく、

今回は、以前見てもう一度見たかった作品が沢山ありましたので、そういう面でも色々な確認が出来てよかったです。

マティス自身がコレクションしていて画題にも使っていた椅子や布は「おー、これがこの絵になったのねー(納得)」という確認になり良かったです。

マティスは織物の産地の出身で、布が大好きでかなりコレクションを保有しており、それを絵の中に頻繁に描いています。「文様」の世界と、マティスの描く世界は似ていますが、出生地や愛好する物事があの作風に強く影響しているのが分かります。

油彩や彫刻のコーナーは撮影禁止でしたが、切り紙作品やドローイングなどは撮影OKだったのでいくつか撮影しました。

そのなかのひとつ、以下画像の木のドローイングを見られたのは本当に良かった!

私が若い頃、この木の絵から非常に多くの影響を受け、その学びは今も役立っています。

それは「描いてある線自体ではなく、むしろ描いていない空間部分に意識を持つ」という事、そして伸びやでかつ非常に個性的な線である事・・・

原画は初めて見たのですが、一見大雑把に描いてあるようで、ホワイトで線を補正してあるのを知り、やっぱりちゃんと真剣にこの線を描いているんだよなあ・・・などと当たり前過ぎる事を思いました。それと、この絵も「こんなにデカい絵だったの?」と思うぐらい大きかったですね。

私に深い学びを与えてくれた木のドローイング。部分的にホワイトで補正してあります。経年変化で紙が黄ばむのでホワイトでの補正が目立つようになったわけです
当工房「Foglia」のロゴ。イタリア語で葉っぱとか花びらという意味です

私はマティスのこの手の作品が若い頃から大好きなので、その影響から、当工房のロゴマークが生まれました。

これは私がフリーハンドで描いたものを、妻にIllustratorで整理してもらったものです。

シンプルで明快で、一度見たら忘れられない、整理はされているけども手描きの微妙なニュアンスは残っている・・・ような感じに仕上げました。

この作品は予想を遥かに超えて「デカい」作品でした

マティスというと、私にとっては「サイズ感が良く分からない作品をつくる人」でもあります。上画像は切り紙作品ですが、本当に大きい作品でした。

油絵などでも「これはこんなに巨大な作品だったのか・・・」逆に「大作かと思ったら、6号サイズぐらいの作品だったのか・・・」などなど。

司祭の祭服の原案

上画像は、マティスが最晩年に手掛けた「ロザリオ礼拝堂」司祭の祭服のデザインの原案ですが、普通に切り紙作品として素晴らしいですね。

マティスの切り紙作品は、これだけシンプルに、かつビビットにやられてしまうと、もうこの路線では他の人は出来ないですよね。何をやってもマティスの真似に見えてしまうので・・・

別冊文藝春秋の表紙

上は1951年に開催された東京国立博物館でのマティス展の流れでマティスの切り紙作品が「別冊 文藝春秋」の表紙になったものらしいです。マティスの切り紙作品や油絵やドローイングはデザイン素材として非常に魅力的で汎用性があり古びる事は絶対に無いものですが、日本語とは合わないんだなあ、と個人的には思いました。“かな”みたいなものなら合うかも知れません。

今回の展示会では「ロザリオ礼拝堂」をかなりの精度で再現したコーナーがあり、朝から夕方にかけての陽光の変化でステンドグラスの色がどのように室内空間に影響を与えるかを一分ぐらいで体験出来るようになっていました。今回の展示会の大きな見どころでもあります。

ここに、マティスデザインの、司祭の祭服も入るわけですね。

このコーナーでは朝の光、昼の光、夕方の光と、ちゃんと光の色を変えて再現していました
ステンドグラスの床への映り込みも良く計算されていて、とても美しかったです

あらためて「マティスって本当に好き勝手やった過激な人だなあ」と思いました。マティスの行動を決めるのはマティス自身以外にはいない・・・

他にも沢山見どころがありましたが、あまりに長くなってしまうので、今回はこの辺で終わりにいたします。

最後にもう一度【このマティス展、強くオススメいたします!】


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