つくりたいものがあって、技法が選択されるのが自然
私は、いわゆる伝統系の染色技法を用いて仕事をしておりますし、工芸における技術は誠実で高度であるべきだと思っていますが、しかし自分が使う技術を「これがホンモノの伝統技術」などという考えは全くありません。
しかし、一般的には、例えば友禅染だったら「これが真糊で染料挿しのホンモノの糸目友禅」などと主張し、まるで真糊友禅であることで、作られた染物の美的価値まで約束されているかのような態度なのが、いわゆる伝統染色の世界です。
(真糊=餅米で作った糊で糸目糊を置いて描いた文様染。本格