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フォリア工房での染色の技法

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工房で行っている、染、文様染の技法を解説しております
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2018年5月の記事一覧

図案について

布に文様を描くにあたって、いきなり布に糊やロウを置いたり、染料や顔料で描く事は出来ない事が殆どなので、布に下絵を描きます。 その際に「図案」が必要になります。 「図案」は、文様の下描きという意味だけではなく「設計図」としての役割も持ちます。 図案を描き上げた際には、どの技法で、どのように仕事を進行させるかも、8割決まっています。 図案の線に、その必然が全て収まっているのです。 +++++++++++++ 似たニュアンスの言葉が複数ありますので *文様を起こす

下絵について

図案が出来たら、下絵を描きます。 布に図案を描き写すことを「下絵を描く」と言います。 下絵を描くには、水を通したり 生地を 蒸し にかける事で簡単に消える「青花」というものを使用します。(この記事の下の方に説明があります) 下絵を描くには、細い線が描きやすい面相筆を使うことが多いです。 面相筆で線を引く練習は文様染めをするにあたっての基礎の基礎なので、最初は下絵の練習として半紙に墨と面相筆で線を引く練習をします。 この際、気をつけなければならないのは、あまり日本

採寸について

下絵を描く前にそれぞれの用途に合わせて生地を採寸します。 (その寸法に合わせて図案紙を作ってあります) 和服系は基本的に鯨尺を使用して行います。 (小物等の場合は普通のメートル定規も使います) (地域によっては、金尺の場合もあります) 和裁の仕立は、一般に言われるような昔から変わらない一定のものではなく、想像以上に流行があり、時代時代の好みの変化もあり、日本人の体型も変わってきているので、理想的には現代の先端の和装事情に詳しい和裁士さんと連絡を密に取って、情報を常にア

糊について

文様を染めるにあたって当工房では糊やロウを使いますが、 日本の染物に使う糊には、 「柄の輪郭線を出す為の糸目糊」「柄に地色が染まらないように文様を伏せる為の糊」 があります。 ++++++++++++ *糸目糊* 糸目糊置きとは、青花で描かれた下絵の輪郭線を、真糊や(米糊)ゴム糊などの防染剤に置き換えてゆく工程の事です。簡単に言うと、糊を細く置いたところが染まらずに柄の輪郭線になる、という事になります。 例えば糸目糊を引いた葉っぱの内側に染料を挿す(染める)場合

色挿しについて

色挿しは糸目糊置きで括った部分に着色する、あるいはロウによって堰出し(ロウによって文様を括ること)した部分に着色することをいいます。 同じ模様、図柄でも、その配色の違いによって出来上がりの印象は、全く異なります。 「色刺し」という言い方もあります。 「しっかりと裏まで染まるように染料を刺すようにすること」という意味合いがあるようです。 ここでは「色挿し」とします。 ++++++++++++++++++ 挿し色は染料を使う場合と、顔料(いろいろな種類があります)