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自己資本経営のアイザック株式会社が、スタートアップ業界の当たり前を疑って、6期目で営業利益6億円を作れた理由

こんにちは、播口です。
この度、共同創業したアイザック株式会社が6期目の決算を終え、営業利益6億円で着地しました。
アイザックはスタートアップ業界の当たり前を疑い、逆行し組織と事業を成長させてきました。
この記事ではその考え方を紹介したいと思います。

世の中を、実験しよう。

アイザック株式会社は、2015年12月28日に「世の中を、実験しよう。」というミッションを元に、大学の同級生だった田中と私で立ち上げた会社です。この時、私たちが決めたことが一つだけあります。

自分たちがしたい「実験」をするために、外部資本に頼らないことです。

外部資本を入れると株主の期待に応える事(=時価総額の向上)が何よりも大事になり、自分たちの理念や理想を曲げないといけない場面も増えます。
事業や組織の構築に時間軸の制約が加わり事業投資は短期的になり採用はポテンシャルやカルチャーフィットよりも即戦力を重視する傾向へと変化します。
外部資本に頼らないという決定をしたことにより、時間はかかりますが自由を得ることができました。その中で醸成されたスタートアップの常識を疑うアイザックの考えをもってグループ全体で従業員100人超、6億円の黒字を出す会社にまで押し上げてきました。

スタートアップの常識を疑う

プロダクトをもって、創業して調達し、株やSOを発行して即戦力の人材を雇い、また調達して、を何回か繰り返した後に、無事上場もしくはM&Aをし、初期にいた人材は利確した後に辞め、第二創業期が始まる。全てのスタートアップが必ずしもこのように歩むわけではありませんが、スタートアップの成長のシナリオとしてよく唱えられ起こっていると思います。

例えば、以下のような思考をしたらどうでしょう。

  • 外部資本をいれなかったらどうなる?

  • 上場やM&Aをゴールにしなかったらどうなる?

  • 即戦力ではなくカルチャーフィット・ポテンシャルで人材を雇ったらどうなる?

  • すぐに結果を出さなくて良いとしたらどうなる?

このようなスタートアップの常識を疑う思考と実践をし、成長をしてきたのがアイザックです。
ちなみに僕が創業し代表を務めているもう1つの会社では数億円を調達して事業を進めており、外部資本に頼るエクイティファイナンスによる価値創造の意義も理解したつもりで、常識を疑うことの重要性を提起しています。

外部資本に頼らない(アイザック流)↔︎外部資本に頼る(スタートアップの常識)

外部資本に頼らないという決定は自分たちの理念を貫く事を可能にし中長期的に組織を作り込む事を可能としました。株主のための意思決定をする必要はなく、アイザックで働くメンバーとプロダクトとユーザーだけを向いて事業を進めることができます。

終身雇用前提の採用(アイザック流)↔︎転職前提の採用(スタートアップの常識)

アイザックは実力型終身雇用を採用しています。なぜ今の時代に終身雇用なんだと思う人はいるかもしれませんが、みなさんがイメージしている終身雇用のデメリットを排除すれば、実は今の時代こそ終身雇用が合っていると思います。

  • 事業は中長期的で行うものになってきている

  • ポテンシャルやカルチャーフィット中心の採用ができる

  • エンジニア(特に女性)・デザイナー人材の不足への対応

  • 社内のことを理解している経験豊富な人が増える

即戦力の人材を株や成長フェーズで引きつけるスタートアップは、結果がでたらまた転職する人材をひきつけがちになります。それも一つのあり方ですが、人がいなくなってもプロダクトは続いていきます。
世の中の人材流動性が高まり転職が当たり前の世界で、それでも長くアイザックにとどまることが常にメンバーにとってベストであるような環境にこだわっています。

即戦力以外も雇う

アイザックでは即戦力以外の人材も雇うようにしています。代表的な活動が、エンジニア育成制度の「Gate to Engineer」です。こちらは、日本のIT人材不足を危惧し、エンジニアを育て増やすための制度です。エンジニアになりたい人に給与を支払いながらエンジニアを目指してもらう制度です。すでに3人がこちらのプログラムを利用しています。こういった育成した人材は、即戦力の人材より離職率が低く、長期的にみて会社に大きく貢献してくれます。

社内転職のススメ

他のスタートアップと違い、アイザックはシナジーがない事業も展開しているので、今の事業に好奇心が薄れた人にも転職するのではなく、社内転職を勧めることができます。会社にとって、会社のことをよく知った人が他の会社に転職せずにいてくれることほどありがたいことはありません。

株以外のインセンティブ設計

アイザックは上場を目指していないため、給与以外の金銭的報酬をプロダクトの成長に合わせて、メンバーにインセンティブ設計をしています。上場をせずとも、上場したくらいの金銭的報酬を永続的に受け取れる仕組みづくりをしています。

中長期の生産性のための福利厚生

メンバーが長く関わってくれる事を前提とすると福利厚生もメンバーの中長期の生産性を高めるために大胆に設計をする事ができます。例えばアイザックでは以下の福利厚生があります。

  • 会社から3km圏内に住んでいるメンバーに、最大初期費用全額かつ家賃の50%を会社が負担する制度

  • 花粉症が及ぼすメンバーの生産性低下が、メンバーの健康と企業の成果に影響を与えると判断し、花粉症のない地域への移動・宿泊費の補助をする制度

  • 適度な運動やリフレッシュは日々の集中力と生産性の向上に繋がるという考えのもと、週1回ジムに通ってるメンバーへの月5,000円のジム手当

その他の制度に関してはこちらからどうぞ

すぐに結果を出さなくていい事業(アイザック流)↔︎すぐに結果が出そうな事業(スタートアップの常識)

事業において「すぐに結果を出さなくていい」と考えることが容易になります。調達したスタートアップにおいて「すぐに結果を出さなくていいよ」という投資家は少ないはずです。
調達したお金がなくなる前に常に結果を出さないといけないスタートアップは「すぐに結果が出そうな」事業をやらざるを得ません。「すぐに結果が出ない」事業をやることによって、競合が少ない市場で中長期的な投資をしながら勝負することができます。

シナジーを生まなくていい事業(アイザック流)↔︎シナジーを生む事業(スタートアップの常識)

事業において必ずしも「シナジーを生まなくていい」と考えます。こちらも同様にほとんどのスタートアップは次の事業は最初に立ち上げた事業に近い領域でやろうとし、MOATを築くためにシナジーをなるべく生もうとします。それ自体も正しい選択肢であると思いますが、アイザックでは既存事業に囚われた意思決定をしていません。むしろシナジーを生まない事業をすることで、リスクヘッジになったり、社内転職が増えることで離職率が下がります。

アイザック流のデメリットと解消法

どんな組織の作り方にも一長一短ありアイザック流の考え方も対策をしないと痛みを伴います。主なデメリットとその解消法についても紹介しておきます。

  • ガバナンスを自分達で担保する必要がある

  • 事業成長への動機付け

ガバナンスの担保

IPOやM&Aを目指さないのでガバナンスを自分たちで担保する必要があります。アイザックでは半期に一回、CEO evaluationと呼ばれる中立的な立場による経営陣や社内の問題のヒアリングや評価を実施しています。また社内情報の透明化を徹底すること、メンバーの心理的安全性を高く保つことによって社内の問題を解消するようにしています。

事業成長への動機付け

スタートアップの多くは株主の期待に応えるため、IPOやM&Aというゴールに向かって事業を成長させます。
「世の中を実験しよう」をミッションとして掲げるアイザック では実験の成功がゴールあり、事業という実験においては定性的・定量的な成功の定義をしています。
研究者が日々高いコミットメントを維持できるように実験の成功のために「自由に集中できる」環境と組織を作っています。この環境と事業成長のプロセスそれ自体が何よりも大きな動機づけとなっております。この環境のベースには事業成長が不可欠で、その意識を全員がもって取り組んでいます。
また前述したように株以外のインセンティブ設計をすることも重要です。

終わりに

アイザックは「世の中を、実験しよう。」というミッションをもとに、従来のスタートアップとは違った上記のような経営を実験してきて、6億の黒字を出せるようになりました(今期も10億の黒字を見込んでいます)。
これからも、面白い事業を展開し、メンバーがずっといたいと思えるような会社にしていきたいと思っています。
アイザック株式会社のコーポレートページはこちらからどうぞ。

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