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自分たちで起業した会社のロゴをどうつくったかの物語 その2

その1の続き

「塩の結晶がきれいな真四角である」ことに絶望したデザイナーは僕ぐらいだろう。
共同創業者の土倉には涼しい顔で「ロゴはまぁ順調ですね」と嘯きながら裏ではGoogleとPinterestでヒントを探す毎日。
ついに炎色反応の原理まで調べ始めてるときだ。
塩とは何かを追求し続けるデザイナー橋本を見かねて、マーケターである自分が冷静な一言を言う。

「おい、自分が創るのは塩を売る会社じゃないぞ」

…そうだった。
気づいてしまった。塩博士になる意味がないことに。

当初の目的はなんだったのか?ロゴで何を伝えたいのか?
手段が目的になってるんじゃないのか?
今お任せいただいている仕事でもやっていることを改めて自分に問う。

そもそも『SALT』という社名案も自分が出したものだが、ここには3つのメッセージを込めている。

・正しく捉えるべき「大切なもの」の置き換え
・素材を活かす「シンプルな味付け」の象徴
・ロジックとエモさを両方使う「Sense And Logical Thinking」の略
※気になった方は自社サイトの「STORY」にて詳細をどうぞ!

このメッセージを伝えることがゴールだ。
いつの間にか置き換えたものをさらに置き換えることに躍起になっていた自分をたしなめて新しいデザイン案に着手する。

SALTロゴ_old2

さぁどうか。
当時4歳になったばかりの息子からも「サイコロ!」とお褒めの言葉をいただいた。パパ、傷ついたぞ。

ここまで来たら何も怖くない、ということで自分でどんなロゴなのかを説明してみる。

SALTロゴ_old2解説

こうだ。
悩み続けた立方体で塩をイメージしつつも、Sense And Logical Thinkingを並列に配置。
Sは閃き。天啓のイナズマ模様。
Lは論理。整然と組み込まれた回路モチーフ。
そして、キャッチコピーとして「塩でシンプルに味付けする」という意気込みを表現してみた。

満足した表情のデザイナー橋本にぼそりと呟く声が聞こえる。
またしてもマーケター橋本である。

「いや、多くない?」

…しまった。これはやってしまった。
いわゆるメッセージの幕の内弁当である。

実はこれも仕事をしていてよく直面する事例だ。
あれもこれもと捨てきれず、詰め込めるだけ詰め込む。
渋滞した想いが結局誰にも伝わらずに終わる。
メッセージは短ければ短いほど強烈に鋭くなるのだ。

ここからまた削ぎ落とす作業に入る。
塩は…もういいだろう。別に塩っぽい会社と思われたい訳ではない(よく塩対応の会社?っていじられるが…)。四角は捨てよう。
シンプルな味付けのくだりもどうだろうか?この英語は果たしてキャッチーなのか?理解されたとしても調理工程だと思われないか?よし、これも捨てる。

残ったのはSense And Logical Thinkingだ。
こうしてダイエットに成功したロゴが今のデザインである。

SALTロゴ_最終版

三日月状にしたLを下に敷いてアナログっぽさを足したSを上にのせる。
敢えて黄金比率などは考えず、柔らかみのあるシェイプに落ち着けた。
込めたメッセージは自分たちの仕事のスタイルそのもの。
ロジックで土台を固めて、最後はセンスで跳ね飛ばす。
ロゴではこれだけ伝えよう。

できあがったロゴは完璧ではないかもしれないが納得できるものになった。
デザイナーとしての自分も、マーケターとしての自分も、である。
こうして、無事に株式会社SALTのロゴは完成を迎えたのだ。

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いかがだったでしょうか。
あまりここまで会社のロゴ完成に至るまでを説明しているパターンを見たことがないので、ボツ案をさらっと見せちゃって大丈夫なのか、不安なところもありますが、なにかの参考にでもしていただけたらと思います。

ここからさらに企業カラーを決定するまでの物語もありますが、それはまた別の機会にでも。

最後に…SALTという社名に込めた3つのメッセージがちゃんとロゴ作成にも反映されていることをお伝えしておきましょう!

・「大切なもの」をとことん突き詰めて1つのメッセージにした
・複雑なデザインをやめSとLを「シンプルな味付け」で組み合わせた
・「Sense And Logical Thinking」

それではまた!
noteの書き方あってますかね、これ(笑)

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