#174 「会えて嬉しかった。待っていてくれてありがとう。」・・・ニューヨーク1人旅 2018年11月17日(土) 17日目・・・3
自由の女神に会いに行くため、セキュリティを無事にクリアし、船に乗り込む。階下の船内で椅子に座るのもいいが、やはりデッキに出て、風を、空気を感じながら、ガラス越しではなく、生で見たい。
デッキは混んでいたが卑しい根性丸出しで、自分のスペースを確保した。
空気は冷えて快適で、陽光が背中をぽかぽかと温めてくれて、気持ちがよかった。
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船が出発すると、先ほど地下鉄から上がってきたときに気持ちよく見えたバッテリパークが、ゆっくりと動き出し、少しずつ離れていった。
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わぁ~、Manhattanが少しずつ小さく遠くなっていく。
やっぱりManhattanはきれいだなぁ。
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そして、代わりに自由の女神が段々近づいて大きくなってきた。
おお、立ってる立ってる。でっかーい。
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心地よい風に吹かれながら、船上を楽しんでいた。
ふと気が付くと、周りには写真撮影を待つ人が何人も立っていた。
あ、いけない。いつまでも自分勝手に場所を占領してはいけない。
慌てて移動し場所を変えた。
あちこちで同じ風景が見られた。そう、New Yorkは優しい人たちの街。
もしかしたら、周りの多くが観光客だったのかもしれないが、他の人を思いやる気持ちを忘れてはいけない街だ。
ほどなくしてLiberty Island(リバティ島)に到着。
船から降りて島に足を踏み入れた時には、女神は後ろを向いていた。
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門構えを通り、インフォメーションを見ると、イヤフォンマークの囲みの中に、日の丸があった。どうやら日本語で解説を聞きながら周れるらしい。
受付のお姉さんに「ジャパニーズ」と言うと、小さなアダプターを渡してくれた。
日の丸には“5”とあり、チャンネルを5に合わせて聞いてみると、日本語で解説が流れていた。BIG BASバスに乗ったときのような、場所と内容のズレはなく、解説看板の前に立つと、その看板に英語で書かれてある内容を、日本語で聞くことができた。
島なので、顔を上げれば目線の先はManhattan。
ワールドトレードセンターが見える。
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しばらく解説を聞きながら、看板を順に回って行った。
ふと気が付くと、先ほどまでの晴天は消え、雲が立ち込めてきて、女神を正面から見る頃にはすっかり曇り空。
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しかも、解説がことのほか丁寧で、1つ1つしっかり聞いていたら日が暮れるどころか、数日かかりそうなほどだった。
改めて女神を正面から見てみる。ものすごくでっかい。そして本当に右手に松明を高く掲げ、左手に本を持って立っていた。
いやぁ~やはり本物は立派だ。感心しながらマジマジと眺めた。
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〝会いに来たよ~〟心の中で女神に向かって言った。
女神は、ちゃんと待っていてくれたと、勝手に思って嬉しくなった。
恋しくて恋しくて仕方がなかったNew Yorkは、私が来る前にツインタワーがなくなり、地下鉄のトークンがメトロカードに変わり、イエローキャブはセダンのような角ばった車体から、日産NV200のような丸っこい車種に変わってしまった。
多くの人に〝大丈夫だよ、New Yorkは逃げないから〟と、なんの慰めにもならない言葉をたくさんかけられてきた。
確かにNew Yorkの街は逃げてなくならないかもしれないが、街の風景は時代や時の流れとともに、どんどんどんどん変わっていく。けれど、自由の女神は、私がNew Yorkに衝撃を受け、憧れたときから、ずっとここにいてくれたのだ。
女神の目線の先を見たら、雲の切れ間からいくつもの光が差し込んでおり、天使の通り道・薄明光線が何本も見えた。それをしばらく女神と一緒に見ていた。
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ちょうどお昼時、お腹もすいたし喉も乾いたしおトイレにも行きたくなったので、フードコーナーのある建物に入り、サンドイッチとコーヒーを注文し、食べる場所を探した。
立ち食い形式で、丸い小さなテーブルがいくつかあったが、生憎空いていなかった。以前の私なら、寒い外に出て、震えながら人もまばらな外のベンチで食べただろう。でも、ここはNew York、そして滞在そろそろ2週間強。
相席が当たり前であることも学び、当たり前のように、女性1人が使っていたテーブルに自分の食べ物を置き、食べ始める。
40歳まで1人で飲食店に入れなかった意気地なしの私は、10年以上経って、言葉の通じない異国で、人が使っているテーブルに当たり前に相席し、自分も使い始める、逞しくなった自分に驚いていた。
お土産ショップで、女神の栓抜き磁石と、大きなマグカップを買った。
ベタな土産だが、数年経った今でも、2つとも大活躍している。
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Liberty Island(リバティ島)では、自由の女神はもちろんの事、向こうに見えるManhattanの姿が俯瞰できて感動した。
外から見るManhattanは、カレンダーやポスターで散々見てきたが、生で見ると、写真では伝わらないダイナミックさが実感できた。
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2時間ほど楽しんだ。本当はもっとゆっくり見たいが、時間は有限だ。
次のEllis Island(エリス島)が待っている。
自由の女神に向かって心の中で
〝会えて嬉しかった。待っていてくれてありがとう。またネ〟
と伝えて、再び船に乗った。
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