#193 ソールドアウト・・・ニューヨーク1人旅  2018年11月19日(月)19日目・・・3

Grand Central Terminalから地下鉄⑥に乗った。

ゲゲッ、古い車両だ。Broadway Lafayette St/Bleecker Stで乗り換えだ。
大丈夫か私。
けれど、何とか降りることができ、F lineを待ったが来ない。
ええ~い行ってしまえーと、ヤケクソでホームに入って来たMに乗ったら、何と目的のDelancey Street/Essex Streetに辿り着けた。
ええ~、何がどうなってるの? 
まぁ、目的の駅に着けたのだからよしとする。

向かった先はTENEMENT MUSEUM。

移民の歴史を伝える博物館で、アメリカの昔の暮らしぶりが見られるツアーに参加することが目的。
ひたすらManhattanの街中を歩くのも楽しいが、1歩踏み込んだNew Yorkも知りたい。以前からガイドブックを見ていて、機会があったら行こうと思っていた。何故か嘘つきナビがバカ正直に教えてくれてすんなり辿り着けた。

店内に入るとNew York・Manhattanの関連グッズが売られていた。
カウンター内の壁の上の方には電光掲示板があり、日付と時間と×が表示されていた。見た瞬間、〝あ、もうチケットはないのだ〟と分かった。

掲示板を見上げていると、スタッフの若いおねえさんが、何やら必死になって私に伝えてくれている。近くのカーテンに覆われた、小さな映写機がある暗い個室を指差しながら、一生懸命話に何かを必死に伝えていてくれる。
けれど私には、おねえさんが何を言っているのか全くわからなかった。
でも、不思議なもので、言葉はわからないけれど、おねえさんを見ていると、何となく内容が理解できてしまうのだ。ピッタリ正解かどうかはわからないけれど、きっとおねえさんは〝今日のツアーチケットはもうないの。ごめんなさい。でもここ(暗い個室)で、映像を見ることはできるわ〟と言っているに違いないと思った。〝それなら結構です〟と伝えたかったのだが言えず、一か八かで、おねえさんに向かって小さな声で
「ソールドアウト……」
と呟いてみた。
日本でコンサートチケットが完売した時の言葉だ。するとおねえさんは、右手の人差し指を、ペンライトを振るように上下に振りながら〝そう!そう!そう!〟と言った(と思う)。そして申し訳なさそうに謝るのだった。

そうか、こんな何でもない平日の真昼間にもかかわらず、チケットは売り切れなんだなあ。けれど、私にはもう出直す時間は残されていない。
今回の旅ではTENEMENT MUSEUMのツアー見学は叶わなくなった。
次があるかどうかはわからない。神のみぞ知るだ。
望んだところでないものはない。潔く諦めて外に出た。

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