#185 足がすくみ、自分に課したミッションに後悔・・・ニューヨーク1人旅  2018年11月18日(日)18日目・・・6

次なるお誕生日ミッションは、約束の地だと勝手に思い込んでいる聖地の、社長おススメの、ルーフトップバーへ行く。

私はお酒が全く呑めない。ビールは苦いし、ちょっと舐めただけで酔ってしまう。ゴクゴク呑もうものなら、全身が真っ赤になって、心臓と顔と頭がドックンドックンして、挙句の果てには睡魔が襲ってきて寝てしまう。
体調が悪かったり疲れていると、蕁麻疹が出て体中がかゆくなる。

呑みの席で、みんなが口にする〝とりあえずビール〟にどれほど憧れたことか。けれども、言ったことがない。乾杯の後にごくごく呑んで、プハーとした後の〝ああ~しあわせぇ~〟を味わったことがない。本当は羨ましくて羨ましくて仕方がないのだ。だから、生まれ変わったら、夜景が素晴らしい高級ホテルの最上階のBarラウンジで、シェーカーを振るバーテンダーを目の前に、1人でカウンターで呑むことにしている。そのとき、バーテンダーの後ろには、壁一面にズラズラーッと、洋酒が並んでいてほしい。

もちろん今でも強行突破すればできなくはないが、1人でノンアルコールはあまりにもダサくて情けない。だから、今度生まれてくるときは、お酒を楽しめる体質で生まれてくることにしている。
当然、日本でも大人のBarには数えるほどしか行ったことがない。
しかも人の後をノコノコとついて行く。

そんな私が、New YorkでBarに! しかも1人で! 英語は話せない。何か聞かれても答えられない。だけど行く! せっかくおススメしてもらったし、ガイドブックやネット情報には必ず載っているBarだ。記念すべき誕生日だし、行かなかったら絶対に後悔する。

すでに日は沈みすっかり夜になっていた。地下鉄で28 Street駅へ。
壁のタイルアートがいかにもクリエイティブ。

帰国後ずいぶん経って、改めて地図をよく見てみると、目指すBarは、フラットアイアンビルのすぐ近くで、5th Ave.沿いにあり、Empire State BuildingやBryant Parkと一直線でつながっており、十分歩ける距離だった。

明るいうちは歩いたが、夜は地下鉄に乗るようにしていた。
昼間と景色が一変するため、余計に道に迷いやすくなるからだ。なんたって方向オンチ選手権で世界一に輝ける、筋金入りのスーパー方向オンチの私だから。

実はBarの最寄り駅である28 Street駅に着いた時から、足がすくんでいた。
急に不安に襲われ、弱気になってドッキドキしていた。
〝ううぅ~、どうしてこんな厄介なミッションを自分に課してしまったんだろう〟っと、嫌ならやめればいいのだが、後から〝やっぱり行っておけばよかった〟と後悔することだけは絶対に避けたいとの思いから、決行することにした。

28 Street駅から、噓つきナビでBarの位置を検索する。
なんと、こんな時に限って、検索はサクサク進み、いつも嘘つきでノロノロナビのくせに、サクサクと正直に応える。なんて意地悪なナビなんだ、まったく。仕方がないので素直に従うことにした。しかも、いつもいつも散々な方向音痴っぷりを発揮している私なのに、目指すBarは、いとも簡単に、あっさりと見つかってしまったのだ。入り口には電飾看板もある。

わかりやすすぎて迷う暇もなかった。
歩道は、日曜日の夜だからか人通りがなく、寂しかった。内心帰りたいと思いつつ、スキャフィールドにバーンと張り付いた看板を見たら、よし!と腹をくくれた。

すくんでいた足を1歩踏み出し、ビルの中へ入った。
駅の改札のように通り抜ける場所があり、ガタイのいい男性に何か言われたが、理解できなかった。
何となく〝パスポート〟と言われたような気がしたので、パスポートをピッとして奥へ進んだ。何も言われず先へ進めたということは、特に問題なかったという事だろう。
ピッカピカのきれいな廊下を進むと、エレベーターホールが高級ホテルのような豪華な造りになっていた。他に入店者はなく、1人。
エレベーターにも1人で乗る。

20Fのボタンを押す。ちゃんと数字の横のボタンを押せた。
来たばかりの頃は、どこを押していいのかわからず、頭の中が真っ白になったことがもはや懐かしい。けれど今は懐かしんでいる場合ではなく、たった1人でBarに行くことで、心臓がドッキンドッキンして、しかも心細かった。

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