ニットを古着で買ったのは

 先日、古着屋さんで真っ黒な半袖ニットとかっこいい柄の巻きスカートを買った。

服

 ニットは首回りがつまっていて、すっきり上品。胸元のポケットのおかげで、カジュアルさもあり着回しが効く。巻きスカートは、顔が薄いために華やかな柄モノは着こなせない私にも、なんとかなりそうな渋めのトーン。憧れの柄スカートだ。

 とても気に入って、るんるんで母に見せたら、似合ってるねと褒めてくれたものの、「そのニットを古着で買う意味がわからないなぁ」と言われてしまった。シンプルなニットだったので、探せば似たような新品のものがいくらでもあるのにと思ったみたいだ。

 なぜ新品で手に入りそうなものを古着で買ったんだろう。

 言われてみれば、黒無地の半袖ニットなんて絶対に新品が手に入る。ユニクロやGUにありそうだし、ZOZOTOWNで検索すれば大量に出てきそうだ。半月近く、時折この言葉を思い出してはぼんやりと理由を探していた。

 半月何をしていたかというと、まず、この二着には我が家に仲間入りするにあたり、きれいになってもらわないといけないので洗濯した。洗濯は普段から嫌いではないけど、ことさらかわいいなぁと思いながらハンガーに通し、竿に引っ掛ける。乾いて取り込んだら晴れてうちの子だ。やったあ。

 新しく服を買ったときはいつもそうだけど、頭の中でずっと服を褒めちぎっている。取り込んで畳むとき、広げて着るとき、鏡をチェックするとき、外に出て風をはらんだとき。詰まっていてきれいな編み目、誰にも伝わらないポケットの口にできる空間のかわいさ、シルエットの美しさ。トイレなんかでも、わざわざ斜めから鏡に映ってみたり。あ〜買ってよかった、って喜びに浸る。

 そうしてこの前、夕飯の洗い物を後回しにしたまま、特に何もせずぼーっとしていたら突然腑に落ちた。

 私が古着を買ったのは、目の前の服にときめいたからなんだよな。
 古着でも新品でも関係なかった気がする。

 物理的な汚れや劣化、古着独特の匂い、前の持ち主の気配といったデメリットと人と被りにくい個性的なデザインやリユースによるエコなどのメリット。それらを天秤にかけてメリットの方に傾いたのか、とか、考えてたけど、よく思い返せばもっと単純だった。好き!楽しい!嬉しい!ってそれだけだった。

 ちなみに、匂いは洗って、よく陽に当てるとだいぶ軽減する。だから晴れた日には服に日光浴をさせている気分で歩く。それとたくさん着て自分の匂いを早く移す。前の持ち主の気配についても、それがいいんだよ〜という古着好きの方が多くいらっしゃると思うのですが、私は気になっちゃうときもあるのです。

 新しく迎えた二着をこれから大切に着ていこう。

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