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愚直に書いた地球温暖化の話。全ての人へ

 東海、関東を中心に日本を襲った超大型台風19号。かなりインパクトがありましたよね。特に、大雨による河川の氾濫、そして浸水の被害が甚大でした。私は幸い大きな被害を被ることはありませんでしたが、今も途方に暮れている方々が数多くいると思います。

 今回の台風19号をはじめとして、大きな台風が本州に上陸することが増えてきました。さらに近年の尋常ではない猛暑や豪雨。夏場に気温が体温を超えることが珍しくなくなっています。

 そうです、地球温暖化。実はこのテーマを書きたくて、少しでも多くの人に知ってほしくて、関心を持ってほしくて、それでnoteを始めました。うまく書ける気がしなくて時間がかかってしまいましたが、やっと書きました。

 地球温暖化は人間活動が引き起こしている可能性が極めて高いとIPCCで明言されています。台風や豪雨なども人間活動が引き起こしている可能性があると、今、その寄与の度合いを専門家が検証しています。

IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)
気候変動に関する政府間パネル、という組織の略称。地球温暖化や気候変動に関する科学的な研究を取りまとめ、各国政府の気候変動に関する政策に科学的な基礎を与えることを目的とした組織です。


 私の願いは、地球と人間が仲良く永遠に共存することです。

 私のライフミッションは、地球温暖化の問題が完全に解決されるように、科学技術の面から地球と人間の社会に貢献すること。そして、さらにその先の環境問題に対しても対処していける世の中をつくること。だと勝手に思っています。

 でも、地球温暖化は地球温暖化をなんとかしたいと思う一握りの人の努力で解決するものではない、とも思っています。

 そのうち政治家がすごい政策を打ってくれるだろう。科学者がすごい技術を生み出してくれるだろう。それは少し違うのかなと。政治家にすごい政策を打たせるのも、科学者にすごい技術を生み出させるのも、その他大勢の人々の行動や選択ではないでしょうか。もちろん、ここでたまたま例に挙げた政治家や科学者以外にも、たくさん、本当にたくさん重要な役割を担う大人がいる。同様にそういう大人になっていく子どもがいる。

 だから全員が、全ての人が、この問題に自分の意思・意志を持って取り組まなければいけない。無関心でいてはいけない。私が一番訴えたいことです。

 自分一人くらい、地球温暖化について深く考えず、ほわっとしててもいいじゃないって人がいるかもしれません。どうして「全ての人」が関心を持たねばならないと考えているのか。それについてももう少し具体的に説明できるように、地球温暖化について綴っていきます。


地球温暖化とは

 そもそも地球温暖化とは何でしょう。ご存知の方が多いと思いますが、おさらいしてみます。人為的に排出される温室効果ガス(Greenhouse Gases、GHG)によって大気中のGHG濃度が高くなり、地球表面付近の温度が上昇することです。

 温室効果ガスには、地球から宇宙へ逃げていく赤外線の一部を熱として地表へ反射する効果があり、二酸化炭素(CO2)やメタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)、フロン類などがあげられます。同じ重量で比較すると、二酸化炭素を基準にしたときメタンは約28倍、一酸化二窒素は約265倍、フロン類は約数千~数万倍の温室効果があると言われています。

 人為的に引き起こされている気候変動にはどんなものがあるでしょうか。IPCC 第5次評価報告書からいくつか抜粋してみました。

① 世界平均気温は 0.85 ℃ (1880 ~ 2012) 上昇した。
② 北半球中緯度の陸域平均では、降水量が 1901 年以降増加している。
③ 海洋は人為起源の CO2 の約 30 %を吸収し、海洋酸性化を引き起こしている。海水の pH は工業化以降 0.1 低下している。
④ 過去 20 年にわたり、グリーンランドと南極の氷床は減少しており、氷河はほぼ世界中で縮小し続けている。北極域の海氷も減少し続けている。
⑤ 熱波、大雨、干ばつ、強い熱帯低気圧、極端に高い潮位などの極端現象に変化が表れている。

 地球温暖化を文字通り捉えると、地表の温度上昇ですが、一般的に話題になるときにはこのような気候変動を全てひっくるめていることが多いと思います。
 そして、これらの気候変動が生態系の破壊や、水不足、食糧不足、自然災害の増加、健康への影響などを引き起こします

 どうしたら地球温暖化を、気候変動を止めることができるでしょう。それには、人為的な温室効果ガスの正味排出量を一切止めるしかありません。正味とはいえ、吸収はそれほど見込めないので実質ゼロエミッション (emission : 排出) にするということです。


ティッピングポイント

 さて、では地球温暖化はいつまでに止めるべきなのでしょう。気長に、自分たちのできる範囲で、温室効果ガスの削減に取り組めばそれでいいのでしょうか。

 それまでの緩やかな気候変動が、これ以上進むと人間の力では止められず後戻りできなくなるほど急激に加速する、ティッピングポイントと呼ばれる点があります。このティッピングポイントをもたらす要因には、海洋深層大循環の停止や永久凍土の溶解などが考えられています。

 海洋深層循環は簡単に言うと、海水が2000年かけて世界を一周する流れのことです。その駆動力となっているのがグリーンランドや南極です (低温・高塩分のため密度が高く、沈み込むため)。循環そのものが停止する可能性は非常に低いものの、海洋深層大循環が21世紀のうちに弱まる可能性は非常に高いとされています。停止した場合、地球全体の気候に影響する恐れがあります。

 永久凍土というのは、2年以上にわたり継続して0℃以下をとる地盤を指し、陸地の14%という意外にも大きな値を占めています。温暖化が進んで凍土が解けると、貯蔵されていたメタンが放出されます。先ほど述べたようにメタンはCO2の約28倍の温室効果を持っており、これは温室効果の正のフィードバックと言われる最悪のシナリオです。

 このように、実は地球温暖化の問題には期限があるのです。この期限こそが、「全ての人」が地球温暖化に注力すべき最大の要因です。

 地球温暖化について科学的な面からざっくり抑えたところで、今度は実際の取り組みについて見ていきましょう。

パリ協定

 上記のような科学的知見を受けて「地球の平均気温上昇を産業革命前と比較して、2℃より十分低く保つと共に、1.5℃に抑えるよう努力する。」と決めたのがパリ協定 (2015 採択、2016 発効) です。これまで多くの国際的な交渉が行われてきましたが、今、そしてこれからの世界の流れを理解する上で重要なのはパリ協定なので、このnoteではパリ協定に絞ります。

 2℃という値は気候変動による危険性を考慮して決めた値です。1.5℃と2℃でも環境への影響レベルが予想以上に変わります。何度の気温上昇で環境への影響がどれほど変わるのかもIPCCの報告書で示されているので、気になる方は調べてみてください。

1876~のCO₂累積排出量

 このチャートは IPCC の1.5特別報告書から引っ張ってきたもので、縦軸が 1850-1900年からの気温の変化、横軸が1876年からの CO2累積排出量です。

 気温上昇を2℃で抑えるには、CO2累積排出量が約3兆トンになるまでに地球全体でゼロエミッションを達成する必要があります。2010年の時点ですでに約2兆トン排出しているので、今後排出できるCO2量は1兆トンもありません。

 次に出てくるグレタさんのスピーチによると、現時点で既に3500億トン(0.35兆トン)しか残されていないと述べられています。この、今から排出を許されているCO2量のことを炭素予算(カーボンバジェット)といいます。

 パリ協定を受けて日本で定められた目標は、2030年度の温室効果ガスの排出を2013年度の水準から26%削減することです。この値が高いのか低いのか、当時の各国の目標同士を比較するのは難しいですが、現在世界で求められているレベルと比べると、かなり低い目標です。

 しかし、このパリ協定で「2℃より十分低く保つと共に、1.5℃に抑えるよう努力する」という現在の地球温暖化に対する世界の姿勢が形作られたので、とても大切な交渉の場であったことは間違いありません。


グレタ・トゥンベリさん

 9月23日に開かれた気候行動サミットでの、グレタ・トゥンベリさんのスピーチが話題になっていました。ティッピングポイントやカーボンバジェットについて上記で触れたので、スピーチの全体をよく理解してもらえるのではないかと思います。

 彼女はスウェーデンの16歳の少女で、若きリーダーと言われたりもしていますね。昨年の8月20日、一人でスウェーデン議会の前に座り込みを始めました。これが話題を呼び、彼女が一人で始めた環境のための学校ストライキは、徐々に若者を中心に世界中に広まりました。

 グレタさんに共感する若者のストライキの一貫として、9月20日と27日にグローバル気候マーチが行われました。これは9月23日の国連気候行動サミットに向け、気候変動に対する具体的な政策・行動を求める世界的なストライキでした。両日合わせて、約500万人の人が参加したとされています。

 彼女のスピーチは、とても的を射ていて、16歳という年齢の子どもから発せられる言葉だからこその重みを持っていました。世代間格差、と呼ばれる問題ですが、今まで大人たちが真正面から気候変動問題に取り組んでこなかったと追及しています。そのつけを払うのは私たちだぞ、と鋭く言えるのは16歳だからです。この訴えはごもっともだと思います。

 今まで大人たちが真正面から気候変動問題に取り組んでこなかった、と書きましたが、気候変動問題に真剣に取り組んできた大人がいなかったわけではありません。それはグレタさんもわかっていると思います。「全ての人」、ここでは「全ての大人」が真剣に取り組まなかったから、彼女は怒っているのではないでしょうか。

2050ゼロエミッション

 では、グレタさんがスピーチをした気候行動サミットではどのようなことがなされたのでしょう。国際連合広報センターのHPには次のように書かれています。

 65カ国およびカリフォルニアなど自治体レベルの主要な経済圏が、2050年までに温室効果ガス排出量を正味ゼロにすることを誓う一方で、70カ国は、2020年までに自国の行動計画を強化する予定であるか、すでに強化を開始していることを発表しました。

 2050年にゼロエミッションを達成すると言うのは、とても大変なことです。それでもそれに向けて舵を切った国がこんなにもあります。なかにはドイツなど、現時点では日本よりもCO2依存度が高い国もあります。これが今の世界の大きな流れです。

 残念ながら日本はこの65カ国にも70カ国にも含まれていません。気候行動サミットでの温室効果ガス削減の政策を話し合うグループの議長を依頼されましたが、パリ協定での目標の見直しが進まず辞退したとも言われています。

 日本、そして2017年にパリ協定から離脱を発表したアメリカは、世界のCO2排出量の5位と2位に位置しています。(全国地球温暖化防止活動推進センター HPより)

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 135カ国がベストを尽くしたとしても、日本やアメリカがこんな状態では、2℃はあっという間に越してしまいそうです。

 政治的な舵取りは、人々の生活を大きく変える力を持っています。「今日から変わる」と述べた小泉環境相の今後には注目していきたいところです。しかし、やはり根本的に政治を動かすのは私たち国民の姿勢だと思います。

 産業革命以降、一世紀以上かけて築いた今の化石燃料社会を、たった数十年で脱却しなければいけない状況です。2050ゼロエミッションを宣言した国々はそれを30年でやると誓いました。

 日本は世界に遅れをとっていることをはっきりと自覚しないといけないと思います。これは行政だけでなく、民間企業も。そしてトップの人間だけでなく普通の人も。確実に、社会に暮らす一人一人に、大きな負荷がかかるでしょう。

 それでも人類の生き残りのためには、この困難な目標を達成しなければいけないのです。そのためには「全ての人」が、この地球温暖化の問題に関心を持つ必要があります。


何ができるか

 なるようになってしまえ、人間が絶滅してもいいや、と投げやりな気持ちになってしまうかもしれません。自分が生きている間をしのげたらいいや、とか、アメリカがやらないならやったって意味がないと匙を投げたくなるかもしれません。

 私はよく人間が滅びるのが一番いいんじゃないかと、人間にとってのいい環境が地球にとっていい環境とは限らないじゃないかと思っていました。特に、自分が何者になるか今よりもっと見えなかった中高生のころは。でも、勉強するにつれ、大人の話を聞いたり読んだりするにつれ、諦めるのは死ぬときまで先延ばしにしてもいいかなと考えられるようになりました。思考停止する前に、きちんと問題に向き合おうと思っています。

 ちょっとネガティブだった私の思考回路をお送りしましたが、素敵なnoteがあったので紹介です。

 世界と日本の環境意識の差についての記事ですが、明るくいきましょうって話が書かれています。私もポジティブに楽しく行こうぜっていうスタンスは、とても大切なことだと思います。インスタ映え、みたいなノリで楽しく広がったら素敵ですよね。

 楽しくアクションを起こすとき、誰にでもできるのはお買い物です。お買い物の際の、「どれにしようかな」が社会、経済の今後の方向性を決める清き一票になります。

 気候マーチに参加したり、記事を書いたり、できなくてもいいと思います。自分に向いているやり方で、自分がやりたいと思ったことをやればいいと思います。個人でできることは少ないけれど、組織としてならもう少しできることの幅が広がるかもしれませんね。

 自分にできることを考えるためにも、一度、地球温暖化についてよく考えて自分の中に落とし込む作業をする機会を持ってもいいのかなっていうのが私の意見です。


経済成長と環境問題

 最後に触れておきたいのは、経済成長と環境配慮の両立は不可能なのかというテーマです。直感的な印象としては、環境に配慮するというといろいろ我慢をするイメージだと思います。私も先ほど、一人一人の暮らしに大きな負荷がかかるだろうと述べました。では、この負荷というのは経済成長が滞ることとイコールなのでしょうか。

 エネルギー自給率について考えてみます。日本はエネルギーの大消費国でありながら、エネルギー自給率はわずか8%です。理由はエネルギー資源のほとんどを輸入に頼っているから。化石燃料の使用量を減らせたら、今まで海外へ流れていた大量の資金を国内に回せそうです。

 また、地球温暖化の対策のために開発した科学技術や社会システムが他の分野で活かされて、より生活が豊かになることもあるでしょう。

 一人一人の暮らしにかかる負荷、というのはおそらくただの我慢ではなく、生活の大きな変化です。変化に伴って我慢しなればならないこともあるでしょうが、いいこともあるはずです。例えば、江戸時代鎖国していた日本が明治になったときのことを、よく激動の時代と呼びますよね。まさにあのような大転換を迫られる、しかしそれは経済成長と相反するものではない、というのが私の考えです。

 また、貧困を救うのに、物資の支援やボランティアでは現地の人々の力がつかないから長期的に見たとき解決にならない、という話がありますが、環境問題も似ている気がします。環境に配慮した社会を作るために我慢するのではなく、経済を絡めていくのが長期的には良いのではないでしょうか。

 実際、CO2排出量に価格をつけるということが行われています。これに限らず、今までの価値観を更新し、より経済としても成長することが可能ではないか、とぼんやり考えているわけです。

 追記(12/21):どうやら以下のHPによると、経済成長と環境への悪影響は切り離せないようです。つまり、経済成長と環境配慮の両立は不可能なようです。このトピックに関して記載のあったHPを記しておきます。このサイトの他のページもとっても参考になりました。
https://www.ishes.org/economic_growth/dilemma/dlm03.html
https://www.ishes.org/economic_growth/sse/about/tech_progress.html

私にできること

 私のような大学生は、グレタさんのような言葉で人々を揺さぶるには少し遅いのかなと思います。同世代には社会に出て働いている人もたくさんいますから。もう、大人を子どもであるからという理由で批判できる年齢ではなくなってしまいました。

 私にできることは、具体的に気候変動問題の解決に対してどう関わっていくか考え、準備をし、実行していくこと。それを同世代、大人たちにも呼び掛けること。そして私より若い世代に続いてもらうことです。

 地球温暖化問題は、今このnoteを読んでくれているあなたが生きているうちにひとまずの決着がつくはずです。

 私はあなたが地球温暖化に関心を持って、自分なりの行動に移してくれることを望んでいます。



 私が根詰めて書いてしまった文章なので、読んでくれた方も読み疲れたのではないでしょうか……。知識のある方には当たり前の話しか書いてないので、冗長に感じたかもしれません。逆に、話があちこち飛んでいるように感じた方もいるかもしれません。それでもこの愚直な読みにくい文章を最後まで読んでくれたこと、心から感謝します。


参考にした主なものたち

環境政策対話研究所(http://inst-dep.com/) 情報資料集
(↑ 大学生、若手社会人向けに次世代エネルギーワークショップなるものがあるので、興味のある方、のぞいてみてください。)

環境省
IPCC 1.5特別報告書 概要
http://www.env.go.jp/earth/ipcc/6th/ar6_sr1.5_overview_presentation.pdf
IPCC 第5次評価報告書 概要https://www.env.go.jp/earth/ipcc/5th/pdf/ar5_wg1_overview_presentation.pdf

国際連合広報センター 気候行動サミットに関するページ
https://www.unic.or.jp/news_press/info/34893/
https://www.unic.or.jp/news_press/features_backgrounders/34275/

全国地球温暖化防止活動推進センター HP
https://www.jccca.org/

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