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サンカン(フルートのソナチネ分析1)

ピエール・サンカン(P. Sancan)のソナチネの分析をしてみました。近代音楽っぽくて、何度も同じ面白いテーマ(主題)が出てきます。どうなっているのか、とても気になったので、その部分を抜き出してみました。

1回目の主題

1回目の主題は、元調の通り、ロ短調(h moll)です。吹いていても一見全然見えてこないですが、シェンカー分析を使って、キーノートを取り出してみます。取り出してみると、ミ、ファ#、レ、ファ#、ミ、ファ#、レ、ファ#、ミ、ファ#、レ、シ(導音)、ド#(転調)と、なんだか駆け出したくなるような音展開になっています。

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最初、ド#なのは、フルートの音域が足りないため、ロ短調の第2音を使っていると考えられます。
どうやら、ロ短調のハーモニックマイナーと、和声的短音階(ハーモニックマイナー)と旋律的短音階(メロディックマイナー)が混ざっているようです。

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テーマの終わりには、ロ短調の第2音、ド#の経過音を使って、次の第3音、レの音につなげて、曲を展開しています。

2回目の主題

展開後はすぐにニ短調(d moll)です。ロ短調から上に転調しているので、短調でも、テンションが少し上がり気味になっています。さらに勢いを増したくなるような音になっています。シェンカー分析的には、ソラファラソラファラソラファレ♭(ド#)→ミ♭となります。

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ニ短調の旋律的短音階を使っているようです。

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そしてピアノへ

そして、しれっとホールトーンスケールで盛り上がって、ピアノに引き継ぎます。左手はロ長調になりますが、右手はなんと・・まさかのホ短調(e moll)。ピアノへ旋律を引き継ぐ際に、盛り上がったフルートの旋律を引き継いでいます。
旋律は、二短調(d moll)→ホ短調(e moll)とさらに上に転調し、さらに突き進みます。
伴奏はロ長調(H dur)のメジャーセブンス(HM7)で元に戻りたがっているけど、旋律はさらに突き進みたい感じに聞こえます。

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フルートの変ホ調(ミ♭)からの、ホ短調(ミ)!

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続きの主題の分析は、次回に書きます。


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