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児童養護施設向けの住環境コーディネーターがほしい


どうもこんにちは。ゆきちかさん、という名前でnoteを書いています。児童養護施設の心理職として働いています。
本noteの目的は、“児童養護施設”の検索結果をよりグラデーション豊かにする、というものです。

生活支援スキル役立つ家庭生活

 今日は遅番勤務(午後から夜まで)なので、奥さんと子ども(1歳児くん)を送り出してから、一通りの家事をして、先に帰ってくる奥さんがスムーズに動けるように環境を調整しました。(あ、ちなみに住み込みではなく、通いの職員です。入所児童と並べて言うなら“通所大人”です)。

 これは完全に児童養護施設の生活支援業務で身につけたスキルです。それように頭の使い方があることを知ったわけですが、習慣化させてしまえば後はこなすだけのお仕事です。とても面倒くさいですが、やれば片付く快感を伴うので嫌いではありません。取り掛かりさえすれば勝利、という感じです。

 ただ、1歳児くんの成長に合わせて環境を作り変える仕事は頭を悩ませます。前はテーブルの上にでも避難させてしまえばそれで済んだモノ達が、今はカウンター上に身を寄せ合っています。このモノちゃん達に新しい住居を提供し、しかも生活導線を妨げず、それぞれのモノが活きる環境を作らなければならないわけです。

 しかもこの環境を数ヶ月単位で更新する、しかもしかも、その都度新しい環境に自分も適応しなければならない。…結構嫌になりますね。

 それでも収納環境作りは奥さんより私の方が得意で、やれば感謝されるサービスが提供できるので、動ける時に動いています。

 ということで、前置きが長かったのですが、今日のテーマは児童養護施設での住環境づくりのお仕事についてです。

住環境を「つくる」こと、「たもつ」こと

 児童養護施設には、児童指導員や保育士といった、子どもに関わる専門家が働いています。施設の仕組みにも寄りますが、子どもが日夜生活する場所ですので、住環境を整えるための仕事が多数存在します。

 その仕事を大きくわけると、「つくる」と「たもつ」の二つがあると思います。施設に暮らす子どもそれぞれに合った住環境を「つくる」ことと、一度組み上げた住環境の質を「たもつ」こと、です。

 同じ住環境に関わる仕事ですが、この二つの仕事が必要としている能力は全く異なります。

 施設にやってきた新しい職員は、まずは先輩職員がやってきた方法を教えてもらい、まずはそれをこなせるようになる、というのがまず一般的な流れでしょうか。まずは「たもつ」仕事を覚える。効率や留意点を守れば、大体の人は実行できます。児童養護施設の職場感覚を得るには大体3年の時間が必要と言われていますので、3年経過するあたりでやっと「じゃあ自分はこうしたい」と思えるようになります。もう少し熱心に働くと「やってみよう」と動けるようにもなります。

 一方、住環境を「つくる」仕事はなかなか難しいです。新人には難しい、というのはもちろんですが、施設の環境変化の速さがポイントになります。

 児童養護施設では、急に新しい子どもが入所したり、新年度でホーム(※児童が暮らすグループ単位。ユニットと言ったりもします)の児童と職員が入れ替わったりするため、「新しい環境に慣れる」という作業が何度も繰り返されます。中にはより特別な配慮を必要とする子どももいますので、同じ住環境でも手順や頭の使い方を変える必要が生じます。入所後の生活への不安を可能な限り減らすために、子どもが慣れ親しんだ生活スタイルを守ろうとすると、先に入所していた子どもにとっては「急に異文化がやってきた」驚きがあったりもします。ここに発達、成長もしていくわけですから、その相互作用のあり方を果てしなく調整していく作業となります。「つくる」仕事、というより「つくりつづける」仕事となるわけです。

失われつつある「つくる」仕事

 そこまでは良いとしても、これに昨今の社会情勢と入所児童の特徴を踏まえて考えると、児童養護施設の「余裕のなさ」が加わってくるとどうでしょう。初めは良かったとしても、徐々に日々の業務に追われ、余裕を失うと「たもつ」ことが精一杯になります。

 離職率も高い現場です。「たもつ」ことを教えた職員が辞めていき、先輩職員がいつまでたっても新しい住環境を「つくる」ことができない。「つくり方」を教わる前に教われる先輩職員がいなくなった、ということもあり得ます。

 すると、そこからは「みんな、できるだけ決まったパターンに合わせてくれ」という防戦一方の仕事になりかねません。「子どもに合わせる」ではなく「子どもが合わせる」場になってしまいます。社会の変化速度は、一般家庭のスタイルの変化速度にも当てはまります。施設の暮らしがどんどん社会から遅れていき、それがよもや施設文化として成立してしまったら最後、「つくる」仕事は、物置小屋に仕舞われた古い機械のように、あっという間に古く、使えないものになってしまいます。

 こうした時、施設職員が学んできた内容は住環境作りにどれだけ活かせるのか。私を臨床心理学の分野で相談技術を学んできましたが、住環境作りという観点ではあまり役に立ちません。どのような暮らしを希望するか、を聞き取ることはできるとしても、適した家具、適したカーテン、適した壁紙、適した家電選び、いずれもできません。自分の家なら好き放題やるとしても、必要な収納、生活動線、効果的な掃除手順、いつ何をどういう基準で捨てるのか、なども含めて、じっくり話し合わないと決められないことがたくさんあります。じっくり話し合うにしても、児童養護施設に入所する児童に適した環境を「つくる」仕事に専門性を持った職員がいるのかどうか。自分で家を建てた、なんて人はかなり限られることでしょう。住環境作りを専門にやってきた児童指導員や保育士なんている?と、とっても疑問です。おそらく、住環境作りが好きな人だけが頑張る構図になると思います。

求む、児童養護施設向けの住環境コーディネーター

 高齢者向けの福祉施設向けに、福祉住環境コーディネーターという資格があるようです。身体機能の課題を抱えた高齢者の住環境をより安全なものに調整していく、有意義なお仕事だと思います。

 これの児童養護施設バージョンを作ったら、お仕事になると思うのですが、ささっと動ける方、いかがでしょうか。発達の偏りや、特定の感情を強く感じてしまいやすい子どもでも安心して暮らせる住環境のあり方に特化した知識を持つ方。より大規模な施設は小規模化を進めていますし、職員配置が難しいことから、「たもつ」仕事も満足に教われない若手職員が今日も住環境に困っているかもしれません。テレビを付けたり、雑誌を開けば見つかるような、時短家事、効率的な収納の知識すら見る余裕がない、見知っていても環境を「つくる」余裕がない、きっとそんなニーズが全国にあると思います。

 いや、私が今からそういう知識詰め込んで、施設経験のある心理職から華麗に転身しましたー!とか言って働いたらオンリーワンな存在を狙えるかもしれないです。そゆの、作ろうかな…?児童養護施設業界のこんまり先生、みたいな…w

・・・

 ということで、私がやってもいいし、すぐ動ける人はぜひアイデアを使って頂いて構いませんし(というか既に誰か言ってるかもしれないし)、児童養護施設のお手伝いにご協力いただけると幸いです。

今日もありがとうございました。

ゆきちかさん

自分の好きな施設に訪問して回りたいと思います! もしサポートがあれば移動費と施設へのお土産代に費やします!