見出し画像

サラリーマンデザイナーがマル秘展に行ってきた

話題のマル秘展、半月以上前に行ってきました!展示もコンテンツも膨大すぎて、こちらの感想や考えたことも∞状態になってしまったので、ちょっとづつ分けて書くことにしました。(注:それでも2000文字あります)

圧倒的ホームグラウンド感

わたしは大学で工業デザイン学科を卒業しメーカーのインハウスデザイナーになった、割と古いタイプのデザイナーです。

そんな私には、大学の先輩の事務所に遊びに行った感覚、といいましょうか。かつてないホーム感を感じる展覧会でした。
「ち~っす先輩!へ~、こんな感じでデザインやってんすね〜!!」「そうそう、あんまり机見んなよ〜」みたいな。
巨匠の作品を見に行くということでちょっと緊張して見に行ったのですが、
「こうやって現場で図面に指示を書くよね~」とか、
「キースケッチって紙の端に走り書きしたやつだったりするよね~」とか、
あるある!わかる~!!みたいな、共感Maxの意外な気持ちになりました。
また、自分が普段の仕事で見ている風景と地続きの作業の積み重ねが世紀の名作につながってるのか…と思うと、感慨深いものがありました。

楽しすぎる異分野デザインプロセス

ふだんインダストリアルをやっているので、その過程は嫌になるほど見ているのですが、空間やテキスタイル、照明など、やはり普段見られない異分野の方の過程を覗けたのはよかったですね・・・!!悶絶ものでした。
デザインするものが変わると、スケッチの手法や雰囲気も随分変わるものですね。人が変わるとまた違うという千差万別ぶりがこんなに見られるのは、本当にマル秘だな…!

写真バリバリ載せはじめたら超ロング絵巻になってしまったので、フォトレポを分けました↓

指示書マニア垂涎!磨き上げは見るのもやるのも楽しいよね

わたしは時間が許す限り指示書に情報と思いを詰め込む派で、人の指示書を見るのもめっちゃ好きなので、めちゃくちゃ眼福でした。
磨き上げの工程って、作りのプロとの共創感がいよいよ高まる段階なので、最高に楽しくてつらい至福の時間ですよね。
実際の試作品等のブツを挟んで対峙すると、なんかこう、ブツの前では人は対等…みたいな空気感になって、立場を超えて色々言い合える瞬間がたまにある。
こういう空気感を間接的に共有できるような体験ができたのは、とても幸せですね。

画像1

手描き世代の狭間で

自分が、こういう手描き図面やスケッチを現場で見てきた最後の世代なのかも、と思いました。先輩デザイナーやモデラーさんのスゴ技を間近で見てきた自分の体験を、間接的に若い子たちも味わえたのはこの展覧会のひとつの価値だな~と。
製品デザインのスケッチ類やモデルって作品じゃなくて過程の一部(と私は思っている)なのでその価値を測るのが難しいけど、どのくらい保存されているんだろう。あの超絶技巧は文化的財産になるのかなあ。
日本はとくにインハウスでデザインをやっているので、内容が外に出ない分内部でどのくらいアーカイブされているか分からないところがありそうですね。

会場でも特に感嘆をあつめていた山中さんと原さんのレンダ/スケッチ。

画像2

見に来てくれてありがとうという気持ち

会場にはデザイン系の学生さんだけじゃなく、ベテランデザイナーっぽい壮年の方の来場も見られたし、家族連れとかいろんな人がいてよかったです。ホーム感がすごいだけに、みんなの反応をめちゃ観察してしまいました。
「これ見たことある〜」とか「絵めっちゃうま」とか、「模型いっぱいつくるんだね〜」とか言うコメントを聞いては、皆いっぱい見てってくれよな…となんかニヤニヤしてしまいました(誰なんだお前)

いわゆる開発プロセス解説じゃないため、何がどうなってこうなった、と詳しく語らない並べ方なので、見ているまわりの人から「でも結局どうしてこういう形になったんだろねー???よくわかんなかった」という疑問の声も聞かれました。確かにわたしも天才のひらめきは分からなかったよ・・・。一個くらいわかりやすいプロセス解説の例があってもよかったのだろうか…?と思いながらも、わからなくても楽しかったというコメントを見るとうれしくなっちゃいました。みんなデザインを見に来てくれてありがとう!!(ほんと誰なんだお前)

画像3

展示してくれてありがとうという気持ち

一方、これを展示してくださった田川さん鈴木さん、デザインコミッティの皆様へも大感謝です。
想像以上に赤裸々な展示物が多くて、この展示を出してくださった先生方のかっこよさと懐力は、やっぱり巨匠たる所以だと思います。
田川さんも「何でこんなことをやるのかメンバー皆さんに理解してもらうまで大変だった」とラジオで言ってたけれど、出すとなったらこの気風のよさですよね~さすが~
絶っっっ対にないけど、自分が出せと言われたらウワ〜何出そう!とめっちゃ悩むと思う。そしてカッコつけて後からちょっと書き直したラフスケッチとか出しちゃって、すごいつまんない感じになったりしそう。だせぇ。
脳内でもしMyマル秘展をやることになったら…って思ってると、日々のアウトプットが質が上がるかもですね。笑

最近見失いかけていたデザインの仕事の楽しさを共有できたようで嬉しかったです。
アイディアを少しづつ磨いて鍛え上げる過程のワクワク感も。
けど、その前に磨くものを見誤らない強さが一番大事なんだよなぁ。

マル秘展シリーズ記事

・フォトレポ マル秘展

・耳で味わえ!音声コンテンツで楽しむマル秘展



この記事が参加している募集

イベントレポ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?