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海外から見る日本の音楽の世界
(2022/08/02追記)そういえば日本の音楽から見るコンピといえばこのような記事を過去に書いた。ゲーム音楽も素晴らしい日本音楽の文化である。
最近、海外で編纂される日本の音楽コンピが好きだ。
海外の熱心なファンは日本に来ては名盤を探し求める姿をよく見かける。
シティポップや和レアティックが世界で再評価され、再発・流通も活発になっていった。
もはや日本発の音楽は海外から見る目のほうが詳しいのではないだろうか、そんな気すらしてくる。
東京人こそアルタ前を知らないように、中にいるとむしろ触れないということは往々にしてあり得る。
客観的に外から見るが故に、いろいろな角度から見ることができるのだろう。
本稿は「せっかく日本に生まれたのだから、日本の音楽を知っていたい。そこで海外の人の目に頼ろう」といった趣向である。
Kankyō Ongaku: Japanese Ambient, Environmental & New Age Music 1980-1990
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日本音楽コンピの大ヒット作といっても過言ではないだろう。
2020年第62回グラミー賞「最優秀ヒストリカル・アルバム部門」にもノミネートされた傑作。
世界中の良質な音楽の再発を手がけるシアトルの「Light in the Attic」レーベルが、日本の音楽を編纂する「Japan Archival Series」の一角である。
アンビエント=環境音楽はブライアン・イーノが産んだが、実は日本でも優れた楽曲が数多生まれていたというのを感じられる。
BGMアルバムの傑作名高い無印良品の「MUJI BGM 1980-2000」が未だ再発されない中、細野晴臣の「Original BGM」が収録されているのが狂喜なのである。
Pacific Breeze: Japanese City Pop AOR & Boogie 1976-1986 & Pacific Breeze 2: Japanese City Pop, AOR & Boogie 1972-1986
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![](https://assets.st-note.com/img/1656408567645-8UvaNqfTnQ.jpg)
同じく「Light in the Attic」レーベルが「Kankyō Ongaku」に次いで、満を辞してリリースしたシティポップコンピ。
シティポップをとりあえず聴くならこれだろう。
2019年に第1弾、2020年に好評につき第2弾がリリース。
Even A Tree Can Shed Tears: Japanese Folk & Rock 1969-1973
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実は「Light in the Attic」レーベルの「Japan Archival Series」第1弾となる2017年リリース作。
70年代のフォークソングをまとめて、どこか懐かしさを覚える。
遠藤賢司「カレーライス」、古井戸「ろくでなし」などたぶん"沁みる"という形容詞が一番似合うコンピである。
Somewhere Between: Mutant Pop, Electronic Minimalism & Shadow Sounds of Japan 1980-1988
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「Light in the Attic」レーベル「Japan Archival Series」最新作である第4弾。
80年代に多様化・変容したJ-Popをまとめており、個人的にはこのシリーズの最高傑作ではとも思っている。
小川美潮やムクワジュ・アンサンブルなどポップス音楽の枠で収めていいのかわからないアーティスティックな楽曲がひしめき合う逸品。
Oto No Wa: Selected Sounds of Japan 1988-2018
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デンマークはコペンハーゲンのレーベル「Music For Dreams」が編纂した日本のアンビエントコンピ。
Kenneth Bagerが主宰する本レーベルはチルアウト・アンビエントな音楽をリリースしており、Collector Seriesと銘打たれたシリーズの第5弾に当たる。
尾島由郎やヨコタススム、越智義朗らの楽曲も集まっており日本環境音楽を見る上でも良い盤。
Heisei No Oto: Japanese Left-Field Pop From The CD Age 1989-1996
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オランダのレーベル「Music for Memory」よりリリースされた「レフトフィールド・ポップス」コンピ。
CDが隆盛を極めた90年代初頭、ジャンルに囚われないニューミュージック的で先進的なポップスに焦点を当てて谷口英司、佐藤憲男らによってまとめられた。
細野晴臣プロデュースのLove, Peace & Trance、橋本一子、POiSON GiRL FRiENDなどを収録。
TOKYO NIGHTS: Female J-Pop Boogie Funk 1981 To 1988
![](https://assets.st-note.com/img/1656408725035-263ldF3O1n.jpg?width=800)
ダンスミュージックを扱うボストンの「Cultures of Soul」レーベルの作品。
ファンク、ソウル、ディスコという視点でバブル期1980年代に注目し、女性シンガーの楽曲をまとめている。
ラ・ムー、当山ひとみ、村上リエなど都会的な歌姫のシャレオツな楽曲群が色褪せない。
Nippon Girls: Japanese Pop,Beat & Bossa Nova 1966-1970 & Nippon Girls 2: Japanese Pop, Beat & Rock'n'Roll 1965-1970
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イギリスのAce Recordsの中で、1960年代ロックンロールに特化した「Big Beat」レーベルが着目した日本のロカビリーの世界。
こちらもガールズに特化した選曲で、なかなかディープな世界・サウンドを聴かせてくれる。
奥村チヨ「恋の奴隷」や山本リンダ「こまっちゃうナ」な超名曲も含む安心感。
Lovin' Mighty Fire: Nippon Funk, Soul,Disco 1973-1983
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同じくAce Recordsの「Beat Goes Public(BGP)」がレーベルが着目する1970年代の日本ファンク。
表題の松岡直也with吉田美奈子「Lovin' Mighty Fire」や浅野ゆう子「サマーチャンピオン」など必聴曲多数。
Nippon Girls二作品とTOKYO NIGHTSと合わせるとサウンドの変遷が見えてきて非常に面白い。
Longing for the Shadow: Ryūkōka Recordings, 1921-1939 & Is It Really Goodbye? More Ryūkōka Recordings, 1929-1938
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ロンドンの発掘系レーベル「Death Is Not The End」が日本歌謡の前身でもある昭和流行歌をまとめる。
同レーベルは本コンピ以前に小唄勝太郎の作品をまとめた盤をリリースしたが、市丸、赤坂小梅など時代を築いた歌手の楽曲をまとめた総覧的ガイドの2作品。
個人的には日本人はかなり必聴なのではと思う傑作コンピ。
Sound Storing Machines: The First 78rpm Records from Japan, 1903-1912
![](https://assets.st-note.com/img/1656408873502-wr8iXLDwEt.jpg?width=800)
シアトルの「Sublime Frequencies」レーベルは学術的・歴史的音源を主にリリースするレーベル。
日本で初めて商業録音が行われた1903年、かの録音技師:フレッド・ガイズバーグによって録音された雅楽・民謡など実にクラシカルで歴史的録音集。
耳にするだけでもありがたいような音源で、実に痺れる。
再発見されているシティポップや、日本が誇る環境音楽はもちろん、日本特有で歴史的な音楽まで、海の向こうの彼らはどうやってこれらに辿り着くのか。
彼らの情熱に感謝しつつ、つまみ喰って日本の歴史の一端に触れていくのが、近頃の楽しみである。
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