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#71 明日への選択

Even though we face the difficulties of today and tomorrow, I still have a dream. 
~Martin Luther King, Jr. ~

「学校の校庭にある遊具の使用が禁止されたとしたら,あなたはどういう行動をとりますか?」これはスウェーデンの小学校の教科書に載っている質問です。実際の教育の現場では,新聞社に投書する,自治体に陳情する,署名を集める,といった社会的行動をとることについて,子供たちで話し合うそうです。ちなみに,スウェーデンは国民の政治への参加率が高い(選挙投票率が常に70%程度を維持している)ことでも知られています。

ところで,この質問に対して筆者が真っ先に思ったことは,「近くの公園に行って遊ぶ」でした。つまり,今やりたいことを今すぐにやるのはどうしたらよいのか,と考えたのです。この事例が子供たちに政治参加の大切さを教えるものであることは十分に理解していますし,実際に国家や政治を通じて社会を良くしていくという考えには大いに賛同できます。しかしながら,まず今の安寧や幸福を得るためには個人がどう行動すればよいのか,という視点で考えてもよいと,個人的には思うのです。

人類は今,大きな困難を抱えています。ですが同じような困難は,歴史の中で何度も繰り返され,そして人類は生き残ってきています。人間の死は必然ですが,明けない夜はないことも歴史を見るに理解できると思います。この時期に,自分は何を選択しどのように行動するのか。体制,政治,方法,何かしら外部を批判する,それらを変えようと行動する,それらは確かに正しいのかもしれません。しかしながら個人的には,その批判の目を自分の内側に向けることがあってもよいのではないかと思うのです。

世界には深刻な貧困の問題は残っているのせよ,現在は基本的にはモノがあふれている時代です。問題の原因は生産性の低さではなく,モノすなわち富が偏在していることであり,その解消には新しいシステムが必要となります。そのシステムとは,資本家と労働者との階級闘争とか,生産手段の共有とか,そういった支配とコントロールの構造とは違った発想のものになるのだろうと思います(対立構造の中で模索された国家レベルの共産主義は歴史的実験に失敗したと考えます)。

ユートピアを夢想することを許されるのであれば,その社会はプラトンが述べたところの「哲人国家」であり,社会システムではなく構成員たる各人が成熟する社会なのではないでしょうか。個々人の価値観は多様化しつつも,人間に共通する倫理観は感情的でもなく論理的でもなく,先験的に個々人に実現されている社会,それがエシカルな次世代の社会の姿だと考えます。統合か分断か,分配か独占か,与えるのか奪うのか。大きな時代の変化の波の中,エシカルな社会の実現は自分自身の,個人的な選択にかかっていることを,今一度内省する時期なのではないかと思います。

〔こありん先生チャンネル〕YouTube配信しています@(・●・)@

#経営 #コンサルタント #コロナ後の社会 #哲人国家

正しいことより「適切なこと」に重きをおく,プラグマティックな実践主義コンサルタントです。経営の鬼門はヒトとカネ,理屈ではなく現実を好転させることをモットーとしています。 お問い合わせは,https://prop-fc.com/mail/mail.html