見出し画像

#10 シンプルにカンタンに

ユーミンのデビュー50周年記念ベスト、「ユーミン万歳」を毎日エンドレスリピートしています。何十回と聞いたはずの曲が、改めて聞くと「あーこの曲ってこんなこと歌っていたんだ」とか「こんな転調してたんだ」とかとにかく発見が多いのです。特に驚いたのは、荒井由実時代の楽曲を中心にその「具体性」の高さ。歌詞のディテールまで解像度高く描かれているのに、なぜかユーミンが歌うと個人的な話・・・ではなく「普遍性」を帯びてくる不思議な体験をしました。(特に「5cmの向う岸」には度肝を抜かれた!)ユーミン好きもそうでない人も、是非聴いてみてください。

話は変わって最近読んでいる本の話。俵万智の「サラダ記念日」を読み直しています。ずっと昔に出た本なのに、不思議と古さを感じない。エバーグリーンな爽やかさが読後に残る作品たちです。31字という箱の中で、極めて平易な言葉で書かれているのに奥行きを感じさせる歌たちは、噛み締めるたびに多幸感が溢れるような読み応え。

このユーミンの歌と俵万智の歌に共通するなーと勝手に思ってしまったのが、平易な言葉で綴られた「シンプルでカンタン」な作りであること。

もちろん、メロディーに乗せるのと31字という縛りの中で書くのとでは勝っても違うとは思いますが、どちらも極めてわかりやすく具体的な言葉で描かれきっている。それでいて、パーソナルな話・・で終わらずにある種の一般性というのか普遍性を帯びていて、聞き手全員がどこか身に覚えのある気がする綴られ方なのです。

抽象的で観念的な話やメッセージも大好きですが、一方でシンプルでカンタンで、それでいて奥行きのある言葉を紡ぎ出せるその才能ってすごいなーと思わず膝を打った夜でした。

何でもそうだけど、型のような幅や範囲が決まっている(制約がある)ものの中から本当にいいものって生まれてくるよね。いくら使っても何時間かけてもいいから、何か作ってと言われても・・・そんな自由を謳歌できるほど人間は優秀じゃないですね。

優秀な人はいつも「引き算」が得意ですね。

UK


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?