【読んだから率直に感想書いてみた】あなたが消えた夜に　中村文則著

三部構成になっていて、第一部、第二部はそれなりにミステリーとして面白かった。
登場人物がそれなりに多いので、第二部終わりまで”事件メモ”を個人的につけてあらゆる伏線っぽい記述や、推理を巡らせていたら、第三部からはただ単に犯人の独白手記（しかも主人公目線では燃えてて消失している手記なので登場人物はその手記の内容を知らない、で終わる。読者が犯人の内面をみるために用意されている）で今までの犯行を回収していく感じだった。第三部まではそれなりに面白いので、最期まで中島、小橋ペアが事件解決のため思考を巡らせ走り抜けてほしかったが、第三部の犯人の手記でそういった第一部、第二部の面白かったところをピタッとやめてしまったのが残念。私的にも第三部の始まりで今までの登場人物一覧表が出てきて事件メモをつけていた意味の半分以上消失し、その後伏線だと思っていた箇所も、犯人の手記からすると「へぇ〜そう思って犯行におよんだんですねぇへぇ〜」としか思わなくて推理もへったくれもなくなった。
あと、一番もやったのが、主人公中島の過去。これが今回の事件とどう関わっていくのか中島自体はどうなるのかを期待して読んでいたが、結局結末には全く関係がない。テーマとして人間の無意識化の行動を挿れたいだけで、なんかそれがいかにも中島の過去と今回の事件の関連性があるって思わせておいて、こりゃ酷いわ。と思った。なんか無駄な設定が多い。その割に浅い掘り方したり、第三部については手記で深堀りは蛇足感さえあったかも。

多分心理学テーマとか違う目線でみたらもっと楽しめたのかも、私はミステリーとして先入観を持ちまくりでみたので残念な第三部の印象が強かった。決してつまらない本でもないし、読んで楽しかったとも思えるが、もう一度読むか、と聞かれればきっと読まないだと思う。