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全機現という言葉との出逢い

「この言葉に出逢えてよかった」
これまでの人生の中でそう思えたことが何度かあった中で
「人生において最も大切にしている言葉はなにか?」と問われたら
まず最初に「全機現」というこの言葉を選ぶ


◆「今日からあなたは、これまでのようには生きられない」

今から15年以上前 20歳の時
SLEという難病の告知を受けたときに このような言葉をかけられた
「これまでのようには、生きられない」と

それまでスポーツしかしてこなかった人生から一転して
ステロイドの投薬と、とりあえず3ヶ月間入院が決定
強いお薬の影響もあって精神が崩壊しかけて
涙と震えが止まらずにガタガタとベッドの中にうずくまったあの夜

「あー、このままだと壊れる。やばいなぁ」
って、そんな頭の中の声が聞こえたあとに
「でもまぁ、今この瞬間を笑うことができたとしたら俺は一生自由だな」って
そんな負けず嫌いでちょっとヒネくれてる自分でよかったと、今でも思う

無理矢理口角を上げて
笑え 笑え 笑え って言ってたら
涙と震えがピタッと止まり「へへ」って笑えてきた

おもしろいもので
本当にその瞬間に「あ、これでもう人生大丈夫だ」なんて
なんだか悟ったような気持ちになったと同時に
死ぬっていうことを人生で初めてリアルに感じた瞬間でもあった

そんな経験ができたからこそ20歳の僕は
「死んだように生きない。人生を生き切るんだ」と決めた

病気になって大変だね かわいそう
そんなこと当然自分に対して思うことはないし
病気を抱えていること含めて自分という人間だと認めた上で
むしろ目覚めさせてくれてありがとう とすら本気で思っている

コインに表と裏があるように、良いことも悪いことも表裏一体

Always look on the bright side of life
人生の明るい方をつねに見てみよう

って、そんなことを言い始めた20歳


◆で、全機現ってなんなのよ?

前置きがずいぶんと長くなってしまいましたが
「全機現」とは一体どういう言葉なのかって?

人や組織がもっている「全」ての「機」能を「現」すことで
細胞レベルでイキイキとしている状態

禅の言葉で
道元さんという禅師が1240年ごろに言っていたそうです
(オリジナルが誰などは、不明)

この言葉に僕がいつ出逢ったのかはすっかり忘れてしまったし
どうやって出逢ったのかというと
googleで別のことを調べていたら出てきたというそんな偶然

ただ、今でも鮮明に覚えているのは
初めてこの言葉を口にして意味を知ったとき
「あ、そういうことだったんだ」と
すとーーんと何かが腹落ちした感覚があった

生き切るっていうことは
そもそも自分が何者か(どんな機能と役割を持っているのか)を知ることであり
それを最大限に発揮することに努めることなのだ と
そしてそれが究極に豊かな生き方なんだ と

鳥は鳥だしカエルはカエル
飛ぶにも泳ぐにもそれぞれ得意なことをやればいいわけで
苦手なことしようと無理し続けても不幸(仕方ない)かもしれない
得意なことも苦手なこともあって当たり前

だったらそれを認め合いながら最大限活かし合う
そんな関係を、自分自身とも他者とも持ってみませんか
そんなお誘いをこの言葉を通じて受けたように感じています

◆僕がコーチングを愛する理由

コーチング というものをご存知でしょうか?
僕は20歳の時に病気してから人生で初めて夢が3つできたのですが
その中の1つが「いつかコーチという職業につくこと」でした

能力開発の手法であり育成方法論であるコミュニケーションのスキルでもある
そんなコーチングには以下のような信条があります
「人はもともと完全な存在であり、自ら答えを見つける力を持っている」
「その人が必要とする答えは、全てその人の中にある」

コーチングのコミュニケーションにおいては
質問を通して対話する相手が自らの中から答えを出すことを支援するのですが
他人から一方的に答えを決めつけられることや教えられることがとても嫌いな僕は
コーチングのこの信条とアプローチがやはり大好きであり
そして全機現という言葉とコーチングの信条が大きく重なっていると思うわけなのです


◆全機現という言葉を生きる

新しい家電製品なんかを買った時についてくる取り扱い説明書のように
「自分の取り扱い説明書」というものがあったとして
それが何ページにおよぶのかはわからないですが
もしそれを完璧に使いこなして
自分という人間をフル活用し生きることができたとしたら
それはハッピーなのかもしれない

一方でそんなもの無しで、使い方を時に間違えたり無茶したりしながら
使いこなせるようになろうとするそのプロセス自体に価値があるのかもしれない

いずれにしても
「全機現」という言葉が自分の人生に現れたことによって
人の個性を愛し可能性を信じ追求したいと思うようになり
自分との関わり方が豊かになったことを大いに感じています
そしてそれと同じぐらい
他者との関わりを持つ上でも豊かな解釈を持たせてくれると感じています


無理矢理にでも笑顔をつくって道を開こうとした20歳の時から36歳の今も
そしてこれからも
全機現 という言葉を自分のど真ん中に置いて生きていきます

ゆうき