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予祝17 ~敵将殿に「愛」を語る~

予祝です。
フィクションです。
こうなったらいいなー。
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僕は「敵将殿」と話ができるようになっている。

お互い、過去生の因縁を乗り越え、この新しい「皇の時代」を共に歩んで行こうと、杯を交わした「仲間」なのである。

さて。
中秋の名月、この日僕は、一献傾けようと、敵将殿をお呼びした。

ゆき  敵将殿、敵将殿~。
敵将殿 これはこれは、ゆき殿。お久しぶりでござる。
ゆき  敵将殿もご機嫌麗しゅう。いかがですかな、久しぶりに一献?
敵将殿 おお。願ってもない。ありがたく頂戴いたす。

この日は酒と、畑のじゃがいもを用意した。一応、団子も。(笑)
しばらく飲んで場も盛り上がったころ、敵将殿が切り出す。

敵将殿 ・・ゆき殿、こたびのお誘い、拙者に何をご所望でござるかな?

彼は、ニヤッ、としている。
僕は答える。

ゆき  ひとつ、話がございまして。
敵将殿 ほう。何でござるかな?
ゆき  はい。実はそれがし、「愛」というものに目覚めまして・・
敵将殿 「愛」・・でござるか?
ゆき  左様。「愛」にござる。

彼は、よくわからないながらも、興味を持って聞いてくれている。

ゆき  我はこれから、この「愛」を御旗とし、「愛」のために生きようと
    考えてござる。
敵将殿 う~む・・拙者にはよく見えんのでござるが・・・
ゆき  では、こう申したらいかがですかな。
    敵将殿は、過去生、何のために戦われたでござるか?
敵将殿 それは、「お家」のためにござる。
ゆき  御意。それは我も同じこと。しかして敵将殿、「お家」とは何で
    ござろうな? ”城”のことでござるかな?
敵将殿 これは異なことを。お家とは、殿や奥方もさることながら、「民」
    や田畑、牛馬に至るまで、全ての、我が「守る」べきものに決まっ
    ておりましょうが。

さすが、この男、わかっている。

ゆき  敵将殿、それが「愛」でござるよ。
敵将殿 なんと。それを「愛」と申されるか?
ゆき  左様。「愛」にござる。

僕は酒を勧める。
敵将殿は軽く礼を言い、何やら思い考えながら、酒が注がれるさまを眺めている。

ゆき  我思うに、この「愛」というのは、本来、もっと大きなものでは
    なかろうか。お家への「愛」はそれでよいが、それは”一部”にしか
    過ぎませぬ。
    そこで、新しい時代に生まれ変わった我らは、大元に立ち返り、こ
    の大きな「愛」のために、戦ってはいかがでござろうか。それが
    今生の

    大義

    
    でござる。


敵将殿 なんと・・・

敵将殿は激しく混乱しながらも、そこに何かを見出したようだ。
そして静かに語りだす。

敵将殿 ゆき殿。我はゆき殿に誘いをいただいた際、正直、何をすればよい
    のか分からなかったのでござる。ただ、何か・・こう・・そこに何
    かの光明があるのではないかと、そういう思いでござった。

彼は続ける。

    「愛」というものがどういうものであるか、まだはっきりとは分か
    り申さんが、こたびの命、その「愛」に捧げましょうぞ!

ゆき  御意。かたじけない。
敵将殿 拙者こそ。ささ、ゆき殿も一杯。

宴は涼やかだった。
ひとしきり飲んで、そろそろ終いの頃合いだ。

敵将殿 「・・しばし待たれよ。」

敵将殿が席を立つ。
どうしたんだろうか。
しばらくして彼が戻ってきた。

敵将殿 「こ、これでいかがでござるかな!?」

意気揚々と戻ってきた彼は・・

・・・そう来たか・・・(汗)
全く、憎めない敵将殿である。

兼続殿、お許しを。m(_ _)m

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