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タイムトラベルは楽し♪ 「メトロポリタン美術館」展

「メトロポリタン美術館」と聞いて
真っ先に頭に浮かぶのは、なんですか?

わたしにとっては、大貫妙子さんの曲、
「メトロポリタン美術館(ミュージアム)」
です。

わたしが中学生だった頃、
妹がまだ小学生だったので、
うちではNHKの「みんなのうた」を
よく見ていたのですが、
「メトロポリタン美術館(ミュージアム)」
は「みんなのうた」で出会った曲でした。

「タイムトラベルは楽し
メトロポリタン美術館(ミュージアム)」
と言うのは、その歌詞の一部です。

大貫妙子さんの独特の声や歌い方、
人形アニメの赤い帽子の女の子が
美術館の天使の像やミイラと踊ったり、
最後に歌詞の通り、
ドガの絵の中に入り込んでしまう様子にも
惹かれました。 

今回、そのメトロポリタンから
日本初公開46点の作品を含む
ヨーロッパ絵画部門の選りすぐりの作品が
やってきたのが
現在六本木の新国立新美術館で開催中の
「メトロポリタン美術館展
西洋絵画の500年」。

日本初公開のフェルメールの作品も
あると聞いて、楽しみにしていたのです。

日曜日、他の用事をすませてから
美術館に向かうと、
やはりある程度の人出はありましたが、
日時指定制度のおかげで、
じっくり楽しむことができました。

もっとも目を引いたのは、
ポスターにも使われていた
ジョルジュ・ラ・トゥールの「女占い師」。

陽の光を受けて卵のような肌の輝きを放つ女性、
疑わしそうな表情の若者、
ちょっと異様な雰囲気の年配の占い師、
そうっと若者から盗みを働く女性たち。

最初に鮮やかな色合いに目を奪われるのですが、
よくみると緊張感の漂う中での眼差しの動きに、
こちらの方が落ち着かない気持ちになります。

そして、多くの人が足を止めていたのが
ポンパドゥール夫人を描いた作品で有名な
ブーシェの「ヴィーナスの化粧」。

官能的でありつつも優美で、
柔らかい青い色合いも素敵でした。

インパクトが大きかったのは
マリー・ドニーズ・ヴィレールの
「マリー・ジョゼフィーヌ・シャルロット・デュ・ヴァル・ドーニュ」。

この絵のある展示室に入った途端、
彼女がひたと見つめる視線を感じるのです。

一心に集中しているその目力の強さに、
びっくりしてしまうのです。

その他にも、ゴッホやゴーギャン、
セザンヌ、モネ、マネ、エル・グレコ、など、
有名画家の作品がずらり。

気がつくと出口の前にきていましたが、
「あれ、おかしいな・・・」
そうです、楽しみにしてきた
フェルメールの作品に出会っていないのです。

係員の方に伺ってみると、
どうやら見逃した展示室があった模様。

展示室のマップを見せていただき、
慌てて順路を逆走?しました。

お目当のフェルメールの
「信仰の寓意」も日本初公開作品で、
フェルメールの最晩年の作品の一つと
言われています。

(赤い四角の説明の右下の、
女性が胸に手を当てている作品です)

絵の前に立って見て、
なんだか不思議な印象を受けました。

それはあらぬ方向に向けられた
女性の視線のせいでも、
部屋の奥の薄暗いキリスト磔刑図のせいでも
なさそうなのですが、
一言で言うと
「魂が抜けた」
ような印象を受けるのです。

何故なんだろう?

この絵には
わたしが大好きな別の作品、
「絵画芸術」と同じようなタペストリーが
同じように左側に書かれているのですが、
「絵画芸術」では
存在感のあったタペストリーも、
この作品ではなぜか生気なく
だらんと下がっているように見えるのです。

柄で言えば、今回の「信仰の寓意」
の方がはっきりと描かれているのですが・・・。
それでも、やはりこの作品に
出会えてよかったと思いました。 

(もしかしたら、わたしの期待が
大きすぎたのかもしれません)

寡作で知られるフェルメールですが、
(現存する作品は40点足らず)
今年の春、東京では2点の彼の作品を
見ることができます。

1枚はこの「信仰の寓意」、

そしてもう1枚が
現在上野で開催中の
「ドレスデン国立古典絵画館所蔵
フェルメールと17世紀オランダ絵画展」
で来日している
「窓辺で手紙を読む女」。

わたしはこの作品を以前関西に住んでいた時にも
見ているのですが、
今回は大規模な修復のあと、
ドレスデン国立古典絵画館以外の場所で
公開される初めての機会なのです。 

まだコロナにも油断はできませんが、
せっかくの機会なので、折を見てそちらにも
足を運ぶ予定です。

それにしても、コロナ禍に
ロシアのウクライナ侵攻のニュースと、
気持ちの暗くなることが多い中で
美しい絵画に触れて、
癒される思いでした。


今回も最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。
(1枚目の写真以外は展覧会チラシの写真です)

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