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英国での、何気ない会話

1997年英国滞在中、
わたしは毎週家族に手紙を書いていました。

なんせ今のように携帯は身近なものではなく
気軽にメールで連絡が取れる時代ではなかったのです。 

手紙の内容は、

「ハンプトン・コート宮殿(Hampton Court Palace)
に行ったら、こんなにすごかった!」
「キューガーデンに行ったら、桜が満開だった!」

というような、お城や美術館を見ての
感想や説明もありましたが、
生活していて思ったことや
どんな風に暮らしているか
なども書いていました。
 

ハンプトンコート正門


例えば、ある日はボランティア活動校の
掃除婦さんのこと。 

この方、エレンさんだったかエリーさんだったか、
お名前は忘れてしまったのですが、
(仕方がないのでEさんと書きますね)
大柄でおっとりとした優しいご婦人で、
わたしは大好きでした。

ちなみに、Eさんはいつも
掃除機のヘンリーと一緒に学校のあちこちを掃除していました。
わたしはてっきり、この学校で備品の掃除機に名前をつけて
「Henry」というシールを張っているのだと思っていたのですが、
実はこの掃除機、本当に商品名がHenryというのだそうです。
 
 

スクリーンショット 2020-10-14 19.47.11

時々、Eさんとお話ししたのですが、
わたしのボランティア先の
ゴソップス・グリーン・ファースト・スクールで
25年働いているとのことでした。

「学校のすぐ近くに住んでいるから、
便利なのよ。
子供が小さい時は、子供を連れて仕事に来ていたの。
そのうち、うちの子供達が大きくなると、
この学校に通っていたのよ。
もう2人とも結婚したけれどね。」 
 
とってもあったかいおばあちゃん、
といった雰囲気の方でした。 
 

1_キューガーデンのオレンジがかったバラ


また、ホームステイ先に下宿していた
(わたし以外に2人の下宿人がいました)
モーリス(当時75歳)は
3食全て自分で食事を用意していました。
 
物静かな人でしたが、
日本人のわたしにもとても暖かく接してくれ、
食事を作りながら、
様々な話をしてくれることもありました。
 
彼の食事は軽いものでもいつも素敵で、
買って来たお惣菜を食べているのは
見たことがありません。
 
小さいお鍋でスープなどつくりながら
ワインを用意し、
スプーン、ナイフ、フォークを綺麗にならべ、
出来上がると台所の隅の席で
窓から庭を眺めながら
ゆっくり食事を楽しみます。 

目で見ても、彼の作るものや盛り付けはとても綺麗で、
そのままお店でだしてもおかしくなさそうでした。

いつだったか、
「うちの父はあなたのようにはできません」
と言ったら、
「人によるからね」
とにこにこ笑っていました。 

「歳をとっても、
一人できちんと身の回りのことを
整えて生活しているって、
見ていても気持ちがいいな」
と思ったものです。 

Eさんも、モーリスも、
わたしと話すときはゆっくりとわかりやすく
話してくれました。

あったかいお二人と話していたことを思い出すと、
今でも嬉しくなります。

こうして振り返ると、
当時思っていたよりもずっと多くの方が
さりげなく気を配ってくれていたことにも気づきます。

当時優しく接してくれた方へ
改めてありがとうございましたと
感謝の気持ちでいっぱいになります。 

今回も最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。

*電子書籍
「1997~英国で1年暮らしてみれば~vol.1」
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読者さんから感想をいただきました📘 

「ご本を拝読していて
『着物姿のyukiを描く』という
子供たちのエピソードに感動しました。
可愛すぎます。その描かれた絵も可愛い。
櫻木さんは本当に素晴らしい体験をなさったのですね。」

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素敵な感想をありがとうございます(^^)

振り返って見て、
「1997年に体験できたことは宝物」
と改めて実感しています✨

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