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自分の人生は、自分で決めたい。「明日になれば アフガニスタン、女たちの決断」

前回触れた映画
「明日になれば アフガニスタン、女たちの決断」
は、アフガニスタン出身のサハラ・カリミ監督が
現在のアフガニスタン女性の姿を描いた作品です。

見ていて思い出したのは、
2020年日本公開の韓国映画
「82年生まれ、キム・ジヨン」。

こちらは原作の小説も映画も
日本でもヒットしたので、
ご存知の方も多いかもしれません。 

こちらは
韓国の現在の女性の姿を描いた作品でした。
 
アフガニスタンと韓国では
文化も状況も違いますが、
それでも両方の映画を見て共通に感じたのは
「女性として生まれたために、
なぜこんな理不尽な目に
合わなくてはならないのか」
ということ。
 
(そして、
「いつまでも いると思うな 親と妻」
ということ。)


「明日になれば 
アフガニスタン、女たちの決断」
に登場するのは、立場も状況も違う3人の女性。
 
身ごもっているのに
義両親と夫の世話に追われる主婦ハヴァ、
事実上破綻していた結婚生活を
終わらせようとしている
ニュースキャスターのミリアム、
秘密を隠して結婚しようとしている十代の少女、
アイーシャ。
 
それぞれに問題を抱えていますが、
その中で最も追い詰められた状態にあるのは
妊婦であるハヴァかもしれません。
 
見るからに大きなお腹を抱えているのに、
薪割りも炊事も、すべての家事を
一人でしなくてはなりません。
 
義父は彼女を下女のように扱い、
義母は認知症になっており、
移動も食事もハヴァの手伝いなしには
何もできません。
 
夫はたくさんの友人を頻繁に自宅に招きますが、
妻をやはり使用人のように扱います。
 
義父も、夫も、
妊婦である彼女をいたわることもなく、
次々と自分の望む通りに
ハヴァを働かせようとします。
 
認知症を患う義母は
何一つ言わず、動かず、
されるがままのお人形のようになっています。
 
「もしかしたら、この人も若い時にはこんな風に
家族のために身を粉にして働いていたのか。
それで今、こんな風になってしまったのかも…」
と思うと、やるせなくなりました。
 
お腹の子供に話しかけることが
ハヴァの唯一の喜びだったのに、
(間接的には義父と夫のせいで)
その彼女の喜びを奪うような、
とんでもないことが起こります。
 
悲しい、怖い、助けが欲しい。 
でも、助けてくれる人もいない。
 
そんなハヴァが必死の思いで
自分のお母さんに電話しても不在。
(お母さんも働いている模様) 

電話を取ったお兄さんには
「大丈夫、なんでもない」
としか言えないハヴァ。
 
結婚して家を出た女性は、
婚家でどんなに理不尽な目にあっても、
それを実家の家族に
相談することもできないのか。
 
ハヴァがあまりに不憫でした。


ニュースキャスターのミリアムは
経済力があるので
離婚の選択も「産まない選択」もできますが、
そんな彼女も理不尽な結婚生活を
7年間も耐えてきたのです。
 
それなのに、
悩み抜いた彼女の選択を知った友人からは
「本を読みすぎたからそんなことをいうのでは」
「よりを戻せば」
と言われてしまいます。
 
女性同士であっても、
この国の従来の価値観で生きている人にとっては
「自分の人生は自分で決める」
ということは
「勉強しすぎた頭でっかちの変わり者の女」
がいうことのように捉えられていることに
呆然としました。
 
結婚するか、しないか。
誰と結婚するか。
何をして生きるか。
子供を産むか、産まないか。
離婚するか、しないか。
 
簡単な選択ではなく、
これらを決めるときには
家族のことや経済状況その他も含めて
考えなくてはいけませんが、
少なくとも、今の日本では
基本的にはこれらのことを
自分で決めることができます。
 
でも、アフガニスタンでは
そんな状況になく、
タリバンが昨年暫定政権を発足させてからは
女性の権利はさらに様々な形で
制限されています。
 
この映画のちらしには
イラン出身のサヘル・ローズさんの
「アフガニスタン国内で撮影できた奇跡、
今はもう、こういう作品を取ることは
できないだろう」
という言葉があります。

今、アフガニスタンの人たち、
特に女性たちは
どうやって暮らしているのでしょう。
 
サハラ・カリミ監督が
この映画を作った理由について
 
「アフガニスタンの女性について
語られていることの中には、
正しいこともあれば、
ステレオタイプのこともある。
 
そのようなステレオタイプでないことを
伝えるのは自分の義務。
 
新しいストーリーを世界に届けられたら、
と思った」
と話していらっしゃいましたが、
この映画からは多くのことを学びました。
 
改めて、世界中で全ての人が
平和に、健やかに、自由に
(もちろん、他者を尊重する形での自由です)
生きられることを心から祈りました。

全ての人に、
「本当に生まれてきて良かった」
と思える未来がありますように

 
今回も最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。
 
*写真は先日行った旧古河庭園。
バラフェスティバル開催中でした



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