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あなたの病院の看護師不足は採用下手が原因かもしれない

多くの看護師の方は気にもしませんが、自分が働く病院の採用力はかなり重要という話をします。

看護師の人手不足はなぜ起こるのか

看護師の方であれば、急な離職や大量離職、産休の頻発などによる人手不足を経験した方が多いのではないでしょうか。看護師の仕事は人員が減ったとしても、患者をすぐに減らすことはできないので、人手不足のしわ寄せが起きやすい構造になっています。

少人数での夜勤にしたり、残業を増やすことで急場を凌ぐのですが、できればこういう事態が発生しにくい職場で勤務したいですよね。

そもそもなぜ人材不足が発生するのか。この点について深掘りしてみると、人手不足が発生しない職場の特徴が見えてきます。

人手不足の発生原因については一般的には以下3つの理由が語られます。

①離職が起こりやすい職場環境になってしまっている
②看護師は女性比率が高いのでライフイベントが発生しやすい
③世の中的に看護師不足ですぐに採用して穴埋めできない

どれも真っ当で「これじゃ仕方ないよな」と思ってしまいます。自助努力で改善できるのは①くらいですが、すでに人手不足の職場を「長く働きたい!」と思ってもらえる職場に変えるのはかなり難易度が高く、諦めてしまいがちです。

実は採用下手も人手不足の原因

ここで第4の原因を提起します。それが冒頭の述べた採用力です。

④病院の採用力が低い(採用が下手)

これが人手不足の背景に必ずあるのですが、多くの医療関係者は注目していません。

一般的に採用活動は離職予測に基づいて計画的に行うものです。過去の実績を見て年度末に平均10名が退職しているのなら、その半年前から10名の確保に向けて採用活動を行っていくイメージです。採用が上手な病院はこれを当たり前に行っていますし、1年後を見据えて余裕を持った採用活動をしている病院もあるくらいです。

一方、採用下手な病院は離職や産休が確定しないと採用活動を始めません。例えば、12月に来年3月末での離職希望がたくさん出てきたとします。このタイミングで採用活動を始めるので、実質3か月で看護師を集めなければなりません。

こうした短期間での採用活動には良いことがありません。まず必要数を集める難易度が高く、結果的に十分な数を確保できません。また、数の確保を優先しがちで、人材の見極めが甘くなります。半年余裕があれば絶対採用しない人材も、タイムリミットが迫った状態では採用してしまうのです。

結果、離職の穴埋めが行えず、採用した人材も即戦力ではないという事態に陥り、現場のしわ寄せは大きくなるばかりです。更には、短期での人材確保を優先し、人材紹介・求人広告・人材派遣にお金を使いますが、良い人材を採用できないので投資対効果は極めて低くなります。とても悲しい結果です。

このように看護師の人手不足は病院の採用力も大きな原因となるのです。もっと言うと、先ほど挙げた理由①(離職が起こりやすい職場環境)は理由④(採用力の低さ)が引き起こしている可能性もあります。「採用が下手→人手不足が発生しやすい→離職が発生しやすい→採用が必要」という負のサイクルを何度となく見てきました。

転職活動時にも病院の採用活動に注目すべき

「自分の職場は人手不足が発生しやすい」と感じる方は勤務先の採用活動に注目してみてください。人手不足が明らかなのに看護部長の面接が少なかったり、ホームページやハローワーク、大手求人サイトに求人が掲載されていなかったりしたら、人手不足の原因は採用活動にあるかもしれません。

また、転職を検討している方もこの視点で候補先の病院を見てみてください。採用力が高い病院ほど、入職後に人手不足が起きにくいと言えるでしょう。外から採用力を見るためには以下の点に着目すると良いと思います。

・ホームページの採用ページがしっかりしている(採用の重要性を認識して投資しているといえる)
・見学や面接時の対応にホスピタリティを感じる(採用力がある病院は見学や面接時の対応でちゃんとPRしています)
・病院規模に対して募集枠が多すぎない(すでに短期での大量採用が必要な状態を作ってしまっている可能性がある)
・時期先の入職を前提に募集している(「すぐにでも入職してほしい」は危険信号)

最後に

以上、働く病院の採用力はかなり重要というお話でした。採用力が高い病院では人手不足が起きにくく、それらに起因する負のサイクルも発生しにくいと言えます。

人手不足はスタッフを疲弊させますし、職場の雰囲気もギスギスして最悪ですよね。ぜひ、この病院の採用活動はしっかりしているか?という視点を職場選びの参考にしてみてください。

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