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2/1に中学受験本番を迎える受験生と保護者の皆様へ

いよいよ首都圏中学入試本番まであと3日。業界の最前線から離れてはいますが、この時期になると毎年ソワソワしますね。

僕の感覚ですが、この2年、コロナ禍によって、受験や通塾の環境が大きく変わったと感じます。正直、リアル接点機会がかなり減って、子どもたちが講師や受験前に独特に生じる熱量を受ける機会が大きく減ってしまい、モチベーションを上げきれなかった子どもたちも結構いるんじゃないかなぁと感じます。

しかし、だからと言ってそのリアルな機会を設けることは不可能なので、別の機会で代替するしかないというのは現状です。例えば動画で激励するとか、このブログのように文章で激励するのか。

ということで今回は、いよいよ2/1を迎える受験生、そして保護者の皆さんに僕なりのメッセージを伝えたいと思います。

1.合格するイメージを持つ

受験生の直前期の不安や恐れは、塾講師にとっては想像の世界です。たぶんこうだろう、どんな思いだろうか、と想像はすれど体験をした経験のある講師は本当に少ないです。

家庭内では、小6というまだ若干12年しか生きていない子どもたちにとって、本当に不安で怖くて、緊張して泣きたくなって、苦しい時期であることは確かだと思います。

「落ち着いて!いつも通りでいいんだよ!」

そんな励ましがとても浅はかで、表面的に聞こえるくらい、その異常な緊張感を味わっている、そんな時期なんだと思います。

お父さんは仕事に行くも、ちょっと仕事どころじゃないような。またお母さんは目の前の子どもを見て、どう声がけするのがよいのか?(しない方がいいのか?)と、普段のコミュニケーションとは程遠い距離が生じているのだと思います。

そんなコミュニケーションの緊張感が生じている家庭に、どんな雰囲気で過ごすのがいいのだろう?とてもじゃないけど楽観的にもなれないし、悲観的になってもいけない。緊張を緩めてはいけないし、緊張しすぎてもいけない。

だからこそ、そんな時に考えるべきことは1つだけだと思います。

「当日、子どもたちが今までの成果をやり残すことなく発揮できるかどうか?」

時間というのは不思議なもので、人によって捉え方が変わる不思議な概念である。

受験勉強を始めて、いよいよ明日中学入試を迎えるとなると、今まで長かったと感じる家庭もあれば、あっという間だったと感じる家庭もあると思います。

その積み上げてきた(受験勉強の)時間は、開始時期の違いによってある種不平等な点もありますが、長ければ長いほど有利というわけでもないのです。

しかし、入試で与えられる時間は平等。試験時間は、今までの積み上げてきた時間に関わらず、平等に与えられるのです。逆に言えば、3年、4年と積み上げてきたその成果を、たったの30分や50分で試される。今まで積み上げてきた時間と大きくギャップのあるその短さに、人は不安を感じるのだと思います。

スポーツや音楽の世界も同様で、ものすごい長時間を練習に費やし、いざ本番という際には、とても凝縮された時間の中で、その練習の成果のすべてを発揮することが求められます。

その限られた貴重な時間は、今までの自分が積み上げてきた長い長い時間の努力を、いっぺんに凝縮させ、爆発させるための時間となるのです。

例えば、サッカーでいうPK戦、同点で迎えた最後のPK戦は強烈な努力と精魂尽き果てるまで戦った試合の後に決着がつかなかったときのもの。最後のPK戦は、たった1蹴りで、今までのすべての時間に勝敗の決着がつくもの。ここにも強烈な時間の凝縮性があります。

この限られた時間の中で、過去の蓄積してきた努力を、どれだけ凝縮させて爆発的に発揮できるのか?これが受験でいう全力を尽くすことだと思います。

「当日、子どもたちが今までの成果をやり残すことなく発揮できるかどうか?」

これを試験本番で実現するためには、最後の1分1秒まで、試験時間本番で努力の成果を大噴火させるその爆発を果たすまで、徹底的に勉強をやり切ること以外に、残り時間(1/31の夕方まで)を過ごす選択肢はないと思います。

そして1/31の夜は、いつもより早めに就寝してください。それまでは怒涛の努力、自分の中に蓄積させた努力のマグマを噴火させるために、できることを1つでも2つでも増やすように、不安に打ち克ち前に前にと進んでほしいと思います。

もし今、不安だとしたら、その不安という悪魔に打ち勝つためには、鉛筆を動かし続けてください。そしてお父さん、お母さんは、1人で前に進もうとしている子どもの邪魔をせず、あれやこれやというのではなく、まさに「親」という漢字が示すように、木の影に立って見守る存在として、粛々と準備を進めていただければと思います。

2.(保護者対象)不合格、その時のために

いざ、本番。もしかしたら思うような結果が出ないこともあります。中学入試は特に、第一志望に合格できるのは3割と言われるほど、その結果は厳しいものがあります。

その意味で、保護者はその時が訪れた場合、どのように振る舞うべきか?について想定をしておくと良いでしょう。できれば子どもはここに目を向けないようにしてください。「どうせ僕なんか」と自己保身に走って思うように結果が残せない可能性がありますし、不安な最中に不安な言葉に触れるのは懸命ではないと思います。

この章では、僕が現役時代、中学入試の時期、第一志望に不合格だった生徒や保護者とどう接してきたのか、について思い出してみたいと思います。

まず、不合格だった場合。冷静に、落ち着いたころに塾に電話を入れて下さい。どういうシチュエーションで合否を見るかによりますが、最近はネット発表・リアル発表とパターンがありますので、両方で想定します。

①リアル発表の場合

掲示板が公開されるその直前までは、期待と不安。どちらかというとほとんどの人が合格を信じて掲示板を見に行きます。万が一にでも合格しているかもしれない、という心理で誰もが掲示板を見に行きます。

いよいよ発表の時間。学校職員が、掲示板を順に掲げたり、掲示板を掲出しているスペースまで誘導したり、発表の仕方は様々です。

そしていざ、発表。大勢の親子が緊張の固唾を吞む、その一瞬。

声を上げるのは実は「合格した親子だけ」です。不合格で、大声を挙げる保護者はいません。

合格した親子は我が子を抱きしめ号泣し、歓喜の叫び声をあげます。

「あった!」「きゃ〜!!うかった!」「よっしゃー!」


一方で、不合格の事実を見た親子は、その事実を受け止めるのに時間をかけて、何度もその掲示板にうちの子の受験番号がないことを確認しては、黙ってその場を立ち去るのです。

親子ともに、その事実をどう受け止めいいのかわからず、無言のまま帰路につくことがほとんどです。

しかし、もし塾の先生がその場にいたら、必ず報告してほしいと思います。不合格だったことを、親子で持ち帰ってほしくないのです。そこにいる先生に、「先生、ダメだった」と報告をさせてください。

そこで、本人は抑えきれない感情をあらわにするでしょう。「お母さん、ごめんなさい」と謝る子もいました。その悲しみは、家に持ち帰ってはいけません。悲しみは、その感じたままに、吐露してください。精一杯その悔しさ、悲しさは出し切らないといけないのです。

また塾の先生がその場にいない場合、必ず塾に電話で報告してください。午後入試がない場合は、そのまま塾まで足を運んでください。きっと、塾の先生たちは、その悲しみを受け止めてくれると思います。


②WEB発表の場合

WEB発表は、時間になるとクリック1つで合否が判明するのと、周囲に人がいない、という点でリアル発表よりショックは少ない傾向があります。逆に、だからこそあとからジワジワと、合格できなかった後悔や悲しみが襲ってくることがあります。

第一志望校に不合格で、その後継続して同じ学校に受け続けた子の最後の入試応援に行った時に、朝僕を見かけて入試前に泣いてしまった女の子がいました。お母さんももびっくりしていました。1回目入試の不合格をWEBで見て、心配して電話をしたところ、「本人は意外にあっけらかんとしていて、ダメだったか〜」と呑気ですよ、と話されていました。

でも実は心の中で自分との葛藤の戦いだったんだと思います。最後の入試を控えて、これでダメだったらどうしよう、怖い、嫌だ!という感情が爆発してしまったのだと思います。

幸いにして最後の入試で彼女は合格を勝ち取りましたが、やはり入試期の1つの重要な要素として、感情のコントロール・発散は、子供の表情を見ながら、上手に悲しみや悔しさをしっかりと出せる方が良さそうです。(だからこそ、塾の先生との信頼関係はとても重要)

塾の先生は、入試期、不合格者の対応を第一優先にしています。普段は1つしかないような面談室は、各教室を面談形式にして、不合格だった生徒の悲しみを受け止め、そして前に進むために次の入試の対策をします。悲しいときには一緒に泣くし、次の入試に全力で勝負できるために励まします。

だからこそ、合格したご家庭は「塾に来ないでください」と言うのです。合格して、嬉しくて、直接報告したい気持ちは本当にわかります。でも一方でそうではないご家庭もたくさんいて、塾で泣いてる子もいるのです。

ちなみに僕が駆け出しの頃、2/2に早実の合格発表を電話で受けて、びっくり大逆転合格の報告を受けた時に、「本当ですか!!!おめでとうございます!!」と声高らかに電話をとってしまったことがあります。

でも、これも本当NG。その声ですら、落ち着いてまさに黒木センセのように、声色低く、「おめでとうございます(握り拳グッ!)」という必要があるのです。決して喜んでないわけではないのです。内心めちゃくちゃ嬉しいんですけど、それを聞いたらもっと自分を追い詰めてしまう生徒が、塾内にいる可能性があるということを考慮しないといけないわけです。

まとめると、入試期間、不合格を受けた子ほど塾に行くことです。そして先生と次の作戦を立てること。決して、家庭だけで対応しようとしないでください。子どもと先生の関係が良いほど、その時期に頼ることが前に進む原動力になると思います。

3.家族間で感謝し合う。

中学受験は特別な受験です。本来する必要のないタイミングでの受験で、あえてしなくてもいい受験です。それを家庭で子どもが選択したこと、または家庭として選ばせたことは相互に感謝しあえることが重要です。

そして、こういうタイミングだからこそ、夫婦の関係も感謝しあえることがベストです。最近の風潮として、母親目線での「ワンオペ育児」とか、「母が一人ですべてをがんばっていて旦那は何もしてくれない」と無いものねだりのテキストを多数見かけますが、最後の最後まで親がそのマインドでいることはよろしくないと思います。

特に漫画化されている「家庭の旦那に対する批判的内容」は、共感の得やすい商業的記事です。(その記事によって金銭的に徳をするから、無料で後悔されているものです)

スマホ時代だから、そういう記事を多数見かけるようになって、影響を受けやすい時代なので、目にする情報の選択はとても重要だと思います。

もちろん、何も協力しない旦那さんにも責任がありますが、入試期間くらいは家族そろって相互に感謝しつつ、子どもが入試に前向きに取り組める雰囲気を作れると良さそうです。

感謝は口に出してみるといいですね。思ってなくても、〜〜(名前)いつもありがとう、とか〜〜愛してるよとか、言葉に出すことで結構自分のマインドが変わります。僕も昔、夫婦喧嘩をしたときに超絶ネガティブになったことがあります。

その時に、寝る前に「〜〜いつもありがとう、〜〜愛してるよ、〜〜ごめんね」と言葉に出してみたところ、なぜかいい思い出ばかりが蘇ってきて、涙が出てきたのです。

翌日、ごめんねと伝えて、自分の身のふりを直したり、いつもはやらない家事をすすんでやったりしました。(どうせ三日坊主だろと悪態をつかれ気分は悪いですが、自分が一方的に悪いわけじゃない!と強がるんじゃなくて、行動を変えることが何より大切です)

ちなみに、中学受験でうまくいっていたご家庭で、ご主人が最後まで出てこなかった家庭もあります。すべてのご家庭でそうとは言いませんが、少なくともほとんどのご家庭では、最後くらい夫婦で乗り越える(または直前期になって、やばい関わらないと!と関与してくる旦那さんが出てくる)のは事実あります。ぜひそういうときに、今まで何もしてこなかったくせに、何よ!と突っぱねるのではなく、todoを示して協力を仰いでください。

中学入試は、子どもだけの頑張りではありません。親子で乗り越えるものです。そこをぜひ、あらためて見つめ直してみましょう。


4.受験生の皆さんへ

最後に、僕が昔生徒全員に伝えてたメッセージを書いて終わります。

「努力に勝る天才なし」

まわりが頭が良さそうに見える、周囲の解答しているえんぴつの音がとても早く聞こえる。でも、それ以上に同じくらい努力をしてきたのは自分だ。

最後まで自分の努力を信じろ!その努力こそが、君たちのすべて。できたこと、できなかったこと、悔しかったこと、嬉しかったこと、中学受験で経験したすべては君の財産だ。

だから、君の努力の範囲で解ける問題を解ききってきなさい!そうすれば、1つ合格に近づく。自分の努力だけを信じろ!入試本番、見つめるのは目の前の答案と自分の努力の思い出だけ。


やってよかった。と家族で感謝しあえるような、よりよい中学受験を陰ながら祈っております。


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