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#13【経営】中小企業がリモートワークに挑戦してみた

こんにちは。

10年後くらいにこのnoteを読み返したときに

「あぁ、あの頃はまだオフィスで勤務が当然だったなぁ」

と思い出にふける未来が想像できるくらい、どこもかしこもリモートワークになってきましたね。

大手メーカーやIT企業など、普段からオフィスワークの業種はもちろん、そうでない業種(メーカー営業や商社)なども在宅ワークとなっているようです。

たぶん、このコロナ禍をしのぐために、ほとんどの業種は一時しのぎ的にリモートワークを導入していると思うのですが、はたしてこのリモートワークは一時しのぎの策としてでいいのでしょうか。


昭和世代の、モーレツ仕事で成長してきた世代は

「朝早く出社して、新聞を読んで、夜遅くまで仕事して、寝る間も惜しんで仕事する」

ことが、成長のロールモデルでした。


僕(昭和58年生まれ)も例にもれず、新卒時代に最短で出世したかったので、朝9:00~夜中まで、ひたすら仕事に明け暮れた日々を思い出します。

しかし働き方改革の流れも相まって、残念ながらこの価値観は平成世代には受け入れられなくなりました。

むしろ「昭和思考」は害悪とさえ言われる状況です。


そんな中で、現在のこの「リモートワーク」の流れも、令和世代にとっては当然の流れであり、一時しのぎで感染防止のための施策になると、その企業は時代遅れになってしまうでしょう。

と、いうことで最近実施しているリモートワークについて、当社も時代遅れにならぬよう、リモートワークを取り組みながら感じた課題や今後の展望について、このnoteにしたためておきたいと思います。


1.BtoCビジネスにおけるリモートワークの考え方

当社は、住宅リフォーム会社です。

いつもは事務所に事務員がいて、問い合わせを電話で受ける。(または来店で受ける)➡その後、情報を登録して、社内の営業スタッフに案件を振る➡案件を担当した営業は、お客様宅にお伺いし、各種商談を進めて、会社にて見積作成、契約➡工事手配・現場管理(工事は協力施工会社が実施)という流れの業務を進めます。

このように、

・事務所に電話がかかってくる・来店がある➡受付事務員が会社に必須

ですが、営業にとってはオフィスは業務場所に過ぎないので、今回は営業スタッフをリモートワーク化してみました。

とはいえ、いきなり全員をリモートワークにすると混乱が生じると思ったので

・本社は2チームある営業チームのうち、1チームずつ週替わりで

・支店は、出勤人数を2~3名にして、それ以外はリモートワークで

というルールにて運用を開始しました。

また、

・朝礼はzoomで参加する。

・常時zoom接続(これはやってみて失敗)

・スケジュールに1時間単位で業務内容を登録

・印刷などが必要であれば出社は可能

・営業で自家用車は使用禁止

など、性悪説的な思考でルールを決めました。


そして、「在宅のスタッフに何をやってもらうのか?」という観点ですが、営業の場合、オフィスワーク的な要素は、現状「見積作成」くらいしかありません。

ひとまず、WEBからの問い合わせ喚起のために、ブログコンテンツの作成を課題とし、1日に5件(いやこれはさすがにきつかった)を指示しました。

当社は4/13~リモートワークを推奨しました。実際に現場社員の声を集約しましたが、こんな感想のようです。(まだ3件しか届いてないのですが・・・)

・事務作業は前もってやることを決めておき、集中して行えるのではかどる。
・zoomを繋げたままにしておくメリットはあまり感じられない
1.前の職場でもテレワークを経験しているので戸惑いはないが、案件がなければデスクワークも少ないので何をすべきか、何が利益を生むのか悩む。
学校が休校となっているので、在宅で仕事が出来ることは子供にとってはかなり良い環境になっている。
2.気分の切り替えが上手くいかない。煮詰まった時のリフレッシュ方法がない。大人と会話したい。
・当初は戸惑いもあったが、とりあえず、見積作成・資料作成と事務処理は(問合や・案件・現場もないのもあるが)社内よりも集中して行うことが出来、時間もかけて丁寧に作成できた。が、資料・カタログ等が手元にない為、紙ベースの方が早い時もあるので時間がかかる事も多い。
・ZOOMのミーティングが時間通りに始まらないので、待つ時間がもったいない。ホストが誰なのか?一度退出すると、再度入室許可を待っても、入れない。
・パソコン(顧客志向・Aipo等)があり、いつでも作業できる環境の為、仕事終わりの区切りがつきにくい。ある意味、入浴、夕飯が終わった後にまた、仕事ができてしまう。

このような現実的な声に対して、具体的にどうすべきか?を考えるのが経営層の仕事ですよね。たまには社長らしく、上記の声にはどうやって応えられるのか?を考えてみました。

2.現状の課題とやるべきこと

上記の感想を受けて、当社のリモートワーク体制について、いくつか修正すべき事項が出てきました。「事務作業であれば自宅作業でもはかどる」という声が出たのは意外でしたが、前向きに捉えてくれたのはうれしい限りです(^^♪

さて、上記の声やその他の社員からの声を聞く限り、当社が今後解決すべき課題は、下記の5つが浮き上がりました。

1.zoom朝礼は必要だけど、常時接続は不要ではないか?

そうですよね。常時接続って、なんとなくプレッシャーが大きいような気がしました。常時接続の目的って、さぼってないの?ちゃんとやってるの?という監視的意味合いが強くなり、社員への無言のプレッシャーがモチベーションを下げる要因になっていると感じました。

とはいえ、「オンライン上のどこかに誰かがいて、気兼ねなく相談できる」という環境を、オンラインでもオフィス同様に作るためには、常時接続に似た何か?が必要な気がします。

完全リモートワークで、会社から切り離された環境にはしたくないのですが、一方で、常時zoom接続のような監視にも感じられる体制もちょっと問題ですね。

あくまで目的は「気兼ねなく質問できる・コミュニケーションが出来る環境」を作りたいという感じです。

zoom常時接続をしなくても、気軽にコミュニケーションが取れる(しかも色々な忖度なくできる※誰に見られても遠慮しなくてもいい)ことを目指していきたいと思います。

2.朝の朝礼前に会社にホストがあると、出社メンバーの誰かがzoom用PCを立ち上げる必要があるが、分担はどうすべきか?(デジタルリテラシーの低い当社の一番の課題)

これも、非常に残念な現象です。会社に僕がいないとホストが立ち上がらないというのは、リモートワーク体制に対して、周囲があまり前向きに思ってない証拠でしょう。周知はしてあるのに、内勤のスタッフから「協力します!」という声を聞かない(聞けない)のも残念です。(これはそもそもエンゲージメントとかチームワークに問題があると思ってますが)

3.コミュニケーション不足をどう解決するか?

これは、日経ビジネスNO.2028のスペシャルレポート「リモートワークは高率悪い?チーム力を高める秘策とは?」という記事にヒントがあり、さっそく実践してみようと思ったことがあります。

・ホウレンソウよりザッソウ(雑談・相談)

zoomのネックは、オンライン会議が前提のツールなので、1人が話すと全員に聞こえるし、1対多数はOKだけど、N組×N組の会話には不適なんですよね・・・。ブレイクアウトセッションも、ちょっと違うかなと。

とは言え、中小企業にIT投資する元気も今のところないし、zoomを使い続けながら、何かしらの「雑談・相談」がうまくできるといいなぁと思いました。

オフィスでは、「雑談」は生産性を下げる時間食い虫として嫌がられますが、オンラインでもオフラインでもちょっとした息抜きで常識的な範囲内の雑談は悪いことじゃないですよね。

4.事務社員やオーナ夫妻からの『うちにリモートワークって必要なの?』(意味あるの?)という声にどのように必要性を論じるべきか。

これは、昭和経営者にありがちな発想ですよね。この傾向がある方々は、「自分たちの経験外の取り組み」については、思考なく否定してきます。同様に、現在リモートワーク体制になっていない社員からの必要性の有無の疑問は、業務オペレーション上の現実的な問題もあると思いますが、自分は出社しているのにという不公平感からも生み出されるものかと思います。(直接聞いたわけではないので、実態は分かりませんが)

こういう疑念が社内に巻き起こってしまうと、在宅のスタッフを誰が管理するのか?とか本当に仕事するのか?等、社員に対する性悪説が強烈に根付いているのか、ネガティブな「やれない理由・辞めた方がいい根拠」についての解答を求めてくる傾向があります。

たぶん、コロナ流行が終わったら、当社のオーナーは真っ先に「リモートワーク中止」を言い出すと思います。だって、会社に来ること=価値というのが、根付いている価値観なんですもの。

つまり、リモートワークが実施できている間に、リモートワークの方が成果が出るし、社員もやりがいを持って働けるということを証明しないと、結局元の木阿弥に戻ってしまいます。

上記の1~3はオペレーション上の課題ですが、今後もリモートワーク体制を継続するために本質的に向き合う必要があるのは、最後の問いです。

5.リモートワーク中にどんな仕事が利益を生むのか?

社員から、この問いが出てくるのは正直嬉しかったです。日々、会社に利益を出すためにしっかりと仕事をしてくれていうるという点を感じました。

一般的な営業職の場合、対お客様との契約と集金までが利益を生み出す業務プロセスなので、それ以外の行為がマネタイズできていません。ブログを1つ書こうにも、直接的な利益貢献にはならないので、この問いは、コロナ以降の営業社員としての役割を再考すべき、重要な問いであると感じています。

3.リモートワーク体制を継続するために

このままリモートワークが続いても、何の成果も見えないと、結局リモートワークは一時的な対処療法となってしまうと感じます。つまり、リモートワークでもマネタイズできる何かを見つけないと、リモートワークの価値が社内で認められない可能性があるのです。

(マネタイズ以外の価値は、もちろんあるのは分かってるのですが、否定側を論破するためには、「見える成果」を出す必要があるのです)

現状、私が思いつく範囲で契約➡集金までのプロセス以外でマネタイズできそうなこととしては、下記のようなことでしょうか。

・通常の顧客とは違った領域や業界から、当社スタッフのスキルとリソース上で実現可能な業務を受注し社員へアサインする。

例えばリフォーム会社向けブログを売るとか、当社の広告ノウハウを売るとか、コンサル領域のような活動をするというのも1つかと思っています。しかし、それには当社が成功しているモデルをパッケージ化して、再現性のあるモデルにしないといけませんが、現状はそうではないので難しいかなと。

あとは映像教材の作成と販売、ベテランのリフォーム営業マンの業務の進め方とかコツ、営業知識やトーク事例などを映像化して商品化する。これもコストはそうかからず実現可能ですが、本人がやりたいかどうかと、その後が問題です。(むしろコレが売れたら本人独立しちゃいますよね)

とは言え、このまま黙っていてもしょうがないので、「社内リソースのコンテンツ販売」は着手してみようと思います。

・営業の完全オンライン化

当社にも少しITに強い社員がおりまして、たぶんツールを使いこなせば初回相談➡見積提示➡契約までのプロセスはすべて遠隔で完結可能です。しかし、現状は問い合わせが激減している状況の中で、あくまで「完全オンライン営業」は、顧客との商談の手段の1つでしかありません。これが出来るからと言って、業績が伸びるかというとちょっと疑問ですが、現状出来ない会社が多い中で当社は出来るという点が優位性になれば、取り組むべき対策の1つでしょう。

4.今後の取り組み

まずは、社員の声をいくつか集めていきたいと思います。こういう時に現場の声を聞く重要性は強く認識します。

また、こういう時期に、前向きに取り組んでくれる社員とそうでない社員の違いについても、研究の余地がありそうです。

・ベテランで売上を上げるけど後ろ向きな社員をどのように対応すべきか?
・新人でまだ売上を立てられないけど前向きな社員をどのように育成すべきか?

というのも経営上重要な問いです。

リモートワークによって、エンゲージメントの低い社員はもっと低くなっていくという説を聞いたことがありますが、確かに会社からの物理的な距離が離れることによって、心理的距離も離れていく社員は多いかもしれません。だから、せめて心理的な距離くらいは近くでいてあげたいと思います。

コロナの流行によって減少した客数と売上を確保しつつ、リモートワークなどの新しい体制にも適応し、かつ前向きに経営していくのは、非常にハイレベルな思考だと思います。さらに、そこを実践していく組織にするために、強烈なリーダーシップが求められます。つまるところ、「強い会社」にしていかないと、本当の意味での生き残りが出来ない時代に入ったと言えるでしょう。

ピンチはチャンス、まさに「今ここ」です。

がんばりましょう。

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