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MUCC アルバム 「惡」ーおかえりと高らかに歌うー

 2020年6月10日に発売されたMUCCの最新アルバム「惡」は現在の彼らのバンドとしての最新にして最高峰のアルバムだ。

 元来MUCCというバンドははキャアリアとともに音楽性を常に変化し進化してきたバンドだ。彼らは自らはヴュジュアル系バンドしてるが、サウンドはアメリカのバンドであるKORNやSlipnotのように7弦ギター、5弦ベースと重低音サウンドでありながら日本の歌謡曲やフォークソングのメロディラインで哀愁が漂う。歌詞は人間の死をトラウマを醜悪をこれどもかと歌ってきた。しかし、先に述べたようにMUCCはキャリアとと共に音楽性、歌詞が変化してきたバンドだ。

 そして「惡」というアルバムはそんなバンドの変化の中で生み出されたいま考えられるバンドの最高の状態である中でリリースされている。バンドサウンドはメタル、ラウド、ミクスチャーロック、パンクロック、フォークサウンド、バラードと何でもありながら収録されている16曲は全てアルバムのバンドサウンドから一過性を持っている。それは、歌詞の力でもあり「惡」というアルバムのメッセージ性の強さだ。

 「惡」は奇しくも新型コロナウィルス(COVID-19)が世界中でパンデミックで起こしている中で制作されたアルバムであり。何か「悪」か「善」か分からない世界を写したアルバムにするというギターでバンドのリーダーであるミヤが雑誌「音楽と人 6月号」で語っている。

 たしかに新型コロナウイルス(COVID-19)は今まで世界(地政学的な意味での)の矛盾とグローバル経済とトランプ以降の自国第一主義、インターネットとSNSでのフェイクニュースの今の時代だったにも関わらず、今まで人々の目から伏せられた、ある意味、見ようとしなかった世界のなれの果を強制的に見せつけたきっかけにすぎなかった。

 「惡」の話に戻ろう。そんな世界の中で音楽はミュージシャンは何ができるのかということを試されている。「惡」は1曲目の「惡ーJUSTICEー」からメタルなサウンドと何が「正義」なのかとリスナーへ問う。

 しかし、そんなアルバムの10曲目の「スーパーヒーロー」から流れが変わっていく、ギターロックなバンドサウンドでフォークなメロディに歌詞はスーパーヒーロー=ヴォーカルの逹瑯の亡くなった父親に捧げたラブソングだ。

 最後の16曲目バラード曲である「スピカ」でこの「惡」というアルバムが巨大な現在への答えを教えてくれる。

「いいよ 今は涙枯れるまでまで ずっと 泣いても いいよ おかえり 君のいるこの場所はずっと変わらないよ」

 MUCCは変化してきたバンドだと冒頭に述べたが、新型コロナウイルス(COVID-19)が猛威が振るう中で世界が断絶していく中でリスナーに対して今は泣いていい、そしていつか帰っていく場所がある。「おかえり」という言葉で優しく包んでくれる。

 MUCCのアルバム「惡」はどんなに酷い世界になっても君が傷ついても、君は生きろ。そしていつか「おかえり」という場所に戻っていくんだ。という新型コロナウイルス(COVID-19)以降の世界を生きる力を与え得てくれる、力強いアルバムだ。

 

 

 

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