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データアナリスト必読書➀「ビッグデータ分析・活用のためのSQLレシピ」

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本のサイズがデカい!密度が高い!

今回紹介する本は、DMM.comラボの方が書かれたビッグデータ分析・活用のためのSQLレシピです。

SQLの本はたくさんありますが、この本はSQLの書き方の基礎をサクッと学ぶための本ではありません。しかしこれ一冊あればSQLは十分です。重量と値段に面食らうかもしれませんが、値段以上の充実度ですので一家に一台置いておきましょう!

WEB系のデータ分析に関わる人に特におススメ

実務で使うクエリがほとんど網羅されている

レシピというだけあって、色んなデータ抽出のクエリの書き方が紹介されています。
目次を見ると他のSQL本みたいに「GROUP BY」「CASE式」「WINDOW関数」といった単語は登場せず、「時系列に沿ってデータを集約する」「サイト内のユーザー行動を把握する」といった目的ベースの構成になっています。
しかし通常使うような構文は全て詳しく紹介されており、本を読み進めるにつれてクエリが高度になるような構成になっています。

目的ベースで書かれているため、どんなデータを抽出しようとしたのかとそのとき使った構文が紐づきやすいような気がします。
私はこの本を読むまでWINDOW関数のありがたさや使いどころがイマイチ理解できていなかったのですが、この本のおかげでWINDOW関数と仲良くなれました。

「どんな分析をするものなのか」が学べる

私はこの本の最大の効用はこれだと思っています。
分析にはよく使われるフレームワークや指標があり、こういう目的ではこういう分析をすることが多いということをある程度頭に入れておいて、必要な時に参照できる状態でいることが大事です。

本書ではWEBサービスで用いる基本的なフレームワークや指標はほとんど紹介されています。
具体的には、

  • ABC分析

  • RFM分析

  • ファネル分析

といったフレームワークや、

  • コンバージョン率

  • 継続率

  • カゴ落ち率

といった指標が登場します。上記で紹介したのはほんの一部で、他にもたくさんのフレームワーク・指標・切り口などをもとに分析する方法が書かれています。

私は前職でも分析職でしたが、消費財メーカーにおける物流の分析だったためWEBサービス分析の基本はさっぱりでした。
もちろん社内でどんな分析が行われているかを見ることでも感覚を掴むことは出来ますが、組織の成熟度によっては分析内容に偏りがあるため、この本で一旦学ぶと安心です。

辞書的に使うものだけど、ざっと通読はしておきたい

ほとんど鈍器みたいな厚さでレシピというコンセプトなので、手に取りやすいところに置いておいて辞書的に使うのが基本になるかと思います。
目次では目的ベースで探すことができ、索引にはWINDOW関数といった構文・関数をもとに探せるのでとても参照しやすいです。

ですが、一回さらっと通読することを強くおススメします
これまで紹介したように、クエリの書き方や分析の仕方が幅広く紹介されているので、しっかり読み込むまではしなくても、「どんなことが書いてあったか」をざっくり頭に入れておきたいところです。

私は最初辞書として近くに置くだけにしていたのですが、時間があるときに眺めていたら「自分が苦労して書いたデータ抽出がこの本のやり方ならもっとサクッとできたのか・・・」という瞬間に何度も出くわしました。

私はどうやらイチから効率的なクエリを思いつくセンスはなかったようで、もっと早く通読しておくべきだったと後悔したので、時間はかかりますがちょっとずつ読み進めて一回は通読することをおススメします。

余談:SQLをちゃんと学ぶのはしんどい

最近社内でSQLの基礎を勉強してもらう機会があって思うのですが、SQLの勉強や、クエリを書くこと自体は割と苦痛ですよね。

データ分析そのものが「良い意思決定をする」という目的におけるほんの一部の手段でしかないのですが、SQLでデータを抽出する工程は更にほんの一部の手段です。

しかしながらSQLをちゃんと習得しようとすると、US時間のタイムスタンプを日本時間の日付に変換するだけの関数を知っておかないと困ったりと、よく使うデータ抽出に必要なものだけでも意外と学ぶべきことが多いです。

私は目的に対してほんの一部の手段の部分に思ったより時間がかかるとイライラしてしまうタイプなので、他の方がSQLの習得にどれくらいリソースを割いてもらうのかについても結構迷います。

ChatGPTにテーブルの構成と抽出したいデータを指示してあげればちゃんとしたクエリを返してくれるようなのですが、適切な指示を出す言語化をするためには、SQLの基礎をある程度分かっている必要がある気もします。

何事もそんなものなのかもしれませんね。着地点を見失った謎ポエムでした。



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