効率よく筋肉を育てる【筋肥大の原理と原則】
あけましておめでとうございます!
恵比寿のパーソナルジムKEYFITでトレーナーをしている倉田です。
新年最初のnoteは年末年始の休みの間に考えていた「効率よく筋肉を大きくするトレーニング」についてまとめたいと思います。
トレーニングの取り組み方
まず、筋肥大を狙うトレーニングに共通する重要な原則をお伝えします。
参考文献はありますが、多分に私の経験則や直接人から学んだ内容を含みます。
筋肉を育てるのに一番大切なのは「努力」
いきなりの根性論ですが、とにかく頑張れ!ということを伝えたいわけではありません。
トレーニングのセットにおいて、もはや挙上ができなくなる状態(オールアウト)にどれだけ近づいたかを「努力度」と呼びます。
そして、筋肉の成長は、この努力度の高いセットを繰り返せば繰り返すほど最大化すると私は考えています。
努力度の低いセットを繰り返しても筋肉の成長は最大化されません。
理想は限界まで、少なくとも限界の1~2回手前までは1セットの中で追い込みたいところです。
セットボリュームを高めることが筋肉の成長にとってまず重視すべき要素です。
筋肉を効率よく成長させるために適切なセットボリュームは、その人のトレーニング経験や筋肉量のレベルに応じて変化します。初心者の人でも1週間で、1部位10セット程度は努力度の高いセットをおこなうことが目安になると思います。
経験を積むにつれ20セット、30セットとさらなる筋肥大に必要なセット数が増えていくイメージです。
また、精神力、後述するトレーニングの精度という面で本当の限界努力ができる人は少ないと思います。
経験を積むことで徐々に本当の限界努力に迫れるようになり、セットボリュームが高まります。
トレーニングボリューム
セットボリュームに並ぶ考え方がトレーニングボリュームです。
努力度の高いトレーニングはこのトレーニングボリュームも大きくなりやすいですが、これには重量、レップ数という考えが加わります。
同じセットボリュームを行ったとしても、より重い重量で行った人の方がトレーニングボリュームが大きく、得られる筋肉は大きくなります。
努力度の高いトレーニングをしていると自然とトレーニングボリュームは増えていくでしょう。
また、「努力度」だけに注目して、限界までのトレーニングを繰り返すと挙上重量や挙上回数は低下するので、トレーニングボリュームも減少します。
極端に重量や回数の少ない「努力度の高いセット」は筋肉の成長にそれほど貢献してくれません。
努力度の高いセットも繰り返しすぎると徐々に効率が低下するのです。
さらに、長期的な視点ではトレーニングボリュームを増やすため、扱う重量を伸ばす時期を作るのも大切です。
筋力アップやフォームの構築、改善は限界努力をするトレーニング内容では効率が悪く、区分けをして取り組むのも良いと思います。
前提としてあるトレーニングの精度
ボディメイク、ボディビル、身体のデザインという観点から考えると、そもそも成長させたい筋肉に負荷がのっていることが大前提となります。
限界までの努力も、狙っている筋肉がオールアウトしているかどうか。
ハイボリュームなトレーニングも、狙っている筋肉で動かしているのか。
これらがボディメイクとしての筋肉の成長に欠かせない要素となります。
努力度、セット数、ボリュームが変わらなくても、精度が高まることでトレーニングの効率が高くなり、筋肉が成長してくれる場合もあると思います。
まとめ
効率よく筋肥大をさせたいのであれば、「精度を高く、追い込み切るトレーニングを、ハイボリュームで行う」この3つのポイントを踏まえてトレーニングに取り組むのが重要だと思います。
筋肉を育てるための3つの刺激
続いて、筋肉が大きくなるために必要な3つの刺激について解説します。
どのような「刺激」を筋肉に与えると「成長」という反応が生まれるのか。という筋肥大の原理です。
トレーニングへの取り組み方から一歩踏み込んだ解説となります。
メカニカルストレス
メカニカルストレスとは筋肉に機械的張力を与えることです。
簡単にいうと高重量のトレーニングがこれに当たります。
筋肉にはメカノセンサーと呼ばれる、張力を感知するセンサーがあり、このセンサーに強い刺激を与えると、それに反応して筋肉は成長します。
代謝ストレス
運動によって代謝産物(乳酸、無機リン酸、H+など)が筋肉でうまれ、これが蓄積すると筋肉は収縮することが難しくなります。
これを代謝ストレスと呼び、このときの筋肉の焼けたような痛みを「バーンしている」と表現します。
この代謝ストレスが筋肉を成長させるホルモンの分泌を促すとされていて、また、筋細胞が膨張する(パンプする)ことで細胞の破裂を防ぐために構造そのものが大きくなることも筋肉の成長につながると言われています。
具体的には高回数を反復するトレーニング(8回以上)、筋肉が弛緩せずに継続される運動、加圧トレーニングなどが代謝ストレスを引き起こします。
筋損傷
激しい運動、慣れない運動は筋肉の損傷を引き起こします。
特に、エキセントリック収縮は筋損傷を起こしやすいとされています。
エキセントリック収縮とは、スクワットのしゃがむ動作、アームカールの降ろす動作、懸垂の下がる動作など、筋肉が負荷を受けながらも徐々に引き伸ばされる動きのことをいいます。
損傷による炎症が成長を引き出す。損傷で筋衛星細胞が活性化する。など筋肉のターンオーバーによって成長が起きるとされています。
まとめ
この3つの刺激の中で最も影響が強いと考えられているのはメカニカルストレスです。高負荷のトレーニングが筋肉の成長に大きく貢献してくれます。
しかし、筋肉の成長を最大化するためには他の2つの刺激も同時に活用するべきです。
限界努力まで挙上を繰り返すことで、代謝ストレスを得ることができます。
また、筋線維の動員が高まりより多くの筋肉に損傷を与えることも可能です。
3つの刺激は負荷によってどれが優位になるか分類できます。
中負荷を軸にしつつ、高負荷、低負荷も共に行うプログラムが推奨されます。また、高負荷高頻度には怪我のリスクがあり、1RMの30%以下の重量は筋肥大に繋がりにくいとされている点も考慮しましょう。
トレーニングのテクニック
筋肉を成長させる原理と原則をそれぞれ3つずつご紹介しましたが、よく実践されているテクニックをこれに基づいて解説したいと思います。
エキセントリック収縮
伸張性収縮ともいわれるエキセントリック収縮はアームカールならダンベルを降ろしていく局面、ベンチプレスならバーベルが胸に近づく局面、懸垂なら身体が下がる局面で、筋肉が伸ばされながらもブレーキをかけるための収縮を行っている状態です。
このエキセントリック収縮は発揮される力がもっとも大きいため、メカニカルストレスを高めることができます。
また、動員される運動単位が多くなることもあり、筋損傷の程度も高く筋肥大に強い影響があるとされています。
筋肥大を求めるトレーニングでは降ろす局面を丁寧に行うことが重要視される理由はここにあるのです。
また、フォースドレップやチーティングもエキセントリック収縮で強い刺激を受けるために有効な手段と言えます。
ただし、これらの手段を高い努力度で用いると次のセットの重量や回数が低下する可能性があり、ボリュームの低下につながる可能性があり注意が必要です。
ストレッチ刺激
筋肉が伸ばされた状態で収縮の力を発揮することは筋肥大に対して強い影響があるとされています。
長い筋長での力の発揮はより大きなメカニカルストレスと代謝ストレス、筋損傷を引き起こすとされており、筋肉に対し3つの刺激を効率よく与えることができるのです。
トレーニングは種目によって、動作のどこかで負荷が強くなり、どこかでは負荷が弱くなる場合があります。
筋肉が伸ばされた局面で負荷が強くかかる種目を優先的に選択することが、効率よく筋肉を成長させることに役立ちます。
ただし、筋肉によっては短縮位と伸張位で優先的に使われる筋肉が異なる場合がある点にも注意が必要です。
例えば上腕二頭筋は短頭は短縮位、長頭は伸張位でより活性化するとされており、プログラムが偏ると、偏った筋肉の発達となってしまう恐れがあります。
ドロップセット
ドロップセットは努力度の高いセットを行った後に、20~30%程度重量を落としてセットを続けるテクニックです。
続けて行ったセットは限界努力まで達しやすくなるというメリットがあります。
レッグエクステンションを50㎏で限界近くまで繰り返した直後、35㎏で限界近くまで、さらに続けて25㎏でまた限界近くまでトレーニングをする。といったセットの組み方をします。
これによって努力度の高いセットを3セット実施することができるのです。
ただし、50㎏→35㎏→25㎏をドロップセットで1回行うのと、50㎏を限界近くまでを3セット行うのでは、同じ3セットでもボリュームで後者に軍配があがります。
体力や集中力、時間的な制約も踏まえてどのようにセットを組むのが効率的か考えて取り入れてください。
長期的な筋肥大の考え方
ここまでは比較的短期間での筋肥大について考えてきましたが、筋肉は1週間などの短い期間では小さな成長しか起こらず、積み重ねることで大きな成長となります。
なので、自分の理想の身体作りをする上で最も大切なのは継続をすることだと私は考えています。
数か月だけ燃え上がって途中でやめてしまうより、数年間トレーニングをコツコツ継続できた人の方が自分の理想に近づけます。
また、怪我によってトレーニングができなくなってしまうのも非常に残念なケースで、十分注意しなければいけません。
さらに、先ほどもお伝えした通り、長期的に考えると扱える重量を伸ばすことがトレーニングボリュームを増やすことにつながり、その効果はトレーニングを継続すればするほど大きくなります。
こういった点から考えると、特にトレーニングを始めて間もない頃は、怪我をしにくいフォーム、安定して重量が扱えるフォームを身に着ける優先順位が高いと言えます。
ポジショントークに聞こえるかもしれませんが、このような理由からこの時期にトレーナーから指導を受けるメリットはすごく大きいと感じます。
ポイントのまとめ
・セットボリューム、トレーニングボリューム、精度を高める。
・3つの刺激を意識してプログラムを組み立てる。
・怪我をしないように重量を伸ばす。
長文を最後まで読んでいただきありがとうございました!
このnoteが皆さんの体づくりの参考になれば幸いです。
参考文献
恵比寿駅徒歩5分のパーソナルジムでトレーナーをしています。
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