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脚を細くするためにできることを真面目に考えました

部分痩せはできるのか。

これはフィットネス、トレーニングの分野で度々話題になるトピックです。

・筋肉を狙って付けることはできるが、脂肪を狙って減らすことはできない
・原理的には可能だけど、わずかな差しかなく実質的には不可能

一般的にはこういった意見が主流であると思いますが、今回はあえて脚の脂肪を落とす方法について真面目に考えてみたいと思います。

トレーナーをして色々な方の身体を見させてもらう中で、体脂肪がある程度低くなっても脚が太い人は確実にいます。

そういった方に「原因は体質や個人差です。さらに体脂肪を落とす中でそこも減ることを期待しましょう。」と伝えるは一つの誠実さかもしれませんがそれでも可能性があるなら方法を模索するのも誠実さであると感じます。

そういった背景から私なりに脚やせのための方法論、出来ることをまとめてみました。
上半身は痩せたのに下半身はなかなか希望の形にならないと悩んでいる方のヒントになれば嬉しいです。

2つの移動戦略

結論からお伝えすると脚を細くするために必要なのは歩き方を変えることだと私は考えています。

多くの人は問題なく行っている歩行は実は非常に難しい運動であるとされています。
そもそも人間が二本の脚で立っていることも不思議な現象です。
脚が2本の椅子は立っていられません。カメラの三脚も二脚では意味がないのです。

そんな不安定な状況でさらに移動をするのだから曲芸のレベルと言っても良いかもしれませんね。
上半身の筋トレをいくらしても逆立ちでは生活できないことからもその難しさが分かります。

実はみんなが素晴らしく上手に歩くことはできていないのが歩行なのです。

かなり難しい運動なのでちょっと簡単にして歩いている人がいて、そういうケースで脚が太くなってしまうと私は考えています。

ここから脚の太さに大きく関係する2つの歩き方の違いについて簡単に説明をさせてもらいます。

難しいけど効率の良い動的な歩行

・落下を使うため危険を伴う
・強い力は必要ない
・疲れにくく長距離を移動することができる

こういった特徴をもつ動的な歩行を本来はおこないたいのですが、これを上手に行うために必要な能力の要求は高く、現代人のライフスタイルではそういった能力は失われがちなのが現実です。

具体的には前に倒れる(重力による落下)力を推進力に変換する方法で、落下に一瞬身を任せる必要があり、これを安全に行うことが難しいとされています。

疲れるけど簡単にできる静的な歩行

・安全を優先するため力が必要
・リスクは低く、難しくない
・疲れやすく長距離の移動は苦手

動的な歩行と対照的な特徴を持っているのが静的な歩行です。
リスクの高い落下という力を使わない分、自分自身の力で移動のエネルギーを生む必要があり、脚の筋肉に頼った移動方法と言えます。

遅筋と速筋

続いて話が少し変わりますが、2つの筋肉の種類についても解説します。
どちらの筋肉を、どちらの歩行でより使って歩いているのか考えながら読み進めてみてください。

強い力をだせる速筋、持久力のある遅筋

速筋は白筋、遅筋は赤筋と呼ばれることをご存じの方も多いかなと思います。
速筋は瞬発力に優れた筋肉で強い力を発揮できますが持久力はありません
遅筋は持久力に優れていますが瞬発的に力を発揮することは難しいとされています。

特徴の違い、色の違いの原因はミトコンドリアの密度にあります。
遅筋はミトコンドリアの密度が高く、これが遅筋が赤く見える理由であるとされています。

ミトコンドリアは酸素を使い糖の代謝物や脂質からエネルギーを作る役割があり、酸素を使ったエネルギー産生は多くのエネルギーを生み出すため、これが遅筋の持久力の要因であるとされています。

つまり、遅筋は脂肪を使ってエネルギーを作るのが得意な筋肉であると言えます。

使われない遅筋が脂肪の原因になるかも

ここまで読んでいただくとほぼ答えが分かると思いますが、力が必要な静的な歩行では速筋が使われやすく、対照的に動的な歩行では遅筋が使われやすくなります。

使われない筋肉は失われますし、使われない神経ネットワークもまた失われていきます。
身体活動量の低下で遅筋繊維が優先的に委縮する(失われる)こと、速筋繊維の割合が増加することが知られています。

こうした仕組みによって、静的な歩行をする人は脂質を燃やすことが得意な遅筋が失われやすくなり、そこに脂肪が蓄積しやすくなると考えることができます。

優位に使われた速筋は肥大する

さらに、静的な歩行で使われやすい速筋は筋肥大しやすい筋肉であるとされています。
太ももを触ってみた時、脂肪ではないもので太くなっていると感じる人も多いのではないでしょうか?

ダイナミックな歩行に必要な要素

静的な歩行が優位だと遅筋が使われにくくなり、その結果脂肪が増え、筋肥大で脚が太くなる原因になるという内容を解説してきました。

ここから脚を細くするために必要だと私が考える動的な歩行に必要な能力を詳しく見ていきたいと思います。

動的な歩行に必要な要素

・身体所有感、自己定位
 「自分自身が自分のものであるという感覚」
 「自分が今どこで、何をしているのかという理解」

この2つを明確にすることがまず重要です。

筋肉を使っている感覚、伸ばされている感覚、関節がどうなっているのか、足の裏は地面の状況をどう捉えているのか。
このような感覚が身体所有感を高め、自分自身の姿勢を脳に伝えてくれます。
目から入る視覚情報や三半規管などを含めたバランス感覚が周囲と自分の関係性(今どこで何をしているのか)を教えてくれます。

現時点での自分の状況が明確だからこそ、「これをしたらこうなる」というシミュレーションが成り立ちます。
これが分からないと、リスクの低いアクションしかとることができないのです。

このようにリスクの高い動的な歩行のために、まず身体所有感と自己定位を獲得することが重要です。

・衝撃吸収能力
次に必要なのが、落下の衝撃に耐えられる能力です。

動的な歩行では体重の1.2~2倍の衝撃が身体にかかるとされています。
この衝撃に耐えるために必要なのが体幹の安定性であり、それを支えるのが正しく配列された背骨のコンディションです。

具体的には過度な緊張がなく、息を深く吐いて背骨を丸められるし、反ることもできる、柔軟な背骨の使い方が重要です。

落下の衝撃に耐えられる準備ができていないと、落下という戦略はとることができません。

・股関節、足関節、足部の働き
身体所有感、自己定位があり、衝撃をうまく吸収できる状態であれば下半身は動的歩行をうまく遂行してくれるはずです。

内転筋や大殿筋を使った重心の移動、カカトから地面に着地し足が転がるような前進。
長く静的な歩行を続けてきた場合、こういった能力を学びなおしていく必要があるかもしれません。

動きの多様性

動的な歩行ができるコンディションができたとして、それを様々な場面で崩れずに行う必要があります。
上り坂、下り坂、様々な凹凸や地面の傾斜などに合わせて体の使い方を制御していくために様々な経験値を作っていきましょう。

動作の経験値が高ければその分応用が効き、その時々で最適な動きを引き出すことが可能になります。

適切な緊張の制御

ココロの緊張はカラダの緊張につながります。
生活習慣、睡眠の質、栄養、強すぎるストレスなどの影響で自律神経のバランスが乱れ、交感神経が優位になりすぎるとと過緊張により動的な歩行ができなくなってしまいます。

そういったコンディションを整えていくことで過緊張を抑え、スムーズな動的歩行の実現にもつながります。

身体の特徴や兆候から自律神経のバランスを推察することもできますが、私は自律神経を測定する専用のデバイスを利用し、クライアントのコンディションを確認するようにしています。

また、この章でお伝えした内容はこちたのnoteにも詳しく解説しています

まとめ

動的な歩行をすると、遅筋が使われやすくなり脂肪が減る。相対的に速筋も減る。2つの作用によって脚を細くすることができる。という内容を解説しました。

これは、「最小限の力で動作を行う能力を身につけよう」という目標に向けたアプローチと言い換えることもできます。

そういった意味では高いパフォーマンスを発揮したいアスリートにも必要な能力ですし、疲れにくい身体を手に入れたい方にも必要な能力です。

さらに、ボディビルのような競技をする方にとっても必要な能力であると私は考えています。
大きな筋肉を必要とするボディビルとは正反対のアプローチに感じるかもしれませんが、トレーニングをする上でも最小の力で動作を行う能力は重要です。

狙った筋肉にはしっかり負荷をかけ、その他の筋肉に負荷が逃げないようにするテクニックはこういった能力の延長線上にあるからです。
また、効率の良い動作は怪我の予防にもつながり、負荷を高めたトレーニングを継続することが可能になります。


最後まで読んでいただきありがとうございました。
筋肉の働きなど体に関することは筋トレでカバーしやすい領域ですが、視覚やバランス感覚、自律神経のバランスなどはそれぞれ特別なアプローチが必要になってきます。

既存の筋トレ以外のアプローチも気になった方はぜひご連絡ください!

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