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A Lock Back On ¥ØU$UK€ ¥UK1MAT$U

どうも、ライターのYuki Kawasakiです。今回もGH STREAMINGのダイジェスト企画として、これまで配信に出演してくれたアーティストに改めてフォーカスします。第5回目の今回は、“A Look Back On ¥ØU$UK€ ¥UK1MAT$U”ということで、現行クラブシーン屈指の奇才をピックアップ。パンデミックの発生当初、緊急事態宣言下のContactから配信されたGH STREAMINGの動画を紹介しつつ、その作家性にもフォーカスできればと思っています。

GH STREAMING

奇才の快進撃は続く――。

「2022年は¥ØU$UK€ ¥UK1MAT$Uの年だった」と言って、全く差し支えないでしょう。ベルリンの〈HÖR〉、UKの〈Resident Advisor〉、同じくUKの〈Mixmag〉など、世界的なエレクトロニック(あるいはダンス)ミュージックのプラットフォームにミックスを提供。そのどれもが拍手喝采でもって迎えられました。HÖRのミックスに至っては、同時期に配信されたどのストリームよりも再生数が伸びております。彼が出演した回はシンガポールのレーベル〈Midnight Shift〉をフィーチャーした配信だったのですが、2023年1月の段階で67万再生と、数字として突出しています。

この動画のコメント欄に彼の作家性を正確に理解した評があったので、引用します。

私は東京で彼のセットを4回見たことがあるが、そのすべてに異なる魅力があった。それはもはやサプライズのようで、まるで予想がつかないものだった。彼は素晴らしい。

Midnight Shift - ¥ØU$UK€ ¥UK1MAT$U | HÖR - Nov 19 / 2022

まったくその通りで、彼のミックスを聴いたことがある人は大いに賛同できる評価だと感じます。2020年の10月に公開されたBoiler Roomの映像を見てもその特長は確認できるのではないでしょうか。ハウスやテクノ、さらにはガバまで包括しつつ、FKA twigsの「Two Weeks」やJamie xxの「I Know There's Gonna Be (Good Times)」などもプレイされています。Boiler Roomの映像にはのってませんが、この日の現場(DOMMUNEのスタジオ)ではNew Orderの「Bizarre Love Triangle」もかかっていました。

もちろん、彼は日本国内でも印象深い活躍を続けています。2022年3月、ロンドンを拠点に開催されるパーティ「Keep Hush」に出演し、後日公開された動画がやはり突出した再生回数を記録しています。なお、このパーティにはGOTH-TRAD、imus、DJ YAHMAN(Tribal Connection)、Peterparker69(Jeter + Y ohtrixpointnever)、ralphが出演しました。

我慢できず主観で述べますが、Rustieの「Raptor」を本人を除き最も魅力的にプレイできるのは¥ØU$UK€ ¥UK1MAT$Uだと思います。(以下の動画では12:10ぐらい~ですが、ぜひ通しでご覧いただきたい)

ミックスアルバム『Midnight Is Comin’』が示した並行世界

そして昨年における重要なトピックとして、¥ØU$UK€ ¥UK1MAT$Uがキュレーションを行ったミックスアルバム『Midnight Is Comin’』が挙げられます。DJ Nobu、KEIHIN、Sapphire Slows、YPY、SPINNUTSらのエクスペリメンタルな楽曲がセレクトされ、リスナーの精神世界に語りかけるようなサウンドスケープが実現しています。本作に参加したアーティストのほぼ全員が「ダンスフロア」を主戦場としており、そんな彼ら/彼女らの“アン・フロアライクな”音像がここでは集められています。フロアの身体的な熱量を表現する一方、その内側に広がる広大な世界。フロアで踊る我々に向けるのと同じく、¥ØU$UK€ ¥UK1MAT$UはDJとしてそういった世界観を表現しました。また、本作は音楽メディアの権威・Pitchforkでも7.7点の高得点を付けられています。

なお、彼は来る2月4日にベルリンで開催されるCTMフェスティバルを含むEUツアーを敢行します。

今回ご紹介するGH STREAMINGの配信動画も、彼の魅力がつまったミックスになっていますので、ぜひご覧下さい。


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