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聴く耳を持たない自分は自分を知らない

第42週 1月19日〜1月25日 の記憶。 それを探る試みです。 
一年間のルドルフ・シュタイナー超訳に挑戦中です。

今週は、脳の使い方しだいで大いなるものとつながれる。
科学者がそういっているのだから、信じてくれよ!

現代だから、そのような意味での理解を深めてみました。
では、いってみましょう。

Q‘. ZWEIUNDVIERZIGSTE WOCHE (19. JANUAR – 25. JAN. [1913])

42.
Es ist in diesem Winterdunkel
Die Offenbarung eigner Kraft
Der Seele starker Trieb
In Finsternisse sie zu lenken
Und ahnend vorzufühlen
Durch Herzenswärme Sinnesoffenbarung.

Anthroposophischer Seelenkalender, Rudolf Steiners,1913


  この冬は暗い
  聴く耳を持たない自分は
  心の強い反応で
  不穏な現実をまきちらし
  空虚な充溢を生み出すのだ

  温かな心を五感から受け取ろう。


  

すべてのものがひとつとなった静かで幸せに満ちた海へと

脳は、2つの感情、2つの思考の合計「4つのキャラ」で構造化されています。頭の中で強いキャラが主張をはじめているときは、異なるキャラはその声に押しつぶされている状況なのです。キャラたちが、ワンチームとして協力し合えば、心穏やかな人生が手に入るのだということを証明してくれた科学者がいます。

「私は、天国に行ったかのような幸福感を体験したことがある。」

このような発言をする人は、いかがわしい人物という印象を与えがちです。瞑想できわめた遠い眼差しを持った袈裟のような服を着たスキンヘッドの凜々しい人物や、極限での冒険を乗り越え、大自然の中で彼岸をみてきたような日焼けしたドレッドヘアーの人物などを思い描いてしまいます。

これらの人々は異様に澄んだ目をしていて、自分にはとうていたどり着けない境地に居ることを感じ、話とは裏腹に寂しさを感じてしまいます。

しかし、薄ピンク色の手術着を着たまじめそうな女性が
水がしたたるようなリアル脳みそ(ヒトの)を手にして
プレゼンテーションをはじめたら?

2008年の伝説的なTEDの一幕です。

脳科学者のジル・ボルト・テイラー博士は、脳出血により認知機能、身体機能を失ったにもかかわらず、そのときに、この上もない幸福感に包まれたそうなのでした。

理由は、左脳が機能を失い、右脳でしか認識できなくなったときにその状態におちいったというか、境地に達したそうです。

英雄が、左脳の正義を追求する姿勢と自我という名の剣を置くとき、左脳の「個」から解放され、起源である万物の宇宙の意識へふたたび溶け込むと言われています。

水滴が海に戻るように、英雄は一瞬にして、自分の魂が生まれる前に知っていた、永遠の愛とでも言うべき、このうえない幸福感に包まれます。自分がクジラであることを忘れていた巨大なクジラみたいに、英雄の魂は、すべてのものがひとつとなった静かで幸せに満ちた海へと、滑り抜けるように戻っていくのです。

WHOLE BRAIN(ホール・ブレイン) ジル・ボルト・テイラー著


8年間のリハビリの末、すべての機能を取り戻した博士が、脳卒中の実体験と神経解剖学の科学的見地からえた叡知をまとめられた本が出版されました。


私たちは、何かことが起こったときに、感じ、考える回路を何度も使ううち、その回路だけが発達してしまい、ほかの回路を作動させることができなくなってしまいます。

暗い不安に満ちた世界に襲われているときに、常識的に発達してきた脳回路は、不穏な現実をまきちらし、空虚な充溢を生み出すのです。それは、生命維持のための強い反応だったりするというものなのでしょう。

脳の構造を学び、別の回路をはたらかせられれば、いつもの自分の考え方や感じ方のパターンとなっている否定的なクセなどを変えられます。

脳科学の分野の「4つのキャラ」と、ユング心理学の「4つの元型」は符合すると、著者はいいます。

〈キャラ1〉はペルソナ
〈キャラ2〉はシャドウ
〈キャラ3〉はアニムス/アニマ
〈キャラ4〉は真の自己

WHOLE BRAIN(ホール・ブレイン) ジル・ボルト・テイラー著

といった具合です。これらのキャラがどのように関わり合うのかは、本を読んでいただければ、胸にストンと落ちていただけると思います。

脳科学と心理学を融合させ、自分自身の力で、自分の「脳」を動かし、あるべき自分になる方法を教えてくれる本なのです。

シュタイナーの思想が科学的な研究の進化によって証明され、より身近に体験できるチャンスが広がってゆくことは素晴らしいですね。

  


一瞬ごとに選び取る力

「私たちはだれ?」  

私たちは、器用に動く手とふたつの認知する心を備えた、宇宙の生命力。私たちは、この世界のなかで、自分が何者で、どんなふうでありたいかを、一瞬ごとに選び取る力をもっています。  

今ここで、私は右脳の意識に踏み込むことができます。そこでの私は宇宙の生命力です。私は私を作っている五十兆個の美しい天才的な細胞の生命力であり、すべてのものと一体化しています。  

あるいは、左半球の意識に入ることも選べます。そこで、私はひとりの個人、肉体をもち、〝(宇宙の)流れ〟から離れ、あなたたちとも離れた存在です。  

私は理性的な神経解剖学者のジル・ボルト・テイラー博士でもあるのです。  
私のなかには「私たち」がいます。どれを選びますか……そしていつ選びますか? 右半球の深い内なる平和の回路を動かす。その時間が長ければ長いほど、より多くの安らぎが世界に投影され、地球がより平和になると信じています。  

そして私は、この考えをみなさんに広める価値があると信じています。

WHOLE BRAIN(ホール・ブレイン) ジル・ボルト・テイラー著


以上は、プレゼンテーションの締めの言葉です。
あまりに、深く美しい内容なので蛇足をはさむ余地がありませんね。
大いなるものとのつながりは、こういうことなのでしょう。

「どんなふうでありたいかを、一瞬ごとに選び取る力をもっています。」

ここにつきるのだろうなぁ。

「わたしゃ、常に美しさに向き合い感じ表現してる生命体になりたいよー」



2024年1月 固芽


温かな心を五感から受け取ろう。

今回は、芽について書いていきます。

昔、山に取り憑かれ登山に明け暮れている時代がありました。冬山はリスクが大きいから止めとけ!と周りから心配されるも、腕を振り払い「雪よ山よ」と唄いながら、何度かチャレンジしたことがありました。

雪が締まって落ち着いてくる丁度今頃。標高2,000メートル付近に雪洞を掘り、そこで一晩を過ごすという冒険に出たことがありました。

雪洞を掘るためには、雪がたっぷりと積もって、洞窟のように横から掘れる場所を探し、あたりを踏み固めてから、トンネルを掘ってゆくのです。

1メートルぐらい掘ったところで木の枝が多く出てきてしまいました。細い枝なのですが、このまま掘り進んでも木の枝が多く出てきてしまっては自然破壊につながるから、別の場所に掘りなおすことにしました。

そのとき、深い雪に埋もれている小枝には、しっかりと芽がついているのに驚かされたのです。

極寒の真っ暗な雪の中でムクムクと植物が成長している姿。それが山の斜面一帯を埋め尽くしているのがイメージできてしまったのです。

植物にとっては、あたりまえかもしれませんが、
なにかが伝わってきませんか?
芽は何を内包しているのでしょうか?

自然の生命力の一コマです。
私がすべてのものと一体化しています。
と感じることを選択してはどうでしょうか?  

左脳には少し黙ってもらい右脳をフル回転させて…。
何かを感じてみましょう。 

では、まとめていきます。

脳科学者の博士は脳出血により幸福感を体験し、脳の構造を学び別の回路を活性化させることで否定的なクセを変えることができるとありました。

右脳と左脳にそれぞれ感情と思考が同時に構造化されているので、今、脳のどの部分が動いているかを観察することができれば、大いなるものとのつながりや、さまざまな場面でよい選択ができるようになるのです。

今時分のであれば、芽が成長している様子などを観察して
自然の一部として自分を感じるみるといいかもしれませんね。



シュタイナーさん
ありがとう

では、また


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