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わたしに気づく 光の二重性

第22週 9月1日〜9月7日の記憶。 それを探る試みです。 
一年間のルドルフ・シュタイナー超訳に挑戦中です。

今週は、いよいよ、朝晩はひんやりとし、太陽のチカラもなんとなく弱まってくる季節ですね。そのようなタイミングで、太陽の光と反比例するかのように自分の内面の光について意識せよ!というメッセージがやってきました。あなたの心の光は何を掴んでゆくのでしょうか?

では、読み解いてまいりましょう。

  

V. ZWEIUNDZWANZIGSTE WOCHE (1. SEPT. – 7. SEPT. [1912]).

22.
Das Licht aus Weltenweiten
Im Innern lebt es kräftig fort
Es wird zum Seelenlichte
Und leuchtet in die Geistestiefen
Um Früchte zu entbinden
Die Menschenselbst aus Weltenselbst
Im Zeitenlaufe reifen lassen.

Anthroposophischer Seelenkalender, Rudolf Steiners,1912

 


 
  彼方からの光は
  内面で脈々と輝き続けている
  それは わたしの光となり
  心懐まで届き
  実を結ぶ
  宇宙的自我から人間的自我へと
  成熟への時は流る
 




光の二重性


“光は粒子である”という説を唱えたのは、ニュートン。
光が、常に直進する性質や、鏡などで反射する性質を観察することから、光が粒子であると考えたのですね。しかし、ニュートンの粒子説では、光が障害物の後ろにも伝わる現象(回折)や、光が重なると強めあったり弱めあったりする現象(干渉)の仕組みをうまく説明できず。光とは何か?という疑問に答えられませんでした。

“光は波動である”と主張する科学者が登場しました。
ホイヘンスは、光の波動説を提唱しました。光が波動とすれば、回折や干渉などの現象も説明できたのです。波動説は、その後も、さまざまな実験で証明され、光は波動であると考える時代が来たのです。

さらに波動論の研究は進み、マクスウェルが“電磁波理論”を完成。
電磁波とは空間を伝わる波動で、電波やX線などがあり、光もそうした電磁波の一種であることを証明したのです。

しかし、その後で光を粒子と考えなければ理解できない、“光電効果”というものがみつかり、それをみごとに解決したのが、アインシュタイン。
光の粒子である“光子(フォトン)”を提唱し、光の粒子説を復活させたのですね。



そして近年では、量子力学的視点で光の粒子性と波動性とは矛盾するものではなく、互いに補完し合う性質として理解されています。
これは“補完性の原理”と呼ばれ、ある現象では粒子性が強調され、別の現象では波動性が強調されるという考え方です。

たとえば、二重スリット実験では、光がスリットを通過する際に光子を一つひとつ検出しようとすると、粒子として振る舞います。そして、波として観測しようとすると、スリットを通過する際に波として干渉する振る舞いをするのです。しかし、同時に両方の性質を観測することはできないのです。
意識が光りに影響しているのか?ミステリアスですよね…。



まとめると、光は、“粒子” つまり“物”でもあり、
“電磁波”という“波”の性質を持っているのです。

この光の粒子と波動の二重性は、物理学の領域を越えて、より深く核心に近いレベルでの自然現象を理解する歴史的な概念と考えられませんか。

今週のコトバを理解するうえでも、光というものが、物質だけでなくそこに波動という、万物を掌握するかのようなエネルギーが宿り、あなたにどのような影響を与えているのかを想像してみる必要があると思うのです。



象徴としての光



光の波動性を理解したうえで、より具体的に光というコトバから、
イメージするものはなんでしょうか?

真理、愛、希望、成長、知恵、救済、導き、目覚、啓示、生命、平和、自由、浄化、変革、創造、表現、安心…まだまだ数えきれないほど出てきそうですが。あなたの自我として宿っている光にはどのような波長が潜んでいるのでしょうか?

そして、光は何を求めているのでしょうか?

それによって、あなたは、階段を上るように成熟に向かうのです。そこを、みきわめるチカラをつけてください。というわけなのです。



“彼方からの光”。
ビッグバンの残光が、あなたの中にも宿っています。

そして、物質的なものと波動的なものとに分かれて、
永遠のリズムを脈打ち、
季節やあなたの成長にシンクロしているのです。

その始原の光によって、太古から心は、ほのかに輝いてきたのです。
そして光が、奥へ奥へと深みを照らし出していったとき、
あなたがみる風景とは、どのようなものなのでしょう。



これは、個々の内面世界や意識の探求に関する問いかけです。レヴィ=ストロースの視点では、このような問いは、人間の“野生の思考”の一部と考えられます。つまり、意識の深層に潜む象徴や意味を解釈することは、人間の根源的な思考の働きであり、それを通じてあなたは、この宇宙や世界を理解し、自分の存在を再発見しようとするのです。

夏から秋へと、光の質が変化してきています、
照らされるものが季節とともに移り変わることを観測してみてください。



そんなメッセージが感じられませんかね?



2024年 水たまりに映る光と枝葉




外の光を内なる光へ



自然のなかでは、着々と秋への移ろいが感じられます。

強き反射光から、ヒグラシの鳴き声とともに、染みいるような光へと。



豪雨のあとの水たまりをのぞきこめば
銀河の渦が落ちているかもしれません
枝葉の隙間にまた青空が広がってゆきます
そこにちっぽけなエネルギーが残っているかも

明々白々としていた夏の色彩が
定着を望んでいるかのようです…

大いなるものの永遠なる脈動がきこえてきます。



おそらく植物は、日照時間の変化に敏感なのでしょう。光合成に必要な光や温度が変動するため、光合成の具合によって、エネルギーが蓄えられたり、使われたりしている。その信号は自然のリズムの代表格なのでしょう。

実りの季節を迎えるまで、自然の流れにのり最適な条件で生育してゆくのです。太陽の光によって実が熟してゆくように、あなたの心も、大いなるものの自我の一片としての“個”が、ゆっくりと外なる光を受け、確実に成熟してゆくものなのでしょう。



太陽の光が少しずつ弱くなる一方で、あなたの内なる光がみえてくる。
そのような季節に突入してゆくのかもしれませんね。



シュタイナーさん
ありがとう

では、また


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