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制作日記-前提の揺らぎがもたらす変化

変化する方向として、多様化か画一化かどちらが必要なのだろうか?世の中では多様化多様化といわれておりますが、アーティストとしては、自分のスタイルを画一化してゆかなければならないといった宿命があるように感じます、アーティストとして多様化と画一化のどちらを推すべきか?そんなことを考えてゆきたいと思います。


多様性とは、なんとなく多という文字の印象から、だんだんと進化の分岐点が増え、多様性が増してゆくような錯覚がありますが、実は、過去にあった多様性を滅ぼさずに、生きる場を残さねばならないという取り組みなのではないでしょうか? 文化的にもその地域独特の風土的なものを存続させることが重要で、それを広めることでも、他の文化を掛け合わせて根付かせることでもなく、静かにそのままにしておくことこそが大切ですし、アーティストでもそういう人がいることを理解して尊重してゆくことなのかな、と思っています。となると、画一化されたものを、多様性の一部として置いておく、というものですね。


例えば、つくる道具などでは、昔は、当たり前だったものが、ほとんど使われなくなってパソコンに置き換わっていたり、便利な道具が発明されて、みながそれを使うことが当たり前になって淘汰されて、見向きもされなくなってしまうようなこともあります。なんか寂しいので、残しておいてほしいという欲求があったとて、それで経済が回らなければやむなしという状況です。あと、時間消費の関係も深いのかもしれません、この場合は、画一化されて、多様性が失われてしまった、状況というものですね。


今、なんとなくカッコよさげにいわれているのは、前時代的な、考え方や理論、信念、条件などが揺らぐことが想像でき、常識や自明性みたいなものが問われていくなかで、その前提に基づいていた判断や行動に影響が及び、新たな多様性が生まれてくる可能性があるというもの。この場合の前提の揺らぎは、経済的なものから精神的なものを追い求める社会の流れにのって、幸福論的な視点で騒がれているように感じます、その意味では画一的な価値感を壊して、多様になっていくことは、人類の精神的な成長なのかもしれません、とても良いことのように感じます。


次に前提の揺らぎがもたらす変化とは、どのようなものか?
いくつか、考えてみたいと思います。


新しい視点やアイデアが生まれる可能性。前提の揺らぎによって、それまでに気づかなかった視点やアイデアが浮かび上がることがあります。これによって、多様な新たな発想や解決策が生まれることがあるかもしれませし、画一的なアイデアが肉付けされ、さらに強固になるかもしれません


自分の選択肢が示唆される可能性。前提の揺らぎによって、今までとは異なる方向性が示唆されることがあります。これによって、新たな可能性や選択肢が開け、判断の軸が変わることがあります。そして、確立したものが崩れ去り、守りだけではなく、多様な攻め方を学ぶ必要があるかもしれません。


信念が崩れる可能性。前提の揺らぎによって、それまで自分が信じていたことが崩れることがあります。これによって、多様な世界観を見つめ直すことができるか?できないか?は、死活問題に関わるレベルかもしれません。


社会全体での変化が起こる可能性。前提の揺らぎが、すでに社会全体に影響を及ぼすことがすでに見えてますよね?それによって、より良い方向に変化しているのか?悪い方向に変化しているのか?は、それぞれの価値観や権力の保有具合などで見立てが変わってきます、全体を自分でコントロールすることは、もはや不可能なので、とりあえず、多様性に賛成の姿勢を示すことが必要なのかもしれませんね。


そして今、なぜ、多様性を維持しないといけないのかというと、レジリエンス(resilience)が弱まるとからヤバいんだ、といわれています、「回復力」「復元力」「耐久力」「再起力」「弾力」などと訳される言葉で、複雑で困難な状況を打破するためには、しなやかに乗り越え回復する力が必要とされるというものです。確かに、すべてが画一化してしまうと、ポキッと折れやすい状態になってしまうということは、想像しやすいですね、やはり多様性は大切なのですね。


くどくどと書いてまいりましたが、アーティストとしては、インプットは多様化、アウトプットは、画一化していく方向が大切だと思います。多様化に対応できる、画一化の落とし所は、なかなか難しく感じるかもしれませんが、それぞれで判断してゆく時代なのかもしれません。でも、多人称のアーティスト集団などでしたら、アウトプットも多様化を目指すべきか?
揺らぎまくっている世界でアーティストはいかに変化してゆくのか?その時の判断基準のひとつとして、興味深いとは思いませんか?


今日も、ありがとうございます。
今日の作品は、なにげに多様なテクニックをつかって
制作しました、そのあたりを観ていただけると
うれしーです。


では、また


© 2023 Yuki KATANO

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