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「パートナーシップ構築宣言」とは

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「パートナーシップ構築宣言」とは

一言説明

サプライチェーンにおける発注者にあたる企業が、「取引先とのパートナーシップを強化するなど"新たな共存共栄関係の構築"を企業の代表者名で宣言(コミット)するもので、"成長と分配の好循環"を目指す」ことを宣言するもの。

概要

2020年5月18日に内閣府の経済財政政策会議の1つである「未来を拓くパートナーシップ構築推進会議」により草案が作成され、制度化したもの。

企業が、発注者として自社の取引方針やスタンスを宣言する制度であり、何かしらの基準に対しての合否判定や審査が行われるものではない。自主的な取り組みを宣言するものであり、宣言企業はWeb上に一覧として掲載され、また宣言企業であることを示す専用のロゴの利用が許可される。

2023年9月時点では、専用のポータルサイト【「パートナーシップ構築宣言」ポータル】が提供されており、中小企業庁の依頼により公益財団法人 全国中小企業振興機関協会がポータルサイトの運用を行う。(出典・参考情報1を参照)

制度作成の背景

コロナ禍における物価上昇の皺寄せが受注者側、特に中小企業に集約している状況にあり、一般的にも受注者側が発注者側に対して契約金額の見直しの申し出がしづらい実態があること。

こうした状況を是正し、取引の適正化と生産性の向上を目的に制度化された。

宣言方法とその内容

宣言方法

出典・参考情報1に記載の「パートナーシップ構築宣言」ポータルより、作成した宣言文をアップロードし、申請することで宣言が可能。特に修正等が必要ない場合には3,4営業日ほどで一覧に社名が掲載される。

宣言文はひな形が用意されており、合わせて記載要領を確認の上、ひな形をベースに作成する。 (出典・参考情報4を参照)
※宣言分のサンプルは出典・参考情報3を参照

宣言の内容

自社が発注者として、取引先との連携や共存共栄を進め、新たなパートナーシップ構築を進めるべく、以下の2つの項目+任意の自由記載内容に対する重点的な取り組みを行うことを宣言するもの。 (出典・参考情報4を参照)
※要約して記載するため、原文は出典・参考情報4を参照ください。

1.サプライチェーン全体の共存共栄と規模・系列等を超えた新たな連携

サプライチェーン全体での付加価値向上や、取引先との共存共栄のため、以下のような働きかけや助言、支援を行う。

a.企業間の連携
b.IT実装支援
c.専門人材マッチング
d.グリーン化の取組
e.健康経営に関する取組

出典・参考情報4:https://www.biz-partnership.jp/docs/bizpartnership-hinagata.docx

2.「振興基準」の遵守

親事業者と下請け事業者との間での望ましい取引慣行を遵守し、取引の適正化のために健全なパートナーシップ構築の妨げとなる取引慣行や商慣行の是正に対して積極的な取り組みを行う。
具体的には以下の5項目に対して、下請け中小企業振興法に基づく「振興基準」を踏まえた取り組みを行う。

①価格決定方法
不合理な原価低減要請を行いません。取引対価の決定に当たっては、下請事業者から協議の申入れがあった場合には協議に応じ、労務費上昇分の影響を考慮するなど下請事業者の適正な利益を含むよう、十分に協議します。取引対価の決定を含め契約に当たっては、親事業者は契約条件の書面等による明示・交付を行います。

②型管理などのコスト負担
契約のひな形を参考に型取引を行い、不要な型の廃棄を促進するとともに、下請事業者に対して型の無償保管要請を行いません。

③手形などの支払条件
下請代金は可能な限り現金で支払います。手形で支払う場合には、割引料等を下請事業者の負担とせず、また、支払サイトを60日以内とするよう努めます。

④知的財産・ノウハウ
知的財産取引に関するガイドラインや契約書のひな形に基づいて取引を行い、片務的な秘密保持契約の締結、取引上の立場を利用したノウハウの開示や知的財産権の無償譲渡などは求めません。

⑤働き方改革等に伴うしわ寄せ
取引先も働き方改革に対応できるよう、下請事業者に対して、適正なコスト負担を伴わない短納期発注や急な仕様変更を行いません。災害時等においては、下請事業者に取引上一方的な負担を押し付けないように、また、事業再開時等には、できる限り取引関係の継続等に配慮します。

出典・参考情報4:https://www.biz-partnership.jp/docs/bizpartnership-hinagata.docx

「パートナーシップ構築宣言」を宣言するメリット/デメリット

メリット:宣言を行うことで得られる利益

  • 対外的なアピール:公式ポータルへの社名掲載、ロゴマークの利用

  • 補助金での加点措置:「ものづくり等補助金」や「省エネ補助金」など

  • SDGsの達成:SDGsへの取り組みにおいて5つの目標(3,5,9,10,17)への取り組みも同時達成

デメリット:宣言内容を遵守できなかった場合のペナルティ

  • 特になし:あくまで宣言であり、実現できない場合の具体的な罰則などの規定はない

ただし、振興基準に基づき指導や助言が入った場合など、宣言内容が履行されていないと判断されることで掲載が取りやめになる可能性があることに注意。

出典・参考情報

1.「パートナーシップ構築宣言」ポータル

2.パートナーシップ構築宣言とは? | 日本商工会議所

3.パートナーシップ構築宣言 記載見本

https://www.biz-partnership.jp/docs/bizpartnership-kisai-mihon.pdf

4.パートナーシップ構築宣言 ひな形

https://www.biz-partnership.jp/docs/bizpartnership-hinagata.docx

5.未来を拓くパートナーシップ構築推進会議 | 内閣府

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